スマホ本体・基本機能

マイナンバーカードのスマホ搭載でできること 登録手順と紛失時の対応まで

マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載できるようになり、カードを持ち歩かずに手続きできる範囲が広がっています。ただし「カードが不要になる」わけではなく、搭載できる機能にも段階があります。この記事では、デジタル庁が公表している資料をもとに、何が搭載されるのか、いつから何ができるようになったのか、登録の手順と紛失時の対応まで整理します。仕組みの部分も押さえておくと、できること・できないことの線引きが分かりやすくなります。

この記事でわかること

スマートフォンに搭載される2つの機能/AndroidとiPhoneそれぞれの開始時期/登録に必要なものと手順/端末を紛失したときの連絡先と手続き/機種変更や端末を手放すときにやること

搭載されるのは2つの機能

デジタル庁の資料によれば、マイナンバーカードが持つ機能は大きく2つに分かれ、それぞれ段階的にスマートフォンへ搭載されてきました。

機能 内容
電子証明書機能 電子署名および電子認証の機能
属性証明機能 氏名、氏名の振り仮名、住所、生年月日、性別、マイナンバー、顔写真の証明の機能

電子証明書機能のスマートフォン搭載は、令和5年5月11日にAndroid端末から開始されました。属性証明機能についても必要な改正法が成立しています。iPhoneについては、両方の機能の搭載を目指すことが令和6年5月に公表され、2025年6月24日にサービスが開始されました。

カード代替電磁的記録という仕組み

この仕組みは、マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の改正によって整備されました。デジタル庁の資料では、スマートフォンだけで本人確認を可能とする記録を「カード代替電磁的記録」と呼び、関係する主体を3者に整理しています。

主体 役割
発行者 地方公共団体情報システム機構(J-LIS)。カード代替電磁的記録を発行する
移動端末設備保持者 発行を申請し、受け取って自分の端末に記録する利用者
受信者 利用者から記録の送信を受ける行政機関や事業者

申請と搭載の段階では、実際のマイナンバーカードをスマートフォンにかざして機能をダウンロードします。つまり最初の登録時にはカードが必要で、その後の利用時はカードをかざさずに済むという流れです。資料でも「はじめは、マイナンバーカードをかざして、スマホにマイナンバーカード機能をダウンロード」と説明されています。

何ができるようになったのか

デジタル庁の資料に示されている用途を、時期とあわせて整理します。

用途 状況
マイナポータルの利用 2025年6月24日から可能
コンビニ交付サービスの利用 2025年6月24日から可能
健康保険証としての利用 2025年9月19日から、読み取りの環境が整った医療機関・薬局で順次可能
e-Taxでの確定申告 利用できる(デジタル庁の「使える場所やサービス」に記載)
各種民間サービスの申込・利用(銀行・証券の口座開設、携帯電話の申込、キャッシュレス決済の申込など) 今後、順次可能にしていく。Androidは、属性証明機能を加えた「Androidのマイナンバーカード」の提供が2026年10月20日に始まる予定(デジタル庁は予定日が変わる可能性もあるとしている)
図書館カード等としての利用、災害時・救急時の利用 今後、順次可能にしていく

マイナポータルでは、行政手続のオンライン申請(子育て支援、引越し、確定申告など)、自分の情報の閲覧(薬剤・健診情報、母子健康手帳、予防接種など)、個人向けのお知らせの受け取りができます。

一方で、スマートフォンに入れたマイナンバーカードはマイナ免許証としては使えません。デジタル庁のQ&Aでも、「iPhoneのマイナンバーカード」と「Androidスマホ用電子証明書」のどちらもマイナ免許証として利用できないと答えています。運転するときは実物のカードか免許証が必要です。

医療機関でスマホを保険証として使うとき

厚生労働省は2025年9月19日に、全国の医療機関・薬局が使うオンライン資格確認システムでスマートフォンの読み取り機能を開放しました。ただし医療機関に対応が義務づけられたわけではなく、スマホ用の汎用カードリーダーを導入した施設から順に受け付けが始まっています。

