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タイヤ空気圧センサー(TPMS)の選び方 直接式と間接式、外付け型と内蔵型の違い

タイヤの空気圧不足は、見た目だけではなかなか気づけないにもかかわらず、燃費の悪化や偏摩耗、高速走行時のバーストにつながる要因です。JAFの2025年度ロードサービス出動理由(四輪・二輪合計)では、1位のバッテリー上がりに次いで「タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足」が2位に挙がっており、タイヤトラブルは身近な故障のひとつです。この記事では「TPMS(タイヤ空気圧監視システム)の直接式と間接式の違い」「外付け型と内蔵型の選び方」「日本での法的な位置づけ」「後付けする際の注意点」を中心に整理します。

そもそもTPMSとは何か、日本での位置づけ

TPMS(Tire Pressure Monitoring System)は、走行中のタイヤの空気圧をリアルタイムで監視し、異常があればドライバーに警告する仕組みです。米国では2007年9月1日以降に製造される車両に装着が求められ、EUでも乗用車と小型商用車にタイヤ空気圧の監視を求める規則があります。一方、日本の国土交通省の資料で確認できるのは「装備する場合」に満たすべき性能要件で、新車への装備を義務づける規定は今回の調査では見当たりませんでした。標準装備は一部の車種にとどまるため、多くの車では市販のTPMSを後付けするかどうかが選択肢になります。

海外の基準と日本の保安基準

米国の連邦自動車安全基準FMVSS No.138は、1本以上のタイヤの空気圧が、車両メーカーが推奨する冷間時の空気圧から25%下がった時点(または基準の表に示された値)で、20分以内に低空気圧警告灯を点けることを求めています。2006年9月から段階的に適用され、2007年9月1日以降に製造される車両はすべて対象です。EUでは規則(EU)2019/2144がタイヤ空気圧監視装置の装備を求め、乗用車(M1)と小型商用車(N1)にはUN規則第141号を適用しています。附属書には2022年7月6日と2024年7月7日の適用日の注記がありますが、乗用車の新車全体にいつから適用されるかは原文の表で確定できなかったため、ここでは日付を断定しません。

日本では、国土交通省が協定規則第64号を採用し、平成30年2月1日以降に製作される乗用車(定員10人未満)と車両総重量3.5t以下の貨物車について、TPMSを「備える場合に適合しなければならない要件」を定めました。その後、タイヤ空気圧警報装置の要件は第141号として分離採用されていますが、内容は既存要件を引き継ぐ趣旨です。いずれも性能要件であり、装備そのものを義務化する文書ではありません。韓国・中国の義務化時期については、公的な一次資料を確認できなかったため記載していません。

公的データで見る空気圧不足の多さ

JATMAの路上点検では空気圧不足がワースト1

日本自動車タイヤ協会(JATMA)は高速道路や一般道で車両を抽出し、タイヤの点検を実測で行っています。2026年2月5日に発表された2025年の年間結果では、実測で点検した340台のうち183台に整備不良があり、不良率は53.8%(高速47.4%、一般道64.6%)でした。項目別の1位は空気圧不足で、169件・不良率49.7%です。点検した車のおよそ半数が空気圧不足だった計算になります。

年 点検台数(実測) 整備不良率 空気圧不足の不良率
2022年 578台 27.3% 20.1%
2023年 238台 39.5% 33.6%
2024年 346台 49.4% 44.5%
2025年 340台 53.8% 49.7%

点検の場所や台数は年ごとに異なるため、数字の上下をそのまま傾向として比較することはできません。JATMAの点検は道路上で抽出した車両が対象で、全国の車両を代表する統計でもありません。それでも空気圧不足は2023年以降、毎年ワースト1の項目です。東名高速の浜名湖SAで2025年10月に行われた乗用車の点検では、78台中57件(73%)が空気圧不足でした(走行後のホット状態で測定)。

JAFの出動理由、高速道路では四輪の1位

JAFの2025年度(2025年4月〜2026年3月)のロードサービス出動理由を見ると、四輪・二輪合計で「タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足」は482,696件(20.90%)で2位です。道路別では、一般道路の四輪で442,300件(20.55%)の2位、高速道路の四輪では26,985件(44.02%)で1位になっています。JAFは、高速道路ではバーストが多く、空気圧が低いときに起きるスタンディングウェーブ現象が原因になり得ると説明しています。

