イヤホン・オーディオ

ゲーミングヘッドセットの選び方 開放型・密閉型と装着感で比較する

ゲーミングヘッドセットを選ぶとき、低遅延コーデックやマイク性能といった機能面はゲーミングイヤホンと共通する部分が多く、違いが分かりにくいという声があります。しかし耳を覆う形状ならではの検討点も数多くあり、そこを見落とすと「長時間つけていると耳が痛くなる」「夏場は蒸れて集中できない」といった不満につながります。結論からいうと、ヘッドホン形状で確認すべき基本項目は「開放型・密閉型の違い」「装着感を左右する重量と側圧」「ドライバー方式」「マイクの取り付け方式」の4系統です。この記事ではそれぞれの意味と、接続方式や遅延、マイク性能などイヤホンと共通する要素については既存記事に譲りつつ、ヘッドホン形状ならではの選定ポイントを整理します。

ゲーミングヘッドセットとゲーミングイヤホンの役割分担

低遅延コーデックの仕組み(SBC・aptX Low Latency・LE Audio)、マイクのノイズキャンセリング機能、7.1chバーチャルサラウンドの実体については、ゲーミングイヤホンと通常イヤホンの違いで詳しく扱っています。これらは接続方式に関わる要素であり、イヤホンかヘッドホンかという形状の違いとは別の軸で選ぶことになります。本記事では、その前提を踏まえたうえで、耳を覆う・頭に乗せるという形状によって生じる、装着感・遮音性・音質傾向という3つの検討点に絞って整理します。

ヘッドホン形状ならではの構成要素

開放型(オープン型)・密閉型(クローズド型)

方式 音の特徴 向いている環境
密閉型(クローズド型) 外部の音が入りにくく音漏れも少ない。低音が出やすい傾向 家族と同じ部屋でプレイする、周囲の生活音が気になる環境
開放型(オープン型) ハウジングに通気孔があり、こもらず自然な音場感が出やすい傾向 個室でプレイできる、音の広がりや定位感を重視したい場合

密閉型はハウジングがドライバーごと覆われた構造で遮音性が高い一方、開放型はメッシュ状の通気構造で外部の音も聞こえやすくなります。集合住宅や家族と同じ空間でプレイすることが多いなら密閉型、個室で音の広がりを重視するなら開放型が候補になります。開放型は音が外に漏れやすいため、通話アプリを併用するオンライン対戦や夜間のプレイでは音量に注意が必要です。

メーカー公式の解説ではどう書かれているか

オーディオテクニカは公式サイトの記事「ヘッドホンの基礎知識〜種類と選び方、音の違いを解説」で、密閉型を「音漏れしにくく、外部の音も入りにくい」構造と説明し、「力強い低域を鳴らしやすく」なる一方で「圧迫感や蒸れを感じる場合があり」、高音の抜けは開放型より控えめになる傾向があるとしています。開放型(同社の表記はオープンエアー型)については、ハウジングの背面が完全にはふさがれていない構造で、通気性が高く軽量化しやすいことから「長時間使用しても疲れにくい装着感」を利点に挙げつつ、「音漏れしやすく、静かな公共空間での使用には向いていません」と書いています。

これは一社の公式解説で、ソニーなど他のメーカーの解説ページは今回取得できていません。なお、上の比較表で公式に型式が書かれていた製品(BlackShark V2 X、Cloud II Wireless、INZONE H9)はいずれも密閉型でした。

装着感を左右する重量と側圧

長時間のプレイでは、本体重量とヘッドバンドが側頭部を挟む力(側圧)が快適さに直結します。重量が軽くても側圧が強いモデルはこめかみが痛くなりやすく、逆に側圧が弱すぎると頭を動かしたときにずれやすくなります。イヤーパッドの素材も影響が大きく、低反発ウレタンは耳への圧力を分散しやすい一方、通気性は生地の種類によって差が出ます。夏場や長時間セッションが多いなら、メッシュ生地や通気孔付きのイヤーパッドを採用したモデルが候補になります。メガネを併用する場合は、つるが当たる部分にゆとりのある形状かどうかも確認しておくと安心です。

ドライバー方式とサイズ

音を生み出す振動板(ドライバー)の口径は、各社の公式仕様にも載っています。たとえばRazer BlackShark V2 Xは50mm、ソニーのINZONE H9は40mmです。ところが同じソニーのINZONE H9 IIは30mmで、型番が新しいほど口径が大きいわけではありません。口径は公式仕様に載る数字の一つにすぎず、それだけで音の傾向は決まらないので、数字の大小で選ぶのは避けたほうがよいと考えます。比べるときは仕様表の「ドライバーユニット」「型式」「周波数特性」の欄をそろえて並べ、店頭で試せるなら普段遊ぶゲームの足音を聞き分けやすいかを確かめておくと安心です。