受付での操作は2段階です。まず設置されている顔認証付きカードリーダーで本人認証を行い、そのうえでスマートフォンを汎用カードリーダーにかざします。カードのときのようにカードリーダーへ置くだけでは完結しない点が異なります。

対応している施設は厚生労働省のサイトで検索できますが、掲載されるのは読み取りの実績が確認された施設で、反映にはタイムラグがあります。また掲載されていても当日の状況で使えないことがあります。スマホだけを持って受診するのは避け、当面はマイナンバーカードも一緒に持っていくのが確実です。対応している施設はステッカーを掲示していることがあるので、受付で目印にしてください。

整理すると、マイナポータルの利用とコンビニ交付は搭載当初から、健康保険証としての利用は2025年9月19日から使えます。ただし保険証利用は医療機関側の対応が前提で、民間サービスへの対応はこれから広がっていく段階です。窓口で身分証明書として提示する場面など、物理カードが必要になる場面は残ります。カードを処分してよいという話ではない点に注意してください。

登録に必要なものと手順

必要なもの 内容
マイナンバーカード 登録時に端末へかざして読み取る
券面入力用暗証番号 数字4桁。カード交付時に設定したもの
署名用パスワード 英数字6〜16文字。カード交付時に設定したもの
対応する端末 iPhoneはiOS 18.5以降を搭載したiPhone XS以降。Android端末は対応機種の一覧が公開されている
マイナアプリ 登録の手続きはこのアプリから行う。2026年8月25日に「マイナポータルアプリ」から呼称が変わった。旧アプリは最新版に更新すればマイナアプリとして使える。端末の画面ロック設定が必須

暗証番号やパスワードが分からない場合、市区町村の窓口で再設定の手続きが必要になります。登録を始める前に、この2つが手元で確認できるかを先に確かめておくと、途中で止まらずに済みます。とくに署名用パスワードは、カードを受け取ったとき以来使っていない人も多い項目です。

登録が完了すると、4桁の暗証番号を入力する代わりに、端末の顔認証や指紋認証を使うことも可能になります(機種による)。生体認証の方式ごとの違いは指紋認証と顔認証 スマホの生体認証はどちらを選ぶべきかで扱っています。端末を新しくしたときにまとめて済ませたい設定はスマホの初期設定で最初にやっておくべきこと8つにまとめました。

紛失したときの手続き

重要な機能を搭載する以上、端末を失ったときの手順を先に知っておく必要があります。

状況 やること
端末を紛失した マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)に連絡し、スマホ用電子証明書の一時利用停止を依頼する。一時利用停止の受付は24時間365日
端末が手元に戻った 一時利用停止の解除の手続きを行う
戻らなかった 失効の手続きを行う
マイナンバーカード本体も紛失した 「特急発行・交付制度」で原則1週間で再交付を受けられる。紛失から30日以内に市区町村窓口で申請し、発行手数料2,000円(電子証明書が不要な場合は1,800円)を支払う
機種変更する 古いスマホから追加済みのカードを削除し、新しいスマホに追加する。古いスマホと新しいスマホの両方がインターネットにつながっていれば、新しいスマホへの追加だけで完了する
端末を売却・譲渡する 手放す前に必ず失効の手続きを済ませる

端末を下取りに出したり売却したりする前に、失効の手続きを忘れないでください。初期化しただけでは手続きが完了したことになりません。手続きをせずに端末を手放してしまった場合も、フリーダイヤルへの連絡で対応できます。気づいた時点ですぐ連絡してください。端末を手放すときの手順全般は使わなくなったガジェットの手放し方5経路を比較 売却・下取り・リサイクルの選び分けにまとめています。

紛失時には、電子証明書の停止だけでなく端末そのものへの対応も必要です。回線の停止、端末を探す機能による位置の確認と遠隔ロック、必要に応じた遠隔消去という流れになります。手順や遠隔操作でできることの範囲はスマホを紛失・盗難されたときにまずやるべきことで扱っています。

