台風や地震による停電への備えとして、非常用発電機の購入を検討する人が増えています。ですが発電機は、使い方を誤ると一酸化炭素(CO)中毒による死亡事故につながる製品でもあります。NITE(製品評価技術基盤機構)と消費者庁は、携帯発電機を屋内で使用したことによる一酸化炭素中毒の死亡事故が、台風等による停電のたびに繰り返し発生していると注意喚起しています。この記事では「インバーター式と従来型の違い」「ガソリン式とカセットガス式の燃料の違い」「定格出力と始動時最大出力の見方」「屋内使用の危険性と法的な位置づけ」を中心に、公的機関の事故データ、メーカー公式の仕様表、消防法上のガソリンの扱いもあわせて整理します。
そもそも非常用発電機とポータブル電源(蓄電池)は別の製品
非常用発電機は、ガソリンやガスなどの燃料をエンジンで燃焼させて電気を作り出す機器です。燃料を供給し続ける限り発電を続けられる一方、エンジンの排気にはCOが含まれるため、屋内での使用は命に関わります。これに対し、バッテリーに蓄えた電気を放電するだけのポータブル電源は、排気ガスを出さず屋内でも使えますが、蓄えた分の電気を使い切れば充電が必要になります。停電が長引くほど発電機側が有利、屋内でも安全に使いたいならポータブル電源、という住み分けです。両者の容量・出力の考え方の違いは家庭用蓄電池とポータブル電源の違い、どちらを選ぶべきか、ポータブル電源単体の選び方はポータブル電源の選び方、容量と出力の見極め方で扱っています。この記事では、エンジンで発電するタイプに絞って選び方を整理します。
選び方の要素分解
インバーター式と従来型、出力波形の違い
| 方式 | 出力波形 | 使える機器 |
|---|---|---|
| インバーター式 | 一度直流に変換してから電子回路で正弦波を作るため、電圧・周波数が安定している | パソコン、精密な電子制御機器を含め、幅広い家電に対応 |
| 従来型(サイクロコンバータ式含む) | エンジンの回転数に応じて波形が変動しやすい | 電動工具など波形の乱れに強い機器向け。精密機器には不向き |
インバーター式は電圧・周波数の変動が少ない方式として、パソコンなど電子機器への給電に向くと説明されることが一般的です。ただし、出力波形の歪み率のような数値は、この記事では公的資料で確認できていません。停電時にパソコンや充電式の医療機器を使う可能性がある場合は、インバーター式を候補にしたうえで、使う機器の取扱説明書に発電機からの給電についての記載があるかも確かめてください。
燃料の種類で選ぶ(ガソリン式・カセットガス式)
| 燃料 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| ガソリン式 | 出力が大きい機種が多く、稼働時間もタンク容量次第で長く取りやすい | ガソリンは消防法上の危険物で、保管量によっては届出や許可が必要になる。長期保管でガソリンが劣化し、キャブレターの目詰まりの原因になる |
| カセットガス式 | カセットボンベで動作し、燃料を店頭で入手しやすい | 出力はガソリン式に比べて小さめの機種が中心。連続稼働時間はボンベの本数に左右される。機種によって使えるボンベが指定されている |
備蓄のしやすさを優先するならカセットガス式、大きな出力や長時間稼働を優先するならガソリン式が候補になります。ホンダはカセットガス式のEU9iGBについて、公式ページで「燃料は、ガソリンと比べ保管や取り扱いもしやすいカセットボンベで発電。」と説明しています。一方で同じページには「●使用燃料:東邦金属工業株式会社製と表示がある カセットこんろ用ボンベ」「※ 外気温5℃~40℃ にてご使用ください。」とあり、手元にあるカセットこんろ用ボンベなら何でも使えるわけではありません。備蓄するボンベは、機種の指定に合わせて選ぶ必要があります。
定格出力(W)と始動時最大出力(サージ)の見方
冷蔵庫やエアコン、換気扇などモーターを内蔵する家電は、起動する瞬間に定格消費電力より大きな電力(始動時最大出力、サージ)を一時的に必要とする場合があります。発電機を選ぶときは、同時に使う家電の定格消費電力の合計が発電機の定格出力に収まっているかに加えて、起動する家電のサージ電力が発電機の最大出力を超えないかも確認する必要があります。これを見落とすと、起動した瞬間に発電機が停止したり、故障につながったりします。起動時にどれだけ電力が増えるかは機器によって異なり、公的機関が示す目安の数値は確認できませんでした。家電側の取扱説明書や、家電メーカー・発電機メーカーの窓口で確かめるのが確実です。なお、2026年10月24日時点のホンダの製品ページでは、仕様表に最大出力の項目が見当たりませんでした。
