イヤホンやスピーカーは種類が多く、価格の幅も広い分野です。音質という言葉で語られがちですが、実際に満足度を左右するのは使う場面に合った形式を選べているかどうかです。通勤で使うのか、家で長時間使うのか、家族と同じ部屋で使うのかで、最適な形は変わります。この記事では家庭で使うオーディオ機器を10分野に分け、用途別の向き不向きを整理します。あわせて、見落とされがちな音量と聴く時間の関係についても、世界保健機関(WHO)が示す基準をもとに具体的な数値で示します。
この記事でわかること
オーディオ機器10分野の役割と費用の目安/用途別に見た向き不向きのマトリクス/WHOの基準から計算した音量ごとの安全な聴取時間の早見表/Bluetoothのコーデックと接続規格の関係/機器選びでよくある失敗
先に知っておきたい 音量と聴く時間の関係
機器の話に入る前に、この分野で最も見落とされている点から始めます。WHOは安全な聴取の国際基準として、大人は80dBで1週間に最大40時間、子どもは75dBで1週間に最大40時間という目安を示しています。そして音の大きさが3dB増えるごとに、許容できる時間は約半分になります。
音量別の安全な聴取時間の早見表
WHOが示す80dBで週40時間という基準と、3dBごとに半減するという関係から計算した早見表です。
| 音量 | 1週間あたりの目安 | 1日あたりに換算すると |
|---|---|---|
| 80dB | 40時間 | 約5時間40分 |
| 83dB | 20時間 | 約2時間50分 |
| 86dB | 10時間 | 約1時間25分 |
| 89dB | 5時間 | 約43分 |
| 92dB | 2.5時間 | 約21分 |
| 95dB | 約1.2時間 | 約11分 |
| 98dB | 約38分 | 約5分 |
| 101dB | 約19分 | 約3分 |
この表が示すのは、音量を少し上げるだけで、安全に聴ける時間が急激に短くなるという事実です。80dBなら週40時間(1日に割ると5時間以上)ですが、WHOは90dBになると安全に聴ける時間が週4時間まで減るとしています。週4時間を7日で割ると1日あたり約34分の計算です。
子どもは基準が75dBで週40時間と低いため、同じ音量でも聴ける時間はさらに短くなります。WHOが2024年の発表で紹介した大人と子どもの目安を並べると次のとおりです(いずれも1週間あたり)。
| 音量 | 大人(80dBで週40時間が基準) | 子ども(75dBで週40時間が基準) |
|---|---|---|
| 83dB | 20時間 | 約6.5時間 |
| 86dB | 10時間 | 約3.25時間 |
| 92dB | 2.5時間 | 45分 |
| 98dB | 38分 | 12分 |
難聴のリスクについて、WHOはいくつかの数字を出しています。2015年の発表では、スマートフォンなどの個人用音響機器を安全でない使い方で使うことや、ナイトクラブ・バー・スポーツ観戦などの大きな音によって、十代と若年成人の約11億人が難聴のリスクにさらされていると推計しました。同じ発表では、中・高所得国の調査をWHOが分析した結果として、12〜35歳のほぼ半数が個人用音響機器で安全でない音量にさらされているとも示しています。これとは別に、WHOのファクトシートでは2050年までに約25億人が何らかの難聴を抱えると予測されています。厚生労働省もヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について注意を促しています。
音量を上げてしまう最大の原因は、周囲の騒音です。電車やバスの中で音が聞こえにくいから音量を上げる、という行動が繰り返されます。ノイズキャンセリング機能は、音質を良くするためではなく、音量を上げずに済ませるための機能だと捉えると選ぶ理由がはっきりします。実際、周囲の騒音が下がれば同じ聞こえ方でも必要な音量は下がります。多くの機器には音量の履歴を確認できる機能があるので、一度自分の平均音量を見てみることをおすすめします。WHOは、端末の音量を最大の60%以下に抑えることや、フィットの良いノイズキャンセリング付きのヘッドホンで音量を上げる必要を減らすことを勧めています。
選定基準 使う場面で分けて評価する
オーディオ機器に唯一の正解はありません。同じ機器でも、使う場面が変われば評価が逆になります。そこでこの記事では、機器の性能を一列に並べるのではなく、次の4つの場面ごとに向き不向きを判定しました。
