パソコン・PC周辺機器

Windows 10のサポート終了後にどうするか ESUの条件と移行の判断基準

Windows 10のサポートは2025年10月14日に終了しました。それでも使い続けている家庭のパソコンは少なくありません。選択肢は4つあり、それぞれ費用と手間、そして安全性のバランスが違います。この記事では、拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)の条件と期限、Windows 11へのアップグレードの要件、買い替えの判断基準を整理し、いま何を決めるべきかを示します。判断を先送りするほど選べる幅が狭くなる種類の問題です。

この記事でわかること

サポート終了で実際に何が起きるのか/4つの選択肢の比較/ESUの登録条件と3つの登録方法、提供される更新の範囲/Windows 11のシステム要件/買い替えるかどうかの判断基準

サポート終了で何が変わるのか

サポートが終了しても、パソコンが動かなくなるわけではありません。変わるのはセキュリティ更新プログラムの提供です。新たに見つかった脆弱性が修正されなくなるため、時間が経つほど攻撃に対して弱い状態になります。

情報処理推進機構(IPA)は、情報セキュリティ対策の基本の第一にソフトウェアの更新を挙げており、その目的を「脆弱性を解消して脆弱性を悪用した攻撃によるリスクを低減する」と説明しています。更新が提供されない状態は、この最初の対策が使えない状態にあたります。

変わること 変わらないこと
セキュリティ更新プログラムの提供が止まる パソコン自体は起動し、動作する
不具合の修正や技術サポートが受けられなくなる すでに入っているアプリは当面動く
新しい周辺機器やアプリが対応しなくなっていく オフラインでの利用

4つの選択肢

選択肢 費用 手間 いつまで使えるか
ESUに登録して使い続ける 無料の方法あり。有料でも30米ドル相当 小さい 2027年10月12日まで
Windows 11へアップグレードする 無料(要件を満たす場合) 中程度 継続して利用できる
パソコンを買い替える 6万〜25万円 大きい(データ移行が必要) 継続して利用できる
別のOSを導入する 無料のものが多い 大きい(操作とアプリが変わる) 選ぶOSによる

優先して検討すべき順序は明確です。まずWindows 11の要件を満たすか確認し、満たすならアップグレード。満たさないならESUで時間を稼ぎ、その間に買い替えを検討するという流れになります。ESUには期限があるため、延命はあくまで移行までのつなぎだと捉えてください。

ESU 拡張セキュリティ更新プログラム

個人向けのESUは、サポート終了後もセキュリティ更新を受け取るための仕組みです。

登録の条件

条件 内容
対象のエディション Windows 10 バージョン22H2のHome、Professional、Pro Education、Workstations
更新の状態 最新のWindows Updateがインストール済みであること
準備パッケージ Windows 10 ESUライセンス準備パッケージ(KB5126256)が入っていること
アカウント 管理者権限を持つMicrosoftアカウントでサインインしていること。子供用アカウントは対象外(子供用のパソコンは、保護者をユーザーとして追加し管理者に設定したうえで、保護者のアカウントで登録する手順が案内されています)

バージョン22H2であることが前提のため、それより古いバージョンのまま止まっている場合は、先に更新を適用する必要があります。

3つの登録方法

方法 費用
パソコンの設定をバックアップする 無料
Microsoftリワードのポイントを1,000ポイント交換する 実質無料
1回限りの購入 30米ドル相当額(現地通貨、税別途)

無料の方法が用意されているため、費用を理由に登録をためらう必要はありません。

提供されるもの、されないもの

ESUで提供されるのは「緊急」および「重要」に分類されるセキュリティ更新プログラムのみです。機能の向上や技術サポートは含まれません。また期限があり、2027年10月12日までが対象です。その日までは随時登録できますが、登録した時点で期限が延びるわけではありません。あくまで移行までの猶予期間だと考えてください。

