パソコン・PC周辺機器

モニターアームの選び方 耐荷重とVESA規格、設置方式で比較する

サンワサプライのガス圧式アーム100-LA018の仕様欄には、耐荷重が「2〜10kg」と書かれています。上限だけでなく下限もあり、FAQには「モニターの重量はスタンドを除いた重量です」という一文まであります。モニターアームは、こうした数字を一つずつ自分の机とモニターに当てはめて選ぶ道具です。合わないと「取り付けられない」「重さに耐えられず下がってくる」「軽すぎて止まらない」といった失敗になります。結論からいうと、確認すべき基本項目は「対応VESA規格とモニターの重量」「設置方式(クランプ式・グロメット式)」「可動方式(ガス式・スプリング式)」「シングルかデュアルか」の4系統です。この記事ではそれぞれの意味と、モニターアームの種類ごとの違い、選定の手順を整理します。

モニターアームとは何か、導入のメリット

モニターアームは、モニター背面のネジ穴を利用してディスプレイを机に固定し、高さ・角度・奥行きを自在に動かせるようにする周辺機器です。付属のスタンドに比べて可動域が広く、目線の高さにモニター上端を合わせたり、体を動かしたときに画面ごと向きを変えたりできます。もっとも分かりやすいメリットは、スタンドの設置面がなくなることで生まれる机の上のスペースです。モニターの真下にキーボードを寄せたり、ノートPCやモニターアームを共用したりといった配置の自由度が上がります。

もう一つの利点は姿勢への対応です。モニター上端が目線よりやや下にくる高さに調整すると、首を前に突き出す姿勢になりにくいとされています。本や台でモニターを底上げする方法もありますが、微調整のしやすさではアームに分があります。デュアルモニターやノートPCと外部モニターの併用でも、左右の間隔や高さを個別に合わせやすく、視線移動の負担を減らせます。

モニターアームを構成する要素の分解

対応VESA規格とモニターの重量(耐荷重)

モニターアームとモニターの取り付け穴の位置は、VESA(Video Electronics Standards Association)が定めるVESAマウント規格で統一されています。PC用モニターでよく見るのは75×75mm(VESA75)と100×100mm(VESA100)の穴です。サンワの100-LA018は、この2種類の穴があれば34インチまで取り付けられるとしています。27インチや34インチのモニターでも75×75か100×100の穴を持つ製品は多いので、画面サイズより先に、モニター背面の穴の間隔をメーカーの仕様表か実測で確かめるのが確実です。

VESA FDMIの区分 画面の対角サイズ 重量の上限 取り付け穴
Part B 4〜7.9インチ(102〜202mm) 2kg 4穴
Part C 8〜11.9インチ(203〜304mm) 4.5kg 4穴
Part D 12〜22.9インチ(305〜583mm) 14kg 4穴
Part E 23〜30.9インチ(584〜786mm) 22.7kg 6穴
Part F 31〜90インチ(787〜2286mm) 113.6kg 多穴

出典 VESA「FDMI Overview」(vesa.orgのMounting Standardページからリンクされている概要資料、2026年10月4日確認)。規格本体は有料のため、穴の間隔の数値はこの概要資料には載っていません。

耐荷重はアームごとにキログラム単位で明記されています。モニター本体の重量だけでなく、一体型スピーカーやWebカメラを追加している場合はその分も加味し、余裕を持った耐荷重のモデルを選ぶと安心です。耐荷重ぎりぎりのモデルは、時間の経過とともにアームが下がってきたり、角度を変えたときに支えきれなかったりすることがあります。サンワは耐荷重と比べる重さを「スタンドを除いた」モニターの重量としています。スタンド込みの重量しか書かれていない仕様表なら、本体だけの重さを別に確かめてください。

VESAの規格文書が定める「画面サイズと重量」の区分

上の表のとおり、VESAが公開しているFDMI(Flat Display Mounting Interface)の概要資料は、対角4インチから90インチまでを画面サイズと重量でパートに分けています。概要資料はvesa.orgの2010年12月のフォルダに置かれたもので、今もMounting Standardのページからリンクされています。この区分はモニター側の設計の目安で、アームの選び方を直接決めるものではありません。「VESA100対応」という表示が保証するのは穴の位置が合うことまでです。そのアームが何kgまで支えられるかは、製品ごとの耐荷重で別に確かめる必要があります。

メーカー公式仕様に見る耐荷重の下限と天板厚

公式仕様を並べると、耐荷重には上限だけでなく下限も書かれています。サンワサプライの直販サイトにある水平垂直可動式アーム5機種の比較表を写すと次のとおりです。

型番 対応サイズ 耐荷重 調整方法 クランプの天板厚 湾曲モニター
100-LAC011BK 40インチまで 2〜12kg メカニカルスプリング式 12〜50mm 対応
100-LAC007BK 49インチまで 2〜20kg メカニカルスプリング式 10〜80mm 対応
100-LAC003 32インチまで 1.5〜12kg ガス圧式 10〜85mm 非対応
100-LAC008BK 35インチまで 1〜15kg ガス圧式 10〜50mm 非対応
100-LA018 34インチまで 2〜10kg ガス圧式 10〜50mm 非対応