| 場面 | その場面で重視されること |
|---|---|
| 通勤・移動 | 携帯性、遮音性、周囲の音を取り込めるか、連続再生時間 |
| 在宅の作業 | 長時間の装着感、会話への切り替えやすさ、有線か無線か |
| 家族と同室 | 音漏れの少なさ、呼びかけに気づけるか |
| ゲーム | 遅延の小ささ、マイクの有無、装着の安定 |
費用の目安は、同じ分野の中で標準的な製品の価格帯を示したものです。高価な製品ほどすべての場面で優れるわけではなく、場面との相性のほうが効きます。比較表は、この4場面での向き不向きを並べたものとして読んでください。あわせて、どの機器を選ぶ場合でも共通する制約として、音量と聴取時間の関係を先に扱っています。
オーディオ機器10分野の比較
用途別の向き不向きを整理しました。◎は適している、○は使える、△は条件による、という意味です。
| 分野 | 通勤・移動 | 在宅の作業 | 家族と同室 | ゲーム | 費用の目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 完全ワイヤレスイヤホン | ◎ | ○ | ◎ | △ | 3千〜4万円 |
| 有線イヤホン | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | 1千〜3万円 |
| オーバーイヤーヘッドホン | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | 5千〜6万円 |
| 骨伝導・オープンイヤー型 | ◎ | ◎ | ○ | △ | 8千〜3万円 |
| Bluetoothスピーカー | △ | ○ | △ | △ | 3千〜3万円 |
| サウンドバー | — | △ | △ | ○ | 1万〜10万円 |
| スピーカーフォン | — | ◎ | △ | — | 5千〜3万円 |
| ゲーミングヘッドセット | — | ○ | ◎ | ◎ | 5千〜3万円 |
| 据置型スピーカー | — | ○ | △ | ○ | 1万〜20万円 |
| 補助機器(イヤーピース等) | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | 1千〜2万円 |
表を見ると、家族と同じ部屋で使う場面ではスピーカー系がすべて△になります。音が周囲に漏れる機器は、同居する人がいる環境では使いどころが限られるためです。逆に移動中はスピーカー系が使えないため、選択肢はイヤホンかヘッドホンに絞られます。
分野別の特徴と選び方
完全ワイヤレスイヤホン
ケーブルがなく、通勤や移動でもっとも使いやすい形式です。装着感が音質にも遮音性にも影響するため、イヤーピースのサイズ選びは軽視できません。基本的な確認項目や装着感の調整、ケースを紛失しやすいという弱点への対策はワイヤレスイヤホンを選ぶときに見るべき基本ポイントにまとめています。
有線イヤホン
充電が不要で、遅延がほとんどなく、同じ価格帯ならワイヤレスより音質面で有利になりやすい形式です。ケーブルが邪魔になる場面はありますが、机に向かって使う用途やゲームでは利点が上回ります。近年のスマートフォンにはイヤホン端子がない機種が多いため、USB Type-C接続の製品か変換アダプタが必要になります。
オーバーイヤーヘッドホン
耳を覆う形式で、長時間でも耳の内部が圧迫されにくく、遮音性も確保しやすい形式です。重量があるため首や頭への負担は増えます。在宅で長時間作業する用途に向きます。夏場は蒸れやすいという弱点があり、通気性のあるイヤーパッドの製品を選ぶか、季節で使い分ける方法があります。
骨伝導・オープンイヤー型
耳をふさがず、周囲の音を聞きながら使える形式です。屋外での安全性を重視するなら有力な選択肢になります。反面、周囲の騒音が入るぶん音量を上げがちになる点は、前章の観点からは注意が必要です。静かな環境で使うのであれば問題は小さくなります。
ノイズキャンセリング機能
形式ではなく機能ですが、選択に大きく関わるため独立して扱います。マイクで拾った騒音の逆位相の音を重ねるアクティブ方式は、電車や航空機の走行音のような低い周波数の連続音に効果を発揮します。人の話し声のような不規則で高い音は完全には打ち消せません。仕組みの詳細はノイズキャンセリングイヤホンの仕組みと選び方にまとめています。