デジタル庁のリーフレットに見る、失効と一時利用停止の使い分け

デジタル庁が配布しているリーフレット(2023年時点のAndroid向け「スマホ用電子証明書」の案内)は、端末を手放す場面と失う場面で手続を分けています。表にすると次のとおりです。

場面 手続 窓口
下取・買取に出す、回収・廃棄してもらう、修理に出す 失効手続 手放す前の端末で、アプリ(現在のマイナアプリ)から行う
紛失した、盗難にあった 一時利用停止(戻らなければ失効) マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)に電話する

リーフレットには、失効手続は法律により利用者本人が行う義務があり、販売店のスタッフなどが代行することはできないと書かれています。買取や修理の店頭で「こちらで処理します」と言われても、本人の手続は別に必要になる、という読み方ができます。パスワードを忘れた場合や端末を操作できない場合は、同じフリーダイヤルに問い合わせる案内です。電話の音声案内では、2番が「マイナンバーカード及び電子証明書を搭載したスマートフォンの紛失・盗難」、4番が「マイナポータル及びスマートフォンのマイナンバーカードに関するお問い合わせ」です。一時利用停止は24時間365日の受付ですが、そのほかの問い合わせは平日9時30分から20時、土日祝日は9時30分から17時30分です。

機種変更については、令和5年8月改訂のリーフレットが、新しいスマートフォンのアプリ(当時の名称はマイナポータルアプリ)で「メニュー」から「機種変更」を選ぶ手順を示しています。パスワード(英大文字と数字を含む6〜16文字)の入力とマイナンバーカードの読み取りを行うと、新端末の電子証明書の発行から古い端末の電子証明書の失効までを一連で進められるとされています。古い端末はWi-Fiなどのネットワークにつないでおくよう勧められています。

これらは2023年時点のAndroid向け資料に基づく内容です。現在のデジタル庁の案内「スマートフォンを手放す・機種変更するとき」では、手順は「追加済みのマイナンバーカードを削除する」「必要に応じて新しいスマートフォンに追加する」の2つに整理されています。古いスマホと新しいスマホの両方がインターネットにつながっていれば、2つ目の操作だけで済みます。19時30分以降に削除した場合、新しいスマホに追加できるのは翌朝8時以降です。実際の操作の前に、この最新の案内を確認してください。

安全面で押さえておくこと

項目 内容
画面ロックは必須 ロックをかけていない端末に重要な機能を搭載しない
暗証番号を端末内にメモしない 連絡先やメモアプリに残すのは避ける
公式アプリから手続きする 検索結果の広告や、メールのリンクから開いた画面で暗証番号を入力しない
連絡先を控えておく 紛失時のフリーダイヤルは、端末以外の場所に控えておく
フィッシングに注意する 公的機関を装って情報を入力させる手口がある。届いたメールやSMSのリンクから開かない

公的な仕組みを装ったフィッシングは、情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ10大脅威でも継続して挙げられている手口です。突然届いたメールやSMSのリンクからは開かず、公式アプリかブックマークからアクセスするという原則を守ってください。家庭でできる対策の全体像は家庭のセキュリティ対策 10大脅威2026を30分・今週・習慣の3段階に置き換えるにまとめました。

よくある失敗と注意点

暗証番号が分からず登録できない

券面入力用暗証番号(数字4桁)と署名用パスワード(英数字6〜16文字)の両方が必要です。分からない場合は市区町村の窓口で再設定します。

物理カードを処分してしまう

搭載できる用途は段階的に広がっている途中です。窓口での提示など、カードが必要な場面は残ります。

機種変更のときに失効手続きを飛ばす

手放す前のスマホから追加済みのカードを削除し、新しいスマホに追加します。両方がインターネットにつながっていれば新しいスマホへの追加だけで完了します。初期化だけでは完了しません。