出典 サンワダイレクト「100-LA018」製品ページ内の比較一覧表(2026年10月4日確認)。数値はメーカーのカタログ値です。

同じメーカーの中でも、下限は1kgから2kg、天板厚の上限は50mmから85mmまで幅があります。100-LA018について、サンワは「モニターの重量によってアームの動きの固さは異なります」と注記し、購入時はガスシリンダー部分の保持が強い設定になっているので、ディスプレイの重量に合わせて調整するよう案内しています。軽いモバイルモニターなどを載せる予定なら、下限に届いているかを見ておくと安心です。

設置方式(クランプ式・グロメット式)

設置方式 固定方法 向いているケース
クランプ式 天板を上下から挟み込んで固定する 天板に穴をあけたくない、賃貸住宅で原状回復を重視する
グロメット式 天板に穴をあけてボルトで固定する より強い固定力がほしい、デスク背面にスペースがない

クランプ式は天板に穴をあける必要がなく手軽ですが、対応できる天板の厚みに範囲があります。上の比較表でも上限は50〜85mmと製品ごとに違い、100-LA018のFAQには「クランプ固定できる厚さは50mmまで」とあります。同じ100-LA018でもグロメット固定なら10〜60mmです。逆に100-LAC007BKはクランプが1〜8cm、グロメットが1〜3.5cmと、グロメットのほうが狭くなっています。購入前に机の天板厚を実測し、使う固定方法の欄と照らし合わせてください。100-LA018のFAQによると、クランプ固定時は天板の端から背面のケーブル通しまで約48mm飛び出し、天板の裏に来るクランプ下部の厚みは約8mmです。壁にぴったり付けた机や、天板のすぐ下に引き出しがある机では、この寸法も確認しておくと安心です。グロメット式は穴をあける手間がかかりますが、固定力を重視する場合や、天板の奥に十分な隙間がなくクランプを挟み込めない環境で選ばれます。多くの製品はクランプ・グロメットの両対応で付属パーツを切り替えられるため、設置方式を決めていなくても選びやすくなっています。

可動方式(ガス式・スプリング式)

高さや角度を保持する仕組みには、内部に高圧ガスを封入したガス式(ガススプリング式)と、金属ばねを使うスプリング式があります。ガス式は片手で軽く押すだけで滑らかに動き、任意の位置でしっかり止まる操作感が特徴ですが、封入されたガスは徐々に抜けていくため、経年で保持力が弱まっていく性質があります。何年もつかをメーカーが数字で示している例は見当たらず、100-LA018の保証期間は購入日から1年です。保持力が落ちてきたら、まず保持力の調整ボルトで合わせ直し、それでも止まらなければ買い替えを考えることになります。スプリング式は構造がシンプルで、ばねの張力を調整ネジで手動設定するタイプが中心です。動作の滑らかさではガス式に一歩譲る製品もありますが、経年劣化の速さという点ではガス式より緩やかな傾向があります。

シングル・デュアル・マルチモニター対応

モニターアームは1画面用のシングルタイプのほか、支柱1本から2本のアームを伸ばすデュアルタイプ、3画面以上を並べるマルチタイプがあります。デュアル以上を検討する場合は、支柱1本あたりの耐荷重とモニターの合計重量を必ず照合します。左右のモニターを個別に高さ調整できるタイプと、連動して動くタイプがあるため、モニターのサイズや用途が左右で異なる場合は個別調整できるタイプが扱いやすくなります。ノートPCスタンドと組み合わせて使う運用については、在宅ワークのデスク環境ガジェット20分野を比較 投資優先度スコアで買う順番を決めるでも投資優先度として取り上げています。

モニターアームの分類・種類

タイプ 主な特徴 向いている用途
エントリーモデル 可動方向が上下中心、価格が手ごろ 置き場所の固定的な単一モニター運用
スタンダードモデル(水平垂直アーム) 上下・左右・奥行き・回転まで調整できる多関節構造 座る位置や姿勢を変えながら使いたい場合
デュアル・マルチモデル 支柱1本で複数のアームを備える 2画面以上を並べて使う作業環境
ノートPCトレー付きモデル モニターアームにノートPC用の載せ台を追加できる ノートPCを外部モニターの下や横に配置したい場合

スタンダードモデルの多くはガス式の水平垂直アームで、可動域の広さが特徴です。予算を抑えたい場合や、モニターの位置をほとんど動かさない使い方であれば、可動方向が絞られたエントリーモデルでも実用上は十分なことがあります。ノートPCトレー付きモデルは、外部モニターをメイン画面にしつつノートPC側もサブディスプレイとして活用したい人に向いています。