マイクの取り付け方式

方式 特徴
固定ブーム型 本体に一体化されており取り外せない。角度調整のみ
着脱式ブーム型 マイクを取り外して外出時は音楽用ヘッドホンとして使える
フリップミュート機能 ブームを跳ね上げるだけでマイクがミュートされる

マイク自体の性能(指向性やノイズキャンセリング機能)は接続方式と同様にゲーミングイヤホンと通常イヤホンの違いで扱った内容と共通しますが、取り付け方式はヘッドホンならではの選定項目です。着脱式は音楽鑑賞と兼用したい人に向き、フリップミュートは咳払いや家族への呼びかけの際にとっさに使いやすい機能です。

分類・種類

タイプ 主な特徴 向いている用途
有線シンプル型 3.5mm4極プラグやUSB接続、電池不要 PCや据え置き機での対戦中心のプレイ
ワイヤレス(2.4GHzレシーバー型) 専用USBレシーバーで接続、遅延を抑えやすい ケーブルの取り回しを避けたい対戦プレイ
マルチプラットフォーム型 PC・スマホ・据え置き機など複数機器に対応 複数のデバイスを行き来して使う人

接続方式ごとの遅延の傾向は形状に関わらず共通する部分が多いため、詳細は前述のイヤホン記事の比較表を参照してください。ヘッドホンを選ぶ段階では、対応機器の端子(3.5mm・USB-A・USB-C)がプレイ環境と合っているかを先に確認しておくと選びやすくなります。

選び方・選定基準

  1. プレイ環境を確認する。家族と同じ部屋か個室か、集合住宅かどうかで開放型・密閉型の優先度が変わります。
  2. 装着時間を見積もる。長時間セッションが多いなら重量・側圧・イヤーパッドの通気性を優先します。
  3. メガネ併用の有無を確認する。つる部分の当たり方が快適さに直結します。
  4. マイクの取り付け方式を決める。音楽鑑賞と兼用したいなら着脱式、とっさのミュートを重視するならフリップミュート機能を確認します。
  5. 対応機器の端子を確認する。3.5mm・USB・専用レシーバーのうち、プレイ環境に合う接続方式を選びます。
  6. 低遅延コーデックやマイク性能など接続方式に関わる項目は、イヤホン記事の比較表もあわせて確認します。
優先順位に迷ったら「プレイ環境(開放型か密閉型か)」→「装着時間と側圧」→「マイクの取り付け方式」→「対応端子」の順に絞り込むと判断しやすくなります。接続方式や遅延の細かい違いは、イヤホン記事とあわせて確認してください。

メーカー公式の仕様で見る主なゲーミングヘッドセット(2026年10月20日確認)

ここまでの選び方を具体的な製品に当てはめられるよう、メーカー公式ページに載っている仕様を7製品分まとめました。数値と文言は2026年10月20日に各社の公式ページから取得したもので、当サイトで実機を測ったものではありません。公式の取得ページに記載がなかった項目は空欄にせず、そのまま「記載なし」「公式の取得ページでは確認できず」と書いています。

製品 接続方式 重量 ドライバー径 電池持続 型式 保証 価格
ロジクールG PRO X 2 LIGHTSPEED LIGHTSPEEDワイヤレス、Bluetooth 5.3、3.5mm有線 345g 50mm 最長50時間(使用環境により異なる場合あり) 記載なし 2年間 現行価格は公式の取得ページでは確認できず(2023年7月20日発売時のプレスリリースではロジクールオンラインストア価格34,650円・税込)
Razer BlackShark V2 X 3.5mm有線 240g 50mm 記載なし(有線モデル) 密閉型イヤーカップ 最長2年間 公式の取得ページでは確認できず
Razer Barracuda X 2.4GHz(HyperSpeed Wireless)、Bluetooth 公式の取得ページでは確認できず 40mm 50時間 記載なし 最長2年間 公式の取得ページでは確認できず
SteelSeries Arctis Nova 7P Wireless 2.4GHz(USB-Cドングル)、Bluetooth 記載なし 記載なし 38時間(15分の充電で6時間使用可能) 記載なし 記載なし 公式の取得ページでは確認できず
HyperX Cloud II Wireless(米国版英語ページの記載) USBワイヤレスアダプター 0.66lb(ポンド表記) 53mm 30時間(ヘッドホン音量50%で測定) closed back(密閉型) 2年 $89.99(米国版のUSD表示。日本円の価格は確認できず)
ソニー INZONE H9(WH-G900N) 2.4GHz無線、Bluetooth 5.0 約330g(ホワイト)、約335g(ブラック) 40mm 最大32時間(NC OFF) 密閉、ダイナミック 期間の記載なし(保証書あり) 30,800円・税込(ソニーストア表示、2026年10月20日取得時点)
ソニー INZONE H9 II(WH-G910N) 2.4GHz無線、Bluetooth 5.3 約260g(マイク無しの場合) 30mm 最大30時間(ノイズキャンセリングOFF時) 記載なし 期間の記載なし(保証書あり) 公式の取得ページでは確認できず