Bluetoothスピーカー
持ち運びや屋外での使用に向く形式です。防水性能の等級、連続再生時間、サイズと音量のバランスが選定の軸になります。室内で据え置いて使うなら、電池を持たない据置型のほうが同じ価格でも音の面で有利になります。用途別の選び方はBluetoothスピーカーの選び方とおすすめの用途で扱っています。
サウンドバー
薄型テレビの内蔵スピーカーは、本体の薄さゆえに音の面で制約があります。サウンドバーはその補強として使われます。チャンネル数と接続方式が主な比較項目で、テレビ側の端子(HDMI ARC/eARCへの対応など)との相性を確認する必要があります。詳細はサウンドバーの選び方 チャンネル数と接続方式で比較、テレビ側の選び方は家庭用テレビの選び方 有機ELと液晶の違いを比較にあります。
スピーカーフォン
会議用途に特化した機器で、マイクとスピーカーが一体になっています。相手の声を自分のマイクが拾い直すエコーを抑える処理が組み込まれている点が、通常のスピーカーとの違いです。使いどころはスマホの初期設定と使いながら見直す設定まとめ 通知・アプリ整理・位置情報・画面録画・音声操作まで、会議まわりの機器全般はweb会議用マイク・カメラの選び方、内蔵機能との違いを知るで扱っています。
ゲーミング用の機器
ゲーム用途で重視されるのは、音の遅延の少なさと、音の方向が分かりやすいことです。無線接続では遅延が問題になりやすいため、有線または低遅延に対応した専用の無線方式が選ばれます。なお、WHOが2024年に紹介した研究のまとめでは、ゲーミング用のヘッドホンは安全でない音量に達することがあり、一部のゲーマーが難聴のリスクを負う可能性があると指摘されています。長時間遊ぶ場合は音量にも気を配ってください。通常のイヤホンとの違いはゲーミングイヤホンと通常イヤホンの違いにまとめました。
補助機器という選択
本体を買い替えなくても、イヤーピースの交換や、音を整える機器の追加で改善する場合があります。手持ちの機器の不満が装着感によるものなら、数百円から数千円のイヤーピースで解決することもあります。音量や音質を底上げする周辺機器についてはスマホの音量・音質を底上げする周辺機器の選び方で扱っています。
コーデックと接続規格の整理
ワイヤレス機器の仕様表に並ぶ用語を整理します。ここを理解しておくと、仕様の読み方が変わります。
| 用語 | 意味 | 押さえておく点 |
|---|---|---|
| コーデック | 音声データを圧縮して送る方式 | 送信側(スマートフォン等)と受信側(イヤホン)の両方が対応していないと使えない |
| SBC | Bluetoothオーディオの標準的なコーデック | ほぼすべての機器が対応する共通の土台 |
| AAC | 圧縮効率に優れるコーデックのひとつ | 対応する機器が広く普及している |
| aptX系・LDAC等 | 各社が開発した独自のコーデック。たとえばソニーのLDACは高音質を重視した方式で、最大990kbpsで伝送できるとされる | 送受信の両方が同じ方式に対応している必要がある |
| LE Audio・LC3 | Bluetooth SIGが定めた新しい世代のオーディオ規格と、そこで使われるコーデック | 低消費電力や複数機器への同時送信などが特徴とされる。Bluetooth SIGによると、LC3はSBCより50%低いビットレートでも音質が向上するという |
| マルチポイント | 2台の機器に同時に接続しておく機能 | パソコンとスマートフォンを行き来する使い方で効く |
コーデックについて押さえておきたいのは、高音質をうたうコーデックに対応したイヤホンを買っても、送信側の機器が対応していなければその方式では接続されないという点です。仕様表で対応コーデックを見るときは、手持ちのスマートフォンやパソコン側の対応も併せて確認してください。
接続が不安定になったときの対処はBluetooth接続トラブルの原因と基本の対処法にまとめています。
遅延が問題になる場面とならない場面
無線接続では、音声データを圧縮して送り、受け取って再生するまでにわずかな時間がかかります。音楽を聴くだけなら気づきませんが、映像と音を同時に扱う場面では差が出ます。
| 場面 | 遅延の影響 |
|---|---|
| 音楽を聴く | ほぼ問題にならない |
