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ウェアラブル端末の計測値はどこまで信用できるか 医療機器との境界を制度から読む

スマートウォッチが表示する心拍数、スマートリングが出す睡眠スコア、体組成計の体脂肪率。これらの数値は、見た目は医療機関の検査結果と同じような顔をしていますが、制度上の位置づけはまったく違います。同じ「心電図」という言葉でも、国の承認を受けた機能と、受けていない機能があります。この記事では、医薬品医療機器等法(薬機法)とそのガイドラインをもとに、どこで線が引かれているのかを整理します。数値を疑うためではなく、何のための数値なのかを知って使うためです。

この記事でわかること

一般的な健康管理の製品とプログラム医療機器の違い/厚生労働省のガイドラインが示す「医療機器に該当しない典型的な事例」/「医療機器ではない」と書けば済むわけではない理由/実際に国内承認を受けたウェアラブル機能の例/機器の種類別に見た数値の性格と限界/買うときに確認すること

この記事は制度についての一般的な整理であり、医学的な助言や法的助言ではありません。体調に不安がある場合は医療機関に相談してください。

同じ数値でも位置づけが違う

ウェアラブル機器が出す数値は、大きく2つに分かれます。

一般的な健康管理の製品 プログラム医療機器
根拠 薬機法の規制対象外 薬機法に基づく承認または認証を受けている
目的の建前 健康管理、運動管理、生活記録 疾病の診断、治療、予防に用いる
数値の性格 傾向を見るための参考値 目的の範囲で用いることが想定された値
表示の例 「医療機器ではありません」といった記載 承認番号や認証番号、一般的名称の記載
販売 一般の家電として流通する 区分に応じた規制がかかる

重要なのは、多機能な1台の中で、機能ごとに位置づけが分かれることです。同じ腕時計型の機器でも、歩数や睡眠の記録は一般的な健康管理、心電図の記録は医療機器プログラム、というように分かれます。睡眠の中でも、Apple Watchの「睡眠時無呼吸の兆候の通知」は、販売名「Appleの睡眠時無呼吸の兆候の通知プログラム」として管理医療機器販売業者等の表示つきで提供されていて、睡眠スコアのような記録とは位置づけが違います。製品全体を「医療機器」か「そうでないか」で見ると読み違えます。

どこで線が引かれているのか

厚生労働省医薬・生活衛生局が示す「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」(令和3年3月31日、令和5年3月31日一部改正)に、判断の枠組みが書かれています。

条文は「目的」で医療機器を定義している

ガイドラインの土台は薬機法第2条第4項です。医療機器は「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等」のうち、政令で定めるものと定義されています。同条第1項第2号のかっこ書きでは、「機械器具等」にプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたもの)を含めています。このため、スマートフォンや腕時計で動くアプリ単体も、制度上は医療機器になりうる枠組みです。定義の書き方が「目的とされている」となっている点は、使用目的で線を引くガイドラインの考え方と一致します。医療機器はさらに、不具合が起きたときに生命や健康へ及ぶ影響の大きさで、高度管理医療機器・管理医療機器・一般医療機器の3つに分かれます(同条第5項〜第7項)。第68条は、承認や認証を受けていない医療機器について、名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告を「何人も」してはならないと定めています。

医療機器に該当しない典型的な事例

ガイドラインは、以下を使用目的とする単一のプログラムは医療機