HyperX Cloud II Wirelessは日本語の公式ページを取得できなかったため、米国版英語ページの表記(USD・ポンド)をそのまま載せています。ロジクールG G435、オーディオテクニカ ATH-GL3、ASTRO、ソニー INZONE H5は公式ページを取得できず、表から外しました。

表の読み方と注意点

重量がグラムで公表されている製品どうしを比べると、差は次のとおりです(いずれも当サイトの計算)。

  • PRO X 2とBlackShark V2 X:345g − 240g = 105g
  • INZONE H9(ブラック)とINZONE H9 II:約335g − 約260g = 約75g(ホワイトなら約330g − 約260g = 約70g)
  • PRO X 2とINZONE H9 II:345g − 約260g = 約85g

INZONE H9 IIの約260gは「マイク無しの場合」の値なので、マイクを付けた状態の比較にはそのまま使えません。HyperXの0.66lbは公式ページに換算表記がなく、1lb=約453.6gで当サイトが換算すると約300gですが、元の数値が小数第2位までの表記のため目安にとどまります。

電池持続時間も、条件つきの数字として読む必要があります。ロジクールは「最長50時間」に「使用環境により異なる場合があります」と注記し、HyperXは「Tested at 50% headphone volume」、ソニーの2機種はノイズキャンセリングをオフにした場合の値です。測定条件がそろっていないため、表の時間をそのまま並べて優劣を決めるのは避けてください。

側圧(ヘッドバンドが頭を挟む力)は、7製品とも公式の取得ページに数値の記載がありませんでした。HyperXのサポート記事には「Headband pressure: 5 N」という表記がありますが、これは有線版Cloud IIの仕様表の値で、ワイヤレス版の数値として扱うことはできません。締め付けの強さは試着するか、購入先の返品・交換条件を確かめたうえで判断することになります。

よくある失敗・注意点

試着せずに側圧の強さを判断する

側圧はスペック表に数値が出ていないことが多く、実際に装着してみないと分かりにくい項目です。返品・交換条件を確認したうえで購入し、長時間使ってから判断するのが安全です。

密閉型を選んで夏場に蒸れに悩む

密閉型は遮音性が高い反面、イヤーパッド内の熱がこもりやすくなります。通気性の高いメッシュ素材のイヤーパッドに交換できるモデルかどうかも、長時間プレイが多い人は確認しておくと安心です。

メガネ併用を考慮せずに購入する

イヤーパッドの厚みや形状によっては、メガネのつるが側頭部に食い込み、短時間でも痛みを感じることがあります。メガネ対応をうたうモデルや、柔らかいイヤーパッドを採用したモデルを候補にすると負担を減らせます。

長時間プレイの休憩と音量の目安

休憩の取り方について、ゲームのヘッドセット利用を対象にした公的な基準は確認できませんでした。参考になるのは厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」ですが、これは事業所でのパソコン作業などを想定した文書で、ゲーム用の基準ではありません。その前提で内容を紹介すると、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までに10分〜15分の作業休止時間を設けること、さらに連続作業の途中で1分〜2分程度の小休止を1〜2回とることが示されています。この作業休止は、遠くを眺めたりストレッチをしたりするための時間と位置づけられています。

音量については、WHO(世界保健機関)が「安全な聴き方」のQ&Aで目安を出しています。80dBの音であれば週40時間まで、90dBになると安全に聴ける時間は週4時間に縮まるという例が示され、音量を下げる方法として機器の音量を最大の60%以下に設定することが挙げられています。周囲がうるさい場所で音量を上げずに済むよう、耳に合ったヘッドホンやノイズキャンセリング機能付きのものを使うことも勧められています。