家族の端末で登録しようとする

本人の端末に本人の機能を搭載する仕組みです。家族の分をまとめて1台に入れることはできません。

紛失時の連絡先を端末にだけ保存している

その端末を失ったときに参照できません。紙や別の端末に控えておいてください。

よくある質問

マイナンバーカードは持ち歩かなくてよくなりますか

スマートフォンで完結する場面は増えていますが、現時点ですべてが置き換わったわけではありません。デジタル庁の資料でも、民間サービスへの対応は今後順次進めるとされています。当面はカードを保管したうえで、対応している手続きからスマートフォンに移していくのが現実的です。

対応している端末を知りたい

iPhoneはiOS 18.5以降を搭載したiPhone XS以降が対象です。Android端末については対応機種の一覧が公開されています。手持ちの端末が該当するかは、マイナポータルの案内で確認してください。

登録にはどのくらい時間がかかりますか

暗証番号とパスワードが手元にあれば、アプリの案内に沿って進める作業です。時間がかかるのは、暗証番号が分からず窓口での再設定が必要になった場合です。先に確認しておくことをおすすめします。

生体認証だけで使えるようになりますか

機種によっては、4桁の暗証番号の代わりに端末の顔認証や指紋認証を使えます。ただしすべての操作が生体認証で完結するわけではなく、手続きの種類によっては署名用パスワードの入力が求められます。

端末を紛失したらどこに連絡すればよいですか

マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)です。スマホ用電子証明書の一時利用停止は24時間365日受け付けられています。端末が見つかれば解除の手続き、見つからなければ失効の手続きに進みます。

スマートフォンを売るときは何をすればよいですか

手放す前に失効の手続きを済ませてください。初期化だけでは手続きは完了しません。手続きをせずに発送してしまった場合も、気づいた時点でフリーダイヤルに連絡してください。

高齢の家族に勧めてもよいですか

登録には暗証番号の管理が伴い、紛失時には自分で連絡して手続きする必要があります。本人が管理できるかを確認したうえで判断してください。家族が手続きを補助する場合も、暗証番号は本人が管理する前提です。端末そのものの選び方はシニア向けスマホの選び方、家族が確認すべきポイントが参考になります。

2台のスマートフォンに搭載できますか

できません。マイナンバーカードを追加できるスマートフォンは1人につき1台で、新しいスマートフォンに追加すると、それまでのスマートフォンでは使えなくなります。使わなくなった端末に機能を残したままにしないよう、手放す前に削除しておいてください。

まとめ

マイナンバーカードのスマートフォン搭載は、電子証明書機能と属性証明機能の2つを対象に段階的に進んできました。Androidは令和5年5月11日から、iPhoneは2025年6月24日から利用できます。スマートフォンだけで完結するのはマイナポータルの利用とコンビニ交付、そして対応済みの医療機関での保険証利用で、民間サービスへの対応は今後順次進む段階です。登録には券面入力用暗証番号(数字4桁)と署名用パスワード(英数字6〜16文字)が必要なので、始める前に手元で確認できるか確かめてください。そして重要なのは、紛失したときの手順を先に知っておくことです。マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)で一時利用停止を24時間受け付けています。機種変更や端末を手放すときの失効手続きも忘れないでください。

出典

デジタル庁「マイナンバーカード機能のスマホ搭載について(カード代替電磁的記録の仕組みの概要を含む)」(2025年6月24日、国民向けサービスグループ スマホ搭載班)/デジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律によるマイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)の改正/地方公共団体情報システム機構(J-LIS)によるカード代替電磁的記録の発行/厚生労働省「スマートフォンのマイナ保険証利用について」(2025年9月19日利用開始、対応医療機関の検索と受付手順を含む)/マイナポータルおよびマイナンバーカード総合サイトが案内する一時利用停止・失効の手続き(マイナンバー総合フリーダイヤル0120-95-0178)/デジタル庁リーフレット「マイナポータルアプリでスマホ用電子証明書を登録している方へ」(2023年11月付)、同「スマホ用電子証明書搭載サービス 機種変更後もご利用いただくために」(令和5年8月改訂)、マイナンバーカード総合サイト「スマートフォンを紛失した場合の一時停止方法」。失効手続が利用者本人の義務であること、一時利用停止との使い分け、機種変更の手順を参照しました。

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