空気圧30%減で燃費は平均4.6%悪化

JAFが2021年に行ったユーザーテストでは、同じ車種・同じタイヤの3台で空気圧を変えて燃費を測りました。適正値から30%減らした車は平均4.6%、60%減らした車は平均12.3%燃費が悪化しています。JAFの試算(年15,000km、ガソリン165円/L)では、年間の燃料代は30%減で約9,240円、60%減で約26,730円増える計算です。なお、これは意図的に空気圧を下げた条件での結果で、自然に空気が抜ける速さを測ったものではありません。2015年の別のJAFテストでは、偏平率45・50・80のタイヤで、見た目だけでは空気圧の低下を正しく判断できなかった例が報告されています。

選び方の要素分解

直接式と間接式の違い

方式 仕組み 特徴
直接式 各タイヤに取り付けたセンサーが空気圧・温度を直接測定し、車両側に無線で送信する タイヤごとの正確な数値が分かる。間接式より検知精度が高い
間接式 ABSの車輪速センサーを利用し、空気圧低下によるタイヤの回転差から異常を推定する 専用センサーが不要で車両に標準装備されている場合が多いが、数値そのものは分からず、精度は直接式に劣る

市販の後付けTPMSは直接式が中心です。正確な空気圧の数値を随時確認したい場合は直接式を選ぶことになります。

外付け型と内蔵型、どちらを選ぶか

タイプ 取り付け方法 向いている使い方
外付け型(バルブ一体型) センサーがエアバルブのキャップと一体化しており、既存のバルブに取り付けるだけで使える 自分で手軽に取り付けたい人、街乗り中心の使い方
内蔵型(ホイール内部に設置) タイヤの内側、ホイールのリム部分にセンサーを取り付ける。タイヤの脱着作業が必要 盗難・破損のリスクを避けたい人、長距離・高速走行や高荷重での使用が多い人

外付け型は取り付けが簡単な一方、屋外に露出するため盗難や破損のリスクがあります。内蔵型は精度と耐久性で有利ですが、タイヤ交換店などでの取り付け作業が必要になり、費用と手間がかかります。街乗り中心で手軽に始めたいなら外付け型、長距離運転が多く精度を重視するなら内蔵型が候補になります。

警報機能の種類を確認する

製品によって対応する警報の種類に差があります。空気圧の低下・過剰、異常な温度上昇に加えて、時間をかけてゆっくり空気が抜けていく「スローパンクチャー」を検知できるモデルもあります。スローパンクチャーは見た目の変化が少なく気づきにくいため、日常的に空気圧を確認する習慣がない人ほど、この機能の有無を確認しておく価値があります。

高速道路での使用を意識するなら

JAFの解説によれば、高速道路での連続走行はタイヤへの負荷が大きく、空気圧が低下しているとタイヤのたわみが大きくなり、たわみの繰り返しによってタイヤが発熱し、最終的にバーストにつながるとされています。高速道路を頻繁に利用する場合は、走行中にリアルタイムで空気圧を確認できるTPMSの必要性がとくに高くなります。

選び方・選定基準

  1. 直接式か間接式かを決める。市販の後付け製品を検討する場合は直接式が中心になる。
  2. 取り付けの手軽さを取るか、盗難・破損リスクの低さと精度を取るかで、外付け型か内蔵型かを選ぶ。
  3. スローパンクチャー警報など、必要な警報機能が搭載されているかを確認する。
  4. 高速道路の利用頻度が高い場合は、リアルタイムで数値を確認できる直接式のTPMSを優先的に検討する。
  5. 対応するタイヤの本数(4輪のみか、スペアタイヤやトレーラーも含めた台数か)を確認する。
優先順位に迷ったら「直接式か間接式か」→「外付け型か内蔵型か」→「必要な警報機能」→「対応タイヤ本数」の順に確認すると選びやすくなります。高速道路をよく利用する人ほどTPMSの効果を実感しやすい傾向があります。

メーカー公式の仕様で見る後付けTPMS(2026年10月19日確認)