選び方・選定基準

  1. 手持ちのモニターの重量とVESA規格を確認する。背面のシールや取扱説明書に記載がない場合はメーカーサイトの仕様表で確認します。
  2. 耐荷重に余裕のあるモデルを選ぶ。モニター重量ぎりぎりではなく、一体型スピーカーなどの付属機器の重さも含めて余裕を持たせます。
  3. 机の天板厚を実測する。クランプ式を検討する場合は対応厚みの範囲に収まっているかを確認します。
  4. 設置方式を決める。原状回復が必要な環境ではクランプ式、固定力を重視するならグロメット式を軸に検討します。
  5. 可動方式を確認する。頻繁に位置を変えるならガス式、価格を抑えたいならスプリング式も選択肢に入れます。
  6. シングルかデュアルかを決める。デュアル以上の場合は支柱1本あたりの耐荷重と合計重量を照合します。
  7. ケーブル取り回しの機能を確認する。アーム内部やカバーでケーブルをまとめられる構造かどうかで、見た目の整いやすさが変わります。
優先順位に迷ったら「モニターの重量とVESA規格」→「机の天板厚」→「設置方式」→「可動方式」→「シングルかデュアルか」の順に絞り込むと判断しやすくなります。耐荷重と天板厚さえ合っていれば、大きな失敗は避けられます。

よくある失敗・注意点

天板の厚みを確認せずに購入する

クランプ式は対応する天板厚の範囲が製品ごとに決まっています。ガラス天板や極端に薄い・厚い天板では固定できないことがあるため、購入前に実測し、製品の対応範囲と照合しておく必要があります。

耐荷重ぎりぎりのモデルを選ぶ

モニター単体の重量だけを見て耐荷重が近いモデルを選ぶと、時間の経過とともにアームが下がってきたり、角度を変えたときに安定しなくなったりすることがあります。付属機器の重さも含めて余裕を持たせておくと安心です。

VESA規格の異なるモニターに無理に取り付けようとする

VESA75とVESA100は穴の間隔が異なり、変換プレートなしでは取り付けられません。一部のアームは複数規格に対応した穴パターンを備えていますが、対応表を確認せずに購入すると取り付け自体ができない場合があります。

よくある質問

モニターアームは自分で取り付けられますか。

多くの製品はドライバー1本で取り付けられる設計になっていますが、モニターの重量が重い場合や天板の穴あけを伴うグロメット式では、慣れていないと作業に時間がかかることがあります。説明書の手順どおりに、ネジの締め忘れがないか確認しながら進めると安心です。

ガス式のガスが抜けたら修理できますか。

まずは保持力の調整を試します。サンワは100-LA018のFAQで、モニターの位置が固定できないときは組立説明書の図を見て保持力を調節するよう案内しており、モニターが軽い場合は「-」の方向にボルトを回して保持力を弱めるとしています。調整しても止まらない場合は、販売元への相談か買い替えを検討します。

デュアルモニターにする場合、2台とも同じサイズにする必要がありますか。

同じサイズでなくても使用できますが、個別に高さ調整できるタイプのアームを選んでおくと、サイズや用途が異なる場合でも目線の高さを揃えやすくなります。

ノートPCと外部モニターを両方載せられますか。

ノートPCトレー付きのモデルであれば対応できます。トレーの耐荷重とノートPCの重量を確認し、トレーとモニター側の合計重量がアーム全体の耐荷重を超えないようにする必要があります。

賃貸住宅でも使えますか。

クランプ式であれば天板に穴をあける必要がないため、原状回復が必要な環境でも選ばれています。ただし机自体を傷つけないよう、クランプの接地面に保護材が付いているかを確認しておくと安心です。

湾曲(カーブド)モニターやウルトラワイドモニターにも使えますか。

対応する耐荷重の範囲であれば使用できますが、湾曲モニターやウルトラワイドモニターは横幅や重心の位置が通常のモニターと異なるため、対応をうたっている製品かどうかをメーカー仕様で確認しておく必要があります。たとえばサンワの比較表では、100-LAC011BKと100-LAC007BKが湾曲モニター「対応」、ガス圧式の3機種は「非対応」となっています。

まとめ

モニターアーム選びは、モニターの重量とVESA規格、机の天板厚、設置方式、可動方式、シングルかデュアルかという基本項目を順に確認していけば迷いにくくなります。耐荷重と天板厚さえ実測して確認しておけば、取り付けられない・支えきれないといった失敗の大部分は避けられます。可動域の広さやケーブル収納のしやすさは使い勝手に直結する部分なので、日々どれくらいモニターの位置を変える運用になるかを起点に、必要な機能を絞り込む姿勢がすっきりした選定につながります。

出典・参考情報

VESAの画面サイズ・重量区分は、VESA「FDMI Overview」(https://www.vesa.org/wp-content/uploads/2010/12/FDMI-Overview.pdf、Mounting Standardページ https://vesa.org/mounting-standard/ からリンク)によります。耐荷重、天板厚、保持力の調整、クランプの飛び出し寸法、比較表の数値は、サンワダイレクト「100-LA018」製品ページ(https://direct.sanwa.co.jp/ItemPage/100-LA018)と「100-LAC007BK」製品ページ(https://direct.sanwa.co.jp/ItemPage/100-LAC007BK)によります。いずれも2026年10月4日に確認しました。クランプ式・グロメット式、ガス式・スプリング式の一般的な仕組みの説明はサンワサプライの選び方ガイドを参考にしています。製品ごとの正確な数値は購入前に各メーカーの最新の仕様表で確認してください。

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