騒音レベルの目安
環境省の「騒音に係る環境基準」は、地域の類型ごとに望ましい騒音の上限を次のように定めています。昼間は午前6時から午後10時まで、夜間は午後10時から翌午前6時までです。

| 地域の類型 | 昼間 | 夜間 |
|---|---|---|
| AA(療養施設などが集まり、特に静かさが必要な地域) | 50デシベル以下 | 40デシベル以下 |
| A(専ら住居用)・B(主に住居用) | 55デシベル以下 | 45デシベル以下 |
| C(住居と商業・工業が混在) | 60デシベル以下 | 50デシベル以下 |
これは地域全体の環境として望ましい水準で、発電機1台の音を直接取り締まる基準ではありませんが、住宅地の夜の静かさの目安になります。発電機の騒音レベルは機種や出力によって幅があり、仕様表に測定の距離や負荷の条件が書かれている場合は、条件もあわせて見てください。住宅密集地で夜に使う可能性があるなら、低騒音をうたう機種を選び、隣家との距離もとれる場所を決めておくことが近隣配慮につながります。
電気用品安全法(PSE)上の位置づけ
電気用品安全法には「特定電気用品」と「特定電気用品以外の電気用品」の2区分があり、対象範囲はガジェットの認証マーク 技適とPSEの意味と表示がない製品のリスクで扱っている通りです。電気用品安全法施行令の別表第一(特定電気用品の一覧)には、「定格電圧が30ボルト以上300ボルト以下の携帯発電機」が挙げられています。家庭の100V機器に給電する一般的な携帯発電機はこの範囲に入るため、特定電気用品として菱形の(PS)Eマークの表示が必要です。国内の正規販売品であれば通常は問題ありませんが、個人輸入や海外通販サイトで発電機を購入する場合は、PSEマークの表示があるかを事前に確認してください。
メーカー公式の仕様で見る主な発電機(2026年10月24日確認)
ホンダの公式サイトに掲載されている4機種の仕様を、カタログ値のまま並べました。価格はメーカー希望小売価格(税込、消費税10%)で、販売店での価格を示すものではありません。機種の優劣を比べる表ではなく、仕様表のどこを読めばよいかを確かめるための材料として見てください。
| 機種 | 定格出力 | 燃料タンク容量 | 連続運転可能時間(定格負荷/¼負荷) | 騒音レベルLWA(定格負荷/¼負荷) | 乾燥質量 | メーカー希望小売価格(税込) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ホンダ EU28is(車輪なし) | 2.8kVA | 12.7L | 約7.0h/約17.3h | 90dB/84dB | 59.0kg | 403,590円 |
| ホンダ EU26i(在庫限りで販売終了) | 2.6kVA | 5.9L | 約3.5h/約7.7h | 91dB/82dB | 35.2kg | 327,800円 |
| ホンダ EU24i(車輪なし、在庫限りで販売終了) | 2.4kVA | 12.7L | 約8.5h/約22.3h | 90dB/82dB | 53.7kg | 304,590円 |
| ホンダ EU9iGB(カセットガス式) | 900VA | 500g(カセットボンベ2本の容量) | 約1.1h/約2.2h | 84dB/79dB | 19.5kg | 131,340円 |
¼負荷の値は、いずれもホンダが「エコスロットル作動時」としている数値です。EU28isには車輪ありの仕様もあり、乾燥質量61.2kg、メーカー希望小売価格(税込)415,470円で、公式ページには「※ホイールストッパーは別売りとなります。」と書かれています。EU26iとEU24iの公式ページには、どちらも「*在庫限りで販売終了となります。」と記載されています。
仕様表を読むときに見落としやすい点
連続運転時間は、負荷の大きさで大きく変わります。EU24i(車輪なし)は定格負荷で約8.5時間ですが、¼負荷では約22.3時間です。同じ12.7Lのタンクを持つEU28is(車輪なし)は定格負荷で約7.0時間なので、タンク容量だけを見ても運転できる時間は決まりません。停電中に何を何時間動かすかを先に決め、そのときの負荷に近い条件の数値を見るのが現実的です。