国内メーカーの公式製品ページで仕様を確認できた後付けTPMSを、方式ごとに並べました。特定の製品を推奨するものではなく、仕様の違いを見比べるための一覧です。公式ページで確認できなかった項目は「記載なし」としています。

メーカー・型番 方式 表示 表示器の給電 センサー電池と持ちの目安 防水 動作温度 価格
太平洋工業 PMC-0001 キャップ式 スマホアプリ(専用表示器なし) 専用表示器なし CR1632(1輪1個)、連続使用約10ヵ月 記載なし -20〜+80℃ 記載なし
太平洋工業 PMR-H101 バルブ式 受信表示機+スマホアプリ DC5V(USB)または車両電源 コイン形リチウム電池(交換不可)、約8.5年 記載なし -20〜+85℃ 記載なし
カシムラ KD-220 キャップ式 受信モニター USB給電(5V/0.5A、電源機器は別売) CR1632×4個、約8ヶ月 IP67 -20〜40℃ オープン価格
カシムラ KD-258 キャップ式 受信モニター DC12V(シガーソケット、24V車不可) BR1225またはCR1225×4個、約4ヶ月 IP67 -20〜60℃ オープン価格

キャップ式はこの記事でいう外付け型にあたり、エアバルブのキャップと付け替えるだけで使えます。そのぶんセンサーが小さく、電池の持ちは約4〜10ヵ月と短めで、電池交換を前提に考える必要があります。4輪分の電池を同じ時期に替えることになるため、ランニングコストと手間も含めて見ておくと判断しやすくなります。

バルブ式は内蔵型にあたり、PMR-H101のセンサーは約8.5年と長く持つ一方、電池は交換できません。ホイールに装着するためタイヤの脱着作業が必要で、ホイールの形状によっては取り付けられない場合もあります。表示の面では、スマホアプリだけで見る製品と専用の受信機を置く製品があり、受信機の給電もUSBかシガーソケットかで分かれます。車内の電源の空き状況や、運転中に画面を見やすい位置へ置けるかもあわせて確認してください。なお、PMC-0001は車両指定空気圧450kPa以下の乗用車が対象、KD-220はトラック・バスなどの中型・大型車に対応していません。

よくある失敗・注意点

日本でTPMSが義務化されていると思い込む

米国はFMVSS No.138で新車への装着を求めていますが、日本の国土交通省の資料はTPMSを備える場合の性能要件を定めたもので、装備の義務づけは確認できません。日本車の多くはTPMSが標準装備されていないため、必要な場合は市販品を後付けする選択肢になります。

外付け型を選んで盗難・破損に気づかない

外付け型はセンサーがバルブキャップとして車外に露出するため、走行中の異物との接触や盗難のリスクがあります。定期的にセンサーの有無を目視確認しておくと安心です。

間接式(車両標準の警告灯)だけで安心してしまう

間接式はABSセンサーを利用した推定のため、数値そのものは表示されず、ゆるやかな空気圧低下には気づきにくい場合があります。正確な数値を随時確認したい場合は、直接式のTPMSを別途検討してください。

よくある質問

日本でTPMSの装着は義務ですか。

国土交通省の資料で確認できるのは、TPMSを備える場合の性能要件(平成30年2月1日以降に製作される乗用車などが対象)で、装備を義務づける規定は確認できませんでした。米国ではFMVSS No.138により、2007年9月1日以降に製造される車両に装着が求められています。

直接式と間接式、どちらを選べばよいですか。

タイヤごとの正確な空気圧の数値を確認したい場合は直接式が向いています。間接式はABSセンサーを利用した推定のため、専用センサーは不要ですが精度は直接式に劣ります。

外付け型は盗まれやすいですか。

センサーがバルブキャップとして車外に露出するため、内蔵型に比べると盗難や破損のリスクはあります。定期的に取り付け状態を確認しておくとよいでしょう。

スローパンクチャーとは何ですか。

時間をかけてゆっくりと空気が抜けていく現象です。見た目の変化が小さく気づきにくいため、対応する警報機能があるTPMSを選んでおくと早期に気づきやすくなります。

高速道路をあまり使わない場合、TPMSは不要ですか。

必須ではありませんが、空気圧不足は燃費の悪化や偏摩耗にもつながるため、一般道中心でも定期的な空気圧チェックの代わりとして活用できます。とくに高速道路を頻繁に利用する場合は効果を実感しやすくなります。