| 動画を見る | 口の動きと音がずれて見えることがある。動画アプリ側で補正される場合も多い |
| オンライン会議 | 自分の発言と相手の反応がかみ合いにくくなることがある |
| 音楽ゲーム・対戦ゲーム | 操作と音がずれ、プレイに直接影響する |
| 楽器の演奏やモニタリング | 実用に耐えないため有線が前提になる |
遅延の少なさをうたうコーデックや専用の無線方式もありますが、確実なのは有線接続です。ゲームや演奏の用途では、無線の利便性より接続方式を優先してください。
防水・防塵性能の見方
運動中に使う機器では、汗や雨への耐性が選定の条件になります。等級はIEC(国際電気標準会議)が定める規格に基づき、IPに続く2桁の数字で示されます。1桁目が固形物に対する保護、2桁目が水に対する保護の等級です。
| 表記 | 意味の目安 | 想定できる使い方 |
|---|---|---|
| IPX4 | あらゆる方向からの飛沫に対する保護 | 汗や小雨の中での使用 |
| IPX5 | あらゆる方向からの噴流水に対する保護 | 強めの雨、水で軽く流す程度 |
| IPX7 | 一定の条件下で水中に沈めても影響がない | 水没の可能性がある場面 |
| IP54 | 粉塵に対して一定の保護があり、飛沫にも耐える | 屋外での運動や作業 |
数字が大きいほど厳しい条件に耐えますが、等級は試験条件下での結果であり、海水や洗剤を含む水、高温の湯は想定されていません。また充電端子部分は保護の対象外という製品もあります。等級の読み方の詳細はスマホの防水性能表示(IP等級)の見方で扱っています。
手入れと寿命の考え方
オーディオ機器は消耗品としての側面があります。とくにワイヤレス機器は内蔵バッテリーの劣化が寿命を決めます。
| 部位 | 起きること | 対処 |
|---|---|---|
| 内蔵バッテリー | 充放電の繰り返しで容量が減り、連続再生時間が短くなる | 多くの製品で交換できない。使用状況によるが数年で買い替えの検討時期になる |
| イヤーピース | 硬化・変形して密閉性が落ちる | 数百円から交換できる。音が変わったと感じたらまずここを疑う |
| 音の出口の網目 | 耳垢や埃で詰まり、音が小さくなる | 乾いた柔らかいブラシで清掃する。水や綿棒を差し込むのは避ける |
| 充電ケース | 端子部分の汚れで充電されなくなる | 乾いた綿棒等で端子の汚れを取る |
| ヘッドホンのイヤーパッド | 表面が劣化して剥がれる | 交換用パッドが販売されている製品もある |
片側だけ再生時間が極端に短くなった、充電しても満充電にならないという症状が出たら、バッテリーの劣化を疑ってください。音が小さくなった、こもるようになったという症状は、故障ではなく詰まりやイヤーピースの劣化であることが多いため、買い替えの前に確認する価値があります。
用途別の組み立て方
1台ですべてをまかなおうとすると、どの場面でも中途半端になります。生活の中で時間の長い場面から順に揃えるのが効率的です。
| 生活の型 | 優先する1台目 | 2台目に足すなら | 理由 |
|---|---|---|---|
| 通勤・通学が長い | ノイズキャンセリング付きの完全ワイヤレスイヤホン | 在宅用のヘッドホン | 騒音下で音量を上げずに済ませることを最優先する |
| 在宅勤務が中心 | オーバーイヤーヘッドホンまたはスピーカーフォン | 移動用のワイヤレスイヤホン | 長時間の装着感と会議での聞き取りやすさを優先する |
| 家族と同じ部屋で過ごす | イヤホンまたはヘッドホン | 低音量でも聞き取りやすいスピーカー | 音漏れが問題になる環境ではスピーカー系の出番が限られる |
| テレビや映画をよく見る | サウンドバー | 夜間用のワイヤレスヘッドホン | 時間帯で使い分けると家族への影響を抑えられる |
| ゲームが中心 | 有線または低遅延無線のヘッドセット | マイク単体 | 遅延と音の方向の正確さを優先する |
| 屋外での運動が多い | 骨伝導・オープンイヤー型 | — | 周囲の音を聞ける状態を保つ |
予算別の考え方
| 予算 | 現実的な選択 | この価格帯で妥協する部分 |
|---|---|---|
| 5千円まで | 基本的な機能の完全ワイヤレス、または有線イヤホン | ノイズキャンセリングの効き、装着感の選択肢 |