ESUの対象外になる端末と、ライセンスの数え方

個人向けESUについて、マイクロソフトの案内には、既存記事で触れた条件のほかにも次の点が記されています。

  • 1つのESUライセンスは、同じMicrosoftアカウントに関連づけた最大10台のデバイスで使えます。
  • ライセンスは登録に使ったMicrosoftアカウントに紐づきます。登録後に別のアカウントへ切り替えた場合の扱いは、公式ページでは確認できませんでした。使うアカウントは登録前に決めておくと安心です。
  • キオスクモードのデバイス、Active DirectoryドメインやMicrosoft Entraに参加しているデバイス、MDM(モバイルデバイス管理)に登録されたデバイスは個人向けの対象外です。ただし、Microsoft Entraに「登録済み」のデバイスは個人向けESUを使えます。また、すでにESUライセンスを持っているデバイスにも登録は提供されません。
  • 個人向けは年単位の更新型ではなく、2027年10月12日までの1回きりの登録です。
  • 登録が遅れても、登録を済ませるとサポート終了後に公開された対象の更新プログラムがまとめて配信されます。ただし、登録するまでの間は脆弱な状態が続くと案内されています。

家族のパソコンをまとめて延命したい場合は、台数の上限とアカウントの紐づきを先に整理しておくと、登録の手戻りを減らせます。

会社や学校のパソコンは料金体系が別

会社・団体向けのESUは個人向けと仕組みが異なります。Microsoft Learnによると、ボリュームライセンス経由で1台あたり61米ドル(初年度)からで、料金は年ごとに倍になり、最長3年間まで購入できます。購入は年単位で、途中の月だけを買うことはできません。2年目から買う場合は初年度分もあわせて支払う必要があります(更新プログラムが累積するため)。

個人向けは2027年10月12日まで、会社・教育機関向けは最長で終了から3年間、と期限の考え方が違います。仕事で使うパソコンを自宅で扱っている場合は、どちらの区分になるかを勤務先の情報システム担当に確認してください。

なお、ESUに含まれるのは緊急・重要のセキュリティ更新で、新機能や技術サポートは対象外です。組織向けについては、ESU自体の認証(アクティベーション)、インストール、ESUに起因する不具合に限って支援の対象になり、その支援を受けるには有効なサポートプランが必要だとMicrosoft Learnに書かれています。個人向けの案内では、ESUに登録しても技術的なサポートは提供されないとされているため、この支援の範囲は会社・学校向けの条件として読んでください。

Windows 11へのアップグレード

要件を満たす機種であれば、これがもっとも費用のかからない選択肢です。主なシステム要件は次のとおりです。

項目 要件
プロセッサ 1GHz以上、2コア以上の64ビット互換プロセッサ(対応するモデルの一覧が公開されている)
メモリ 4GB以上
ストレージ 64GB以上
システムファームウェア UEFI、セキュアブート対応
TPM トラステッド プラットフォーム モジュール(TPM)バージョン2.0
グラフィックス DirectX 12以上に対応
ディスプレイ 9インチ以上、8ビットカラーで720p以上

要件を満たすかどうかは、Microsoftが無料で提供する「PC 正常性チェック」アプリで判定できます。ただし、このアプリはグラフィックカードとディスプレイを確認しないと公式に案内されているため、この2項目は機種の仕様表で確かめてください。つまずきやすいのはTPM 2.0とセキュアブートです。Microsoftのサポートページでは、TPMやセキュアブートが原因で要件を満たさない場合に、有効にするための手順があるかを確認するよう案内しています(セキュアブートはUEFIでのみ有効にできます)。設定を見直すことで要件を満たせる可能性もあるため、判定で不可と出てもすぐ諦めず、機種の仕様を確認してみてください。

アップグレードの前に必ずバックアップを取ってください。作業自体は自動で進みますが、途中で問題が起きたときに戻せる状態にしておく必要があります。バックアップの考え方はスマホのストレージ容量、64GBと128GBどちらを選ぶべきか、外付けドライブの選び方は外付けSSDとHDD、容量と用途で選び分けるポイントにまとめています。