騒音の数値にも注意が要ります。ホンダの表示は「騒音レベル(LWA)」という音響パワーレベルの値で、測定の距離や条件は製品ページ上では確認できませんでした。ヤマハの海外向け仕様は7mの位置での値として書かれており、同じデシベルという単位でも表し方が異なります。前の節の環境基準の数値とも、そのまま並べて比べることはできません。
カセットガス式のEU9iGBは、定格負荷で約1.1時間、¼負荷で約2.2時間です。この時間はボンベ2本分の容量(500g)での値で、1本あたりの運転時間は公式ページに書かれていませんでした。夜通し動かすような使い方を考えている場合は、必要なボンベの数がかなり多くなることを前提に備蓄量を見積もってください。
選び方・選定基準
- 停電時に最低限動かしたい家電のためか、アウトドアと兼用かなど、用途を先に決める。
- パソコンや精密機器を使う可能性があるなら、インバーター式を選ぶ。
- ガソリンかカセットガスか、燃料の備蓄しやすさと入手性を基準に選ぶ。
- 使う予定の家電の定格消費電力の合計と、起動時のサージ電力の両方を確認する。
- 住宅密集地での使用を想定する場合は、騒音値(デシベル)とその測定条件を確認する。
- 国内の正規流通品か、PSEマークの表示があるかを確認する。
公的機関のデータで見る一酸化炭素中毒事故
10年間で12件、うち死亡事故5件
NITEが2021年8月26日に発表したニュースリリースによると、2011年度から2020年度までの10年間にNITEに通知された製品事故情報のうち、誤使用・不注意を原因とする携帯発電機の一酸化炭素中毒事故は12件あり、そのうち5件が死亡事故でした。ここでいう製品事故情報には、重大製品事故のほか、非重大製品事故や被害のなかったヒヤリハット情報も含まれます。同じリリースは「携帯発電機は、一酸化炭素発生による中毒のおそれが高いため、屋内では絶対に使用せず、屋外の風通しの良い場所で使用してください。」と呼びかけています。
消費者庁も2023年8月29日の発表で、「台風等による停電の際に使用される携帯発電機において、不十分な換気により一酸化炭素中毒となる事故が毎年発生しています。」としています。件数は大きくないものの、起きた場合に死亡につながる割合が高い事故だと読み取れます。
CO濃度と症状
NITEの携帯発電機に関するリーフレットには、空気中のCO濃度と症状の関係が次のように示されています。
| CO濃度 | 症状(NITEリーフレットの記載) |
|---|---|
| 12800ppm(1.28%) | 1~3分間で死亡 |
| 3200ppm(0.32%) | 30分間で死亡 |
| 1600ppm(0.16%) | 20分間で頭痛・めまい・吐き気、2時間で死亡 |
| 400ppm(0.04%) | 1~2時間で前頭痛・吐き気、2.5~3.5時間で後頭痛 |
同じリーフレットには、携帯発電機を屋内で使った場合のCO濃度の変化を示した実験例の図もあり、運転開始から数分のうちに濃度が急に上がっていく様子が描かれています。図から具体的な分数を読み取ることはできませんでしたが、換気が追いつかない空間では短時間で危険な濃度に達しうることがわかります。
実際に起きた事故の事例
| 発生日・地域 | 被害 | 状況(公表資料の記載) |
|---|---|---|
| 2018年9月8日 北海道 | 50歳代男性が死亡 | 北海道胆振東部地震の後。取扱説明書には排ガス中毒のおそれがある旨の記載があったが、換気の不十分な屋内で使用したため一酸化炭素濃度が上昇したと推定 |
| 2020年9月7日 鹿児島県 | 1名死亡、2名重症 | 令和2年台風10号の後。製品に異常は認められず、換気が十分に行えない屋内で使用したと推定。本体と取扱説明書に「屋内など換気の悪い場所で使用しない。」旨の記載あり |
| 2021年8月2日 福井県 | 1名死亡 | 車両内で携帯型の発電機を使用した後に一酸化炭素中毒。取扱説明書に「トンネル、屋内など通気の悪いところで運転しない。」等の記載あり |
北海道と鹿児島の事例は経済産業省・消費者庁・NITEが2022年8月26日に同時発表した資料、福井の事例は消費者庁の2023年8月29日の資料に載っているものです。3件とも、取扱説明書には屋内や換気の悪い場所での使用を避けるよう書かれていました。製品の欠陥ではなく、使う場所の問題で起きている点が共通しています。
屋外で使うときの距離と置き場所