| 1万5千円まで | ノイズキャンセリング付きの完全ワイヤレス | 最上位機との差は静けさの度合いと通話品質に出やすい |
| 3万円以上 | 上位機種、またはオーバーイヤーヘッドホン | 価格差ほどの体感差が出るかは使う環境による |
騒がしい場所で使うほど、ノイズキャンセリングにお金をかける価値が上がります。逆に静かな部屋でしか使わないなら、同じ予算を音質や装着感に振ったほうが満足度は高くなります。
聴覚を守る具体的な運用
機器を選んだあとの使い方の話です。前章の早見表を日常に落とし込みます。
| やること | 内容 |
|---|---|
| 音量の履歴を確認する | 多くのスマートフォンに、聴取音量の記録や警告の機能がある。まず自分の平均を知る |
| 静かな場所で音量を決める | 騒がしい場所で決めた音量は、静かな場所では大きすぎる。基準は静かな環境で作る |
| 騒音は音量ではなく遮音で対処する | ノイズキャンセリングや遮音性の高いイヤーピースで、上げずに済ませる |
| 連続して使わない時間を作る | 長時間の連続使用を避け、耳を休ませる時間を挟む |
| 子どもの端末は上限を設定する | OSの機能で音量の上限を設定できる。WHOの基準では子どもは75dBで週40時間 |
| 耳の異常に気づいたら使用を止める | 耳鳴りや聞こえにくさが続く場合は耳鼻咽喉科を受診する |
難聴は徐々に進行し、自分では気づきにくいという性質があります。厚生労働省もヘッドホン難聴について、大きな音を長時間聴き続けることで起こると説明しています。失われた聴力は元に戻らない場合があるため、機器の性能を比べる前に、音量と時間の管理を習慣にしておく価値があります。
ほかの機器とまとめて考える場面
音の機器は、単独で使うより他の機器と組み合わせる場面が多くなります。先に何と一緒に使うかを決めておくと、必要な接続方式が絞れます。
| 組み合わせる相手 | 効いてくる条件 | 整理した記事 |
|---|---|---|
| テレビや映像機器 | ARC・eARCへの対応、遅延の小ささ | 家庭の写真・映像を残す仕組み 撮る機器の選び分けから保存の設計まで |
| ゲーム機 | 遅延の小ささ、マイクの有無、装着の安定 | 家庭のゲーム環境の整え方 機器10分野の比較と無断課金を防ぐ設定 |
| 在宅ワークの環境 | 長時間の装着感、会話への切り替えやすさ | 在宅ワークのデスク環境ガジェット20分野を比較 投資優先度スコアで買う順番を決める |
同じヘッドセットでも、会議では声の明瞭さ、ゲームでは遅延の小ささが優先されます。兼用する場合は、どちらを優先するかを先に決めてください。両方で最高の結果を出せる機器はほとんどありません。
よくある失敗と注意点
スペック表の数値だけで選ぶ
再生周波数帯域やドライバーの口径は、測定条件がメーカーごとに異なり、そのまま横並びで比較できません。装着感や遮音性のほうが体感には効きます。
付属のイヤーピースのまま使い続ける
サイズが合っていないと、低音が抜けて物足りなく感じ、音量を上げる原因になります。サイズ違いを試すだけで印象が変わることがあります。
高音質コーデック対応を理由に選んで、送信側が非対応
コーデックは送受信の両方が対応して初めて機能します。手持ちの端末側の対応を確認してください。
ゲーム用に無線イヤホンを選んで遅延に悩む
音の遅れが問題になる用途では、有線か低遅延に対応した専用の無線方式を選びます。汎用のBluetooth接続は遅延が生じやすい方式です。
屋外で耳をふさぐ形式を使い、周囲の音が聞こえない
ノイズキャンセリングを効かせたまま道路を歩くのは危険です。外音を取り込む機能に切り替えるか、オープンイヤー型を使ってください。
よくある質問
音量はどのくらいに抑えればよいですか
WHOの基準では、大人は80dBで週40時間、子どもは75dBで週40時間が目安とされています。3dB上がるごとに許容時間は約半分になるため、音量を上げるほど聴ける時間は急激に短くなります。端末に音量の記録機能があれば、自分の平均を確認してみてください。
ノイズキャンセリングは体に悪いですか
機能そのものが聴力に害を及ぼすという説明は、公的機関からは示されていません。むしろ周囲の騒音を抑えることで音量を上げずに済むため、聴覚の保護という観点では有利に働きます。ただし気圧の変化を感じるような違和感がある場合は、無理に使い続けないでください。