買い替えを判断する基準

要件を満たさない場合、ESUで2027年10月12日まで延命したうえで買い替えるという流れになります。判断の材料を整理します。

確認すること 買い替えを選ぶ目安
Windows 11の要件 TPMやプロセッサの要件を満たさない場合、アップグレードの道はない
使用年数 購入から7年以上経過していれば、部品の劣化も進んでいる
現在の動作 起動や動作が遅い場合、原因が本体性能か別の要因かを切り分ける
用途 文書作成と閲覧が中心なら、高価な機種を選ぶ必要はない
周辺機器 古いプリンターや業務用機器が新しいOSに対応しているか

動作が遅い原因の切り分けはパソコンの動作が重いときに確認したいチェックポイントで扱っています。買い替える場合、仕様の読み方や予算を抑えたいときの確認項目はノートPCの選び方 スペック表の見方と、格安モデル・重量・バッテリーで確認することが参考になります。据え置きで使うならミニPC(スティック型PC)とは何か、ノートPCとの違い、閲覧と文書作成が中心ならChromebookとは何か 通常のノートPCとの違いも選択肢になります。

買い替えを決めたら、量販店の店頭価格だけでなくメーカー直販の価格帯も見ておくと判断材料が増えます。直販サイトはメモリやストレージの構成を選んで注文できる方式が多く、文書作成が中心なのか、写真や動画を扱うのかによって必要な分だけ積む調整ができます。レノボ・ショッピングのキャンペーン情報のように、時期によって対象機種や割引の内容が変わるページもあるため、同じ型番でも購入のタイミングで総額が動く点は見込んでおいてください。

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古いパソコンをどうするか

買い替えたあとの端末は、データを消去したうえで手放します。ファイルを削除しただけではデータが残る場合があるため、消去用のソフトを使う、ドライブを取り外して壊すといった対策を済ませてから手放すと安心です。なお、メーカー回収に出したパソコンについては、回収側でハードディスクの破壊など情報漏洩を防ぐ措置をとると案内されています。手順と処分の経路は使わなくなったガジェットの手放し方5経路を比較 売却・下取り・リサイクルの選び分けにまとめました。パソコンは資源有効利用促進法に基づくメーカー回収の対象で、PCリサイクルマークが付いた製品は追加の料金なしで回収を申し込めます。

使い続けるリスクを具体的に考える

ESUにも登録せず、更新が止まった状態で使い続ける場合に何が問題になるのかを整理します。

リスク 内容
脆弱性が修正されない 新たに見つかった問題が放置される。時間の経過とともに危険度が上がる
アプリの対応が終わる ブラウザやセキュリティソフトが順次サポートを打ち切る
周辺機器が使えなくなる 新しく買ったプリンターやカメラのドライバーが提供されない
他の端末に影響が及ぶ 家庭内ネットワークにつながる1台が侵入経路になり得る

とくに見落とされやすいのが最後の点です。1台だけ古いパソコンを残しておくことは、家庭内の他の機器にも影響しうる状態を作ります。どうしても使い続ける必要がある場合は、インターネットに接続しない用途に限定するという選択もあります。家庭全体の対策は家庭のセキュリティ対策 10大脅威2026を30分・今週・習慣の3段階に置き換えるにまとめています。

よくある失敗と注意点

「まだ動くから大丈夫」と判断を先送りする

動作の問題ではなく安全の問題です。ESUの期限は2027年10月12日で、そこから先の選択肢は限られます。

バージョン22H2でないままESUに登録しようとする

対象はバージョン22H2です。古いバージョンのまま止まっている場合は、先に更新を適用してください。

アップグレード前にバックアップを取らない

作業中に問題が起きたときに戻せません。外付けドライブへのバックアップを済ませてから始めてください。

TPMの設定を確認せずに諦める

設定を見直せば要件を満たせる機種もあり得ます。Microsoftのサポートページでも、TPMやセキュアブートを有効にする手順があるかを確認するよう案内されています。機種の仕様と設定画面を確認してください。