屋外に出せば安全というわけでもありません。消費者庁は2021年8月25日の発表で、注意点の一つとして「(3)製品ごとに定められた距離を建物及びその他の設備から離してください。」を挙げ、その理由を「排気が建物等に向き、その距離が近いと、高温になった排気が、発電機本体に逆流したりするなどし、火災や思わぬ事故を起こす可能性があります。」と説明しています。2023年の発表では「排ガスが逆流しないように出入口、窓など開口部から離れたところ、かつ、風通しの良いところで使用してください。」とされています。
何メートル離せばよいかについて、公的機関の資料には具体的な数値がありませんでした。消費者庁は距離について「取扱説明書に記載がある」としているので、購入前や設置場所を決める段階で、その機種の取扱説明書に書かれた距離を確認してください。
消防法で見るガソリンの保管と運搬
指定数量は200リットル、半分を超えると家庭でも届出の対象
消防法では、危険物ごとに「指定数量」が決められています。危険物の規制に関する政令の別表第三では、第四類の第一石油類のうち非水溶性液体の指定数量が200リットルとされています。郡山市消防本部の資料は、ガソリンについて次のように説明しています。
「ガソリンの「指定数量」は200ℓと決められていますから、100ℓの保管では許可を受ける必要はありません。ですが、保管する量を指定数量で割った数が、0.5以上となる場合は、一般家庭であっても消防署に届け出をする必要があります。」
この資料の例では、ガソリン100リットルを自宅で保管すると100÷200で0.5になり、届出が必要な水準に達します。これは国の機関ではなく郡山市の消防資料の説明で、届出の扱いや、それより少ない量の保管に関するルールは市町村の条例によって異なる場合があります。自宅にガソリンを置く予定があるなら、量にかかわらず地元の消防本部・消防署に確認してください。
運搬は金属製の容器で、購入時は本人確認がある
消防庁は平成25年10月4日の通知(消防危第177号)で、「ガソリンの引火点は-40℃程度と非常に低く、静電気等でも容易に火災が発生することから、金属製の容器(ガソリン携行缶やドラム缶等)で運搬する必要があります」としています。灯油用のポリタンクなどで代用することはできません。
購入の手続きも変わっています。消防庁のページには「ガソリンを容器に詰め替えるときは、顧客の本人確認、使用目的の確認及び販売記録の作成を行うこととされました(令和2年2月1日施行)。」とあります。ガソリンスタンドで携行缶に給油してもらう際は、本人確認や使用目的を尋ねられる前提で出かけてください。
よくある失敗・注意点
屋内・車内・テント内で使用してCO中毒になる
定格出力ギリギリの家電を同時につないで停止する
ガソリンを長期保管して劣化・目詰まりを起こす
確認できなかった項目
この記事の作成にあたって公式・公的な情報源を調べた範囲で、次の項目は原文で確認できませんでした。そのため本文では数値を書いていないか、確認先を案内する形にしています。
| 項目 | 状況(2026年10月24日確認) | 本文での扱い |
|---|---|---|
| ヤマハ発電機の国内向け仕様と価格 | 海外向けグローバルサイトの仕様表のみ取得。国内向け公式ページと国内価格は確認できず | 海外向け仕様である旨を明記して補足に記載 |
| ホンダ製品の最大出力 | 各製品ページの仕様表に項目が見当たらず | 表に載せず、サージ電力の確認方法として案内 |
| カセットガス式のボンベ1本あたりの運転時間 | EU9iGBの公式ページはボンベ2本の容量での値のみ | 2本分の値と条件をそのまま記載 |
| 家庭でのガソリン貯蔵量の基準(40リットル等)の一次資料 | 消防庁の公式ページでは確認できず。ガソリンが第一石油類に当たる旨の公式文言も今回の範囲では確認できず | 政令の指定数量表と郡山市消防本部の資料のみを使い、自治体への確認を案内 |
| 家電の起動時の消費電力の公的な数値 | 資源エネルギー庁などの公的資料で見つからず | 家電・発電機メーカーへの確認を案内 |
| 発電機を建物から離す距離のメートル数 | 消費者庁・NITE・経済産業省の資料に具体的な数値なし | 取扱説明書で確認するよう案内 |
| 経済産業省の製品安全・電気用品安全法関連ページ | 3ページとも接続できず | e-Gov法令検索の法令本文を出典とした |
よくある質問
発電機とポータブル電源、停電対策にはどちらがよいですか。
どちらが優れているかではなく、用途が異なります。発電機は燃料がある限り発電を続けられますが屋内では使えません。ポータブル電源は屋内でも使えますが、蓄えた分を使い切れば充電が必要です。停電の長期化に備えるなら発電機、屋内での安全性を優先するならポータブル電源が候補になります。