ここで紹介した内容は一般的な目安で、診断や治療についての助言ではありません。耳の痛みや聞こえにくさが続く場合は医療機関に相談してください。

よくある質問

開放型は音漏れが気になりますか。

密閉型に比べると音が外に漏れやすい傾向があります。夜間のプレイや家族と同じ部屋で使う場合は、音量を抑えるか密閉型を選んだほうが安心です。

ヘッドセットとイヤホン、どちらが定位感に優れますか。

ヘッドセットとイヤホンの定位感を比べたメーカー公式の記載は確認できず、どちらが優れているとは言えません。ヘッドセットの公式仕様に並ぶのはドライバー口径や周波数特性などで、定位感を示す項目は載っていません。数字で比べられない以上、購入前に返品条件を確かめ、普段遊ぶゲームで聞き比べるのが納得しやすい選び方だと思います。

ワイヤレスヘッドセットのバッテリー持ちはどれくらいですか。

製品によって差が大きく、2026年10月20日に公式仕様を確認した無線の6製品では30〜50時間の表記でした(測定条件は製品ごとに異なります)。長時間のプレイが多いなら、公表されている連続再生時間を確認しておくと安心です。

マイクは別売りのものを外付けしたほうがよいですか。

ヘッドセット内蔵マイクは口元との距離が一定に保たれる手軽さがありますが、より高い音質を求めるなら卓上マイクとの併用も選択肢になります。用途と手軽さのバランスで選ぶとよいでしょう。

片耳が痛くなりやすいのですが対策はありますか。

側圧が強すぎる、あるいはヘッドバンドの調整が左右非対称になっている可能性があります。装着位置を見直しても改善しない場合は、側圧の弱いモデルやイヤーパッドの交換を検討するとよいでしょう。

ゲーム機とPCの両方で使いたい場合、何を確認すればよいですか。

対応端子(3.5mm・USB-A・USB-C)と、専用ワイヤレスレシーバーを使う場合は接続先ごとにレシーバーが必要になるかどうかを確認しておく必要があります。マルチプラットフォーム対応をうたう製品は、この点があらかじめ整理されています。

重い製品と軽い製品の差は、公式の仕様からどう読み取ればよいですか。

グラム表記どうしなら引き算で比べられます。2026年10月20日に確認した公式仕様では、ロジクールG PRO X 2が345g、Razer BlackShark V2 Xが240gで、差は105gです(当サイトの計算)。ただし「マイク無しの場合」のように条件つきの値や、ポンド表記の製品もあるため、注記まで読んでから比べてください。側圧は公式に数値が出ていないので、重量だけで装着感は決まりません。

ヘッドセットの音量はどのくらいを目安にすればよいですか。

WHOは、機器の音量を最大の60%以下に設定することを音量を下げる方法の一つに挙げています。80dBなら週40時間まで、90dBでは週4時間までという例も示されています。これは一般向けの目安で、耳に不調がある場合は医療機関への相談が先になります。

まとめ

ゲーミングヘッドセット選びは、低遅延コーデックやマイク性能といった接続方式に関わる要素をイヤホン記事に譲ったうえで、開放型・密閉型、装着感を左右する重量と側圧、ドライバー方式、マイクの取り付け方式というヘッドホン形状ならではの項目を確認すれば迷いにくくなります。プレイ環境と装着時間を先に決めておくと、開放型か密閉型か、どこまで装着感にこだわるかという優先順位がはっきりします。側圧やイヤーパッドの通気性はスペック表だけでは判断しにくい部分なので、返品・交換条件を確認したうえで実際に長時間使って確かめる姿勢が、後悔しない選定につながります。

出典・参考情報

製品仕様・価格は、2026年10月20日に各メーカーの公式ページで確認した表記です。価格は確認時点の表示で、変わることがあります。

ロジクールG G435、オーディオテクニカ ATH-GL3、ASTRO、ソニー INZONE H5は公式ページを取得できず、本記事では扱っていません。ソニー公式の開放型・密閉型の解説ページと、聴力を守る音量についての環境省の目安も今回は確認できていません。

ドライバー方式(ダイナミック型・平面磁界駆動型)の特性は一般的な傾向の整理で、実際の音の印象は製品ごとのチューニングによって差があります。装着感や側圧の感じ方にも個人差があります。低遅延コーデック・マイク性能・バーチャルサラウンドの仕組みについては、Bluetooth SIGが策定する規格情報などをもとにゲーミングイヤホンと通常イヤホンの違いで出典を明記しています。

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