古いパソコンをデータを消さずに手放す

ファイルを削除しただけではデータが残る場合があります。消去ソフトを使う、ドライブを取り外して壊すなど、手放す前に対策を済ませておいてください。

よくある質問

サポートが終わったパソコンはすぐ使えなくなりますか

いいえ。起動も動作もします。変わるのはセキュリティ更新プログラムの提供が止まることです。時間が経つほど、修正されない脆弱性が積み上がっていきます。

ESUは無料で使えますか

登録方法によります。パソコンの設定をバックアップする方法か、Microsoftリワードのポイント1,000ポイントを交換する方法であれば費用はかかりません。購入する場合は30米ドル相当額です。

ESUはいつまで使えますか

2027年10月12日までです。その日までは随時登録できますが、登録の時期によって期限が延びるわけではありません。

ESUで何が更新されますか

「緊急」および「重要」に分類されるセキュリティ更新プログラムのみです。機能の追加や改善、技術サポートは含まれません。

Windows 11にできるか確認する方法はありますか

Microsoftが無料で提供している「PC 正常性チェック」アプリで判定できます。グラフィックカードとディスプレイは判定の対象外とされているため、仕様表もあわせて確認してください。要件を満たさないと表示された場合も、TPMやセキュアブートの設定を見直すことで対応できる可能性があるため、機種の仕様を確認する価値があります。

要件を満たさないパソコンに無理にWindows 11を入れるのはどうですか

推奨されません。要件を満たさない環境では更新が提供されない場合があるとされており、安全性を確保するという当初の目的を果たせなくなる可能性があります。ESUで期限まで使い、その間に買い替えを検討するほうが確実です。

買い替えるならどのくらいの性能が必要ですか

用途によります。文書作成、表計算、動画視聴、ウェブ閲覧が中心であれば、高価な機種は必要ありません。写真や動画の編集を行う場合はメモリとストレージに余裕を持たせてください。

古いパソコンを子どもの学習用に残すのはどうですか

インターネットに接続する前提であれば勧められません。更新が止まった状態の端末は、家庭内ネットワークの弱点になります。どうしても使うなら、オフラインでの用途に限定してください。

まとめ

Windows 10のサポートは2025年10月14日に終了しました。いま取るべき行動は、まずWindows 11の要件を満たすかを確認することです。満たすならアップグレード、満たさないならESUに登録して2027年10月12日までの猶予を確保し、その間に買い替えを進めるという順序になります。ESUには無料で登録する方法が用意されているため、費用を理由に何もしないという選択は取らないでください。提供されるのは緊急および重要のセキュリティ更新のみで、機能の向上や技術サポートは含まれません。更新が止まった端末を家庭内に残しておくことは、その端末だけの問題ではなく、同じネットワークにつながる他の機器にも関わる問題です。

出典

マイクロソフトが公開するWindows 10 コンシューマー向け拡張セキュリティ更新(ESU)の案内(対象はWindows 10 バージョン22H2のHome/Professional/Pro Education/Workstations、登録は設定のバックアップ・Microsoftリワード1,000ポイント・30米ドル相当額の購入の3通り、提供は緊急および重要のセキュリティ更新のみ、2027年10月12日まで)/Windows 11のシステム要件/情報処理推進機構(IPA)が示す情報セキュリティ対策の基本(ソフトウェアの更新)/資源の有効な利用の促進に関する法律に基づくパソコンの回収制度/マイクロソフト「Windows 10 Consumer Extended Security Updates (ESU)」(1ライセンス10台、対象外の端末、Microsoftアカウントとの紐づき)、Microsoft Learn「Extended Security Updates (ESU) program for Windows 10」(2025年11月17日更新、法人・教育機関向けの料金体系と期間、ESUの対象範囲)

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