内蔵型に交換するときの費用はどれくらいかかりますか。

センサー本体の価格に加えて、タイヤの脱着を伴う取り付け工賃がかかります。金額はタイヤ交換店や車種によって異なるため、購入前に見積もりを確認してください。

軽自動車でも後付けTPMSは使えますか。

多くの後付けTPMSは車種を問わず取り付けられますが、対応するバルブの形状や本数(4輪のみかスペアタイヤも含むか)は製品によって異なります。購入前に対応車種・対応本数を確認してください。

センサーの電池はどのくらい持ちますか。

メーカー公式の目安では、キャップ式のカシムラKD-258が約4ヶ月、KD-220が約8ヶ月、太平洋工業PMC-0001が約10ヵ月です。バルブ式の太平洋工業PMR-H101は約8.5年ですが、電池は交換できません。いずれも使用環境によって変わります。

空気圧がどのくらい下がると警告されますか。

米国のFMVSS No.138では、推奨冷間空気圧から25%下がった時点で警告することが新車に求められています。後付け製品の警報値は製品ごとに異なり、今回確認した公式ページには具体的な数値の記載がありませんでした。取扱説明書で設定方法を確認してください。

まとめ

TPMSを選ぶときは、まず直接式か間接式かを決め、そのうえで外付け型か内蔵型か、必要な警報機能、対応タイヤ本数を順に確認するとわかりやすくなります。日本ではTPMSの装備を義務づける規定は確認できませんが、JATMAの路上点検では空気圧不足が2023年以降毎年ワースト1、JAFの出動理由でも高速道路の四輪ではタイヤトラブルが1位です。とくに高速道路をよく利用する人は導入を検討する価値があります。

出典・参考情報

TPMSの直接式・間接式の仕組みと違い、外付け型(バルブ一体型)・内蔵型の特徴、スローパンクチャー警報機能については、複数のTPMS専門メディア・タイヤ販売店の解説記事で共通して示されている内容に基づいています。統計・制度・製品仕様は2026年10月19日に以下の公式資料で確認しました。変更される場合があるため、最新の情報は各公式サイトで確認してください。

  • JATMA 年間タイヤ点検結果(2025年、2026年2月5日発表) https://www.jatma.or.jp/publications/jatmanews/news/news1290.pdf
  • JATMA 年間タイヤ点検結果(2022〜2024年) https://www.jatma.or.jp/publications/jatmanews/news/news1263.pdf / https://www.jatma.or.jp/publications/jatmanews/news/news1273.pdf / https://www.jatma.or.jp/publications/jatmanews/news/news1282.pdf
  • JATMA 浜名湖SA点検結果(2025年11月14日発表) https://www.jatma.or.jp/publications/jatmanews/news/news1289.pdf
  • JATMA タイヤ点検 https://www.jatma.or.jp/safety_technology/tyreinspection.html
  • JAF よくあるロードサービス出動理由 https://jaf.or.jp/common/about-road-service/frequency
  • JAFユーザーテスト 空気圧不足と燃費 https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/driving-environment/fuel-efficiency
  • JAFユーザーテスト 空気圧の低下に気づくか https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/driving-environment/air-pressure-test
  • 米国 FMVSS No.138(49 CFR 571.138) https://www.govinfo.gov/content/pkg/CFR-2024-title49-vol6/xml/CFR-2024-title49-vol6-sec571-138.xml
  • EU 規則(EU)2019/2144 https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2019/2144/oj/eng
  • 国土交通省 協定規則第64号の採用(タイヤ空気圧監視装置) https://www.mlit.go.jp/common/001042413.pdf
  • 国土交通省 協定規則第141号の採用 https://www.mlit.go.jp/common/001171831.pdf
  • 太平洋工業 TPMS PMC-0001 https://www.tpms.jp/tpms-pmc-0001/
  • 太平洋工業 TPMS PMR-H101 https://www.tpms.jp/tpms-pmr-h101/
  • カシムラ KD-220 https://www.kashimura.com/goods/car/tpms/kd220.html
  • カシムラ KD-258 https://www.kashimura.com/goods/car/tpms/kd258.html

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