窓を少し開ければ屋内で発電機を使ってもよいですか。
窓を開ける程度の換気では不十分です。NITEと消費者庁は屋内での使用を絶対にしないよう注意喚起しています。屋外であっても、出入口や窓など開口部から離れた風通しのよい場所で使用してください。
インバーター式でなくても冷蔵庫は動かせますか。
従来型でも冷蔵庫自体は動かせますが、波形が安定しないため、内蔵の電子制御基板に影響する可能性があります。冷蔵庫や精密機器を安心して使いたい場合は、電圧・周波数が安定しているインバーター式を選ぶのが基本です。
カセットガス式は何時間使えますか。
機種と負荷によって異なります。ホンダのEU9iGBの場合、公式ページ(2026年10月24日確認)のカタログ値は、カセットボンベ2本の容量(500g)で定格負荷900VAのとき約1.1時間、¼負荷225VA(エコスロットル作動時)のとき約2.2時間です。1本あたりの運転時間は記載がありませんでした。長時間の稼働を想定する場合は、この値をもとに必要なボンベの本数を計算し、機種が指定するボンベを備蓄してください。
発電機にPSEマークの表示は必須ですか。
電気用品安全法施行令の別表第一で、定格電圧が30ボルト以上300ボルト以下の携帯発電機は特定電気用品とされており、菱形の(PS)Eマークの表示が必要です。国内の正規流通品であれば通常は表示されていますが、個人輸入や海外通販サイトで購入する場合は表示の有無を確認してください。
マンションのベランダで使ってもよいですか。
ベランダは構造上、屋内と同様に排気がこもりやすい場所です。CO中毒のリスクがあるため避けてください。集合住宅で発電機の使用を検討する場合は、管理規約の確認と合わせて、屋内使用と同等のリスクがある場所は避ける前提で計画してください。
発電機は建物から何メートル離せばよいですか。
公的機関の資料には一律のメートル数は示されていません。消費者庁は製品ごとに定められた距離を建物やその他の設備から離すよう求めており、その距離は取扱説明書に記載があるとしています。お使いの機種の取扱説明書で距離を確認し、あわせて出入口や窓などの開口部から離れた、風通しのよい場所を選んでください。
ガソリン携行缶はどこにでも保管してよいですか。
ガソリンは消防法上の危険物にあたり、携行缶での保管数量には制限があります。直射日光を避け、火気のない場所で保管する必要もあります。具体的な数量の目安は、お住まいの自治体の消防署に確認してください。
ガソリンを自宅に何リットルまで置けますか。
ガソリンの指定数量は200リットルです。郡山市消防本部の資料では、保管する量を指定数量で割った数が0.5以上、つまり100リットル以上になると、一般家庭でも消防署への届出が必要とされています。ただしこれは自治体の資料による説明で、より少ない量の扱いを含め、細かなルールは市町村の条例で異なる場合があります。保管を始める前に、地元の消防本部・消防署に確認してください。
まとめ
非常用発電機を選ぶときは、まず用途とインバーター式かどうかを決め、そのうえで燃料の種類、定格出力とサージ電力、騒音値、PSEマークの有無を順に確認するとわかりやすくなります。仕様表の連続運転時間は負荷によって大きく変わり、騒音の数値も表し方がメーカーごとに違うため、数字は条件とセットで読む必要があります。何より守るべきなのは、屋内・車内・テント内では使用しないという安全上のルールです。NITEの集計では10年間で12件の中毒事故があり、うち5件が死亡事故でした。ガソリンを備蓄する場合は、消防法上の指定数量と自治体の届出の基準も確認し、ポータブル電源との使い分けも含めて用途に合った電源を選んでください。
出典・参考情報
この記事の数値と引用は、次の公式・公的な情報源に基づいています。法制度や製品の仕様・価格は変更される場合があるため、最新の情報は各機関・各メーカーの公式情報で確認してください。
- NITE(製品評価技術基盤機構) ニュースリリース 2021年8月26日(携帯発電機のCO中毒事故12件、うち死亡事故5件) https://www.nite.go.jp/data/000128116.pdf 、2026年10月24日確認
- 経済産業省・消費者庁・NITE 同時発表 2022年8月26日(事故事例 2018年北海道、2020年鹿児島県) https://www.nite.go.jp/data/000139989.pdf 、2026年10月24日確認
- 消費者庁 令和3年8月25日 報道発表資料「携帯発電機やポータブル電源の事故に注意!」(製品ごとに定められた距離) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_053/assets/caution_053_210825_0001.pdf 、2026年10月24日確認
- 消費者庁 令和5年8月29日 報道発表資料「停電時の発電機によるCO中毒や、復旧後の通電火災に注意!」(開口部から離す注意、2021年福井県の事例) https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_070/ 、2026年10月24日確認
- NITE 携帯発電機の一酸化炭素中毒 リーフレット(CO濃度と症状の表) https://www.nite.go.jp/data/000119246.pdf 、2026年10月24日確認
- NITE 事故防止リーフレット https://www.nite.go.jp/data/000100010.pdf 、2026年10月24日確認
- ホンダ 発電機 EU28is(車輪なし) https://www.honda.co.jp/generator/lineup/eu28is/eu28is-2.html 、EU28is(車輪あり) https://www.honda.co.jp/generator/lineup/eu28is/ 、2026年10月24日確認
- ホンダ 発電機 EU26i https://www.honda.co.jp/generator/lineup/eu26i/ 、2026年10月24日確認
- ホンダ 発電機 EU24i(車輪なし) https://www.honda.co.jp/generator/lineup/eu24i/eu24is-2.html 、2026年10月24日確認
- ホンダ 発電機 EU9iGB https://www.honda.co.jp/generator/lineup/eu9igb/ 、2026年10月24日確認
- ヤマハ発動機 グローバルサイト EF2400iS(230V 50Hz、海外向け仕様) https://global.yamaha-motor.com/business/pp/generator/lineup/220v-50hz/1-3/ef2400is/ 、2026年10月24日確認。国内向けの仕様と価格は確認できず
- e-Gov法令検索「危険物の規制に関する政令」(昭和34年政令第306号)別表第三 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/334CO0000000306 、2026年10月24日確認
- 郡山市消防本部の資料(ガソリンの指定数量と家庭での届出) https://www.shobo.koriyama.fukushima.jp/files/e6bab613cbf8da61a88711484c84657d9e67c58d.pdf 、2026年10月24日確認。国の機関ではなく自治体の資料
- 消防庁 消防危第177号(平成25年10月4日)ガソリン携行缶に関する通知 https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/gasoline/items/gasoline_tutatsu03.pdf 、2026年10月24日確認
- 消防庁 ガソリンの取扱いに関する通知等 https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/gasoline/tutatsu.html 、2026年10月24日確認
- e-Gov法令検索「電気用品安全法施行令」別表第一(特定電気用品)の「定格電圧が三〇ボルト以上三〇〇ボルト以下の携帯発電機」 https://laws.e-gov.go.jp/law/337CO0000000324 、2026年10月4日確認
- 環境省「騒音に係る環境基準について」(平成10年環境庁告示第64号) https://www.env.go.jp/kijun/oto1-1.html 、2026年10月4日確認
- 経済産業省 製品安全・電気用品安全法関連ページ(https://www.meti.go.jp/product_safety/producer/system/07.html ほか2件)は、2026年10月24日の確認時に接続できず、内容を確認できませんでした