高いイヤホンほど音は良いですか
価格と満足度は比例しません。装着感が合わない高価な機器より、耳に合う中価格帯の機器のほうが良く聞こえることは珍しくありません。とくに遮音性は装着状態で大きく変わるため、イヤーピースの適合が価格差を上回る場合があります。
有線とワイヤレスはどちらを選ぶべきですか
移動しながら使うならワイヤレス、机に向かって使うなら有線という分け方が基本です。有線は充電が不要で遅延がなく、同じ価格帯なら音の面で有利になりやすい形式です。両方を用途で使い分けるのが現実的な解になります。
片方だけ音が出なくなりました
接続の問題か、本体の故障か、イヤーピースの詰まりかを切り分けます。まず接続をリセットし、別の機器につないで再現するか確認してください。手順は接続トラブルの記事にまとめています。片側だけ電池の減りが早い場合は、経年劣化の可能性があります。
会議用と音楽用は分けるべきですか
1台で兼ねられますが、会議が多いなら通話品質を重視した機器を選ぶ価値があります。マイクの位置と数、周囲の音を抑える処理の有無で、相手に届く声の明瞭さが変わります。同じ部屋に家族がいる環境では、スピーカーフォンよりヘッドセットのほうが適します。
子どもにイヤホンを使わせても大丈夫ですか
音量の上限を設定したうえで、使う時間を決めるという前提であれば問題は小さくなります。WHOの基準では子どもは75dBで週40時間とされており、大人より低い水準です。OSの機能で上限を設定できるので、渡す前に設定してください。
サウンドバーとスピーカーはどちらがよいですか
テレビの音を良くしたいならサウンドバー、音楽を聴きたいならスピーカーという分け方になります。サウンドバーはテレビの前に置く形状で人の声を聞き取りやすくする設計の製品が多く、音楽再生に最適化されているとは限りません。
まとめ
オーディオ機器は、音質の優劣より使う場面との相性で選ぶほうが満足度が上がります。通勤が長いならノイズキャンセリング付きのワイヤレスイヤホン、在宅の作業が中心ならオーバーイヤーヘッドホン、屋外の運動が多いならオープンイヤー型というように、時間の長い場面から揃えてください。そしてこの分野で最も重要なのは、機器の選択より音量の管理です。WHOは大人は80dBで週40時間、子どもは75dBで週40時間を目安として示し、音が3dB増えるごとに許容時間は約半分になります。80dBなら週40時間、90dBなら週4時間まで短くなり、少しの音量差が大きな違いを生みます。ノイズキャンセリングは音量を上げずに済ませるための機能だと捉えると、投資する理由がはっきりします。
出典
世界保健機関(WHO)が示す安全な聴取の基準(大人80dBで週40時間、子ども75dBで週40時間、音量が3dB増えるごとに許容時間は約半分。90dBでは週4時間、端末の音量は最大の60%以下が目安)/WHO 2015年3月の発表(十代と若年成人の約11億人が難聴のリスク、中・高所得国の12〜35歳のほぼ半数が個人用音響機器で安全でない音量にさらされている)/WHO ファクトシート「Deafness and hearing loss」(2050年までに約25億人が何らかの難聴と予測)/WHO 2024年1月の発表(ゲームと難聴に関する研究のまとめ、子どもの聴取時間の目安)/ソニー LDAC公式サイト/厚生労働省 e-ヘルスネット「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)について」/Bluetooth SIGが策定するBluetoothおよびLE Audioの各規格/本文中の聴取時間の早見表は、WHOの基準値と3dBごとに半減する関係から算出した参考値
聞こえにくさの補正を目的とする機器については、制度上の扱いがオーディオ機器とは異なります。補聴器と集音器は何が違うのか 制度上の位置づけと購入前に確認することで解説しています。
録音側の機器についてはICレコーダーとAI文字起こしデバイスの選び方 3つの選択肢を比較するで別途扱っています。
オーディオ機器を手放すときの査定のポイントはスマホの下取り・買取相場はどう決まるのかにまとめました。
災害時の情報源として使うラジオの選び方は防災ラジオの選び方 電源方式とワイドFM対応で選ぶで別途扱っています。 骨伝導・オープンイヤー型の詳しい違いは骨伝導とオープンイヤー型の違い 選び方とメガネ併用・音漏れの注意点で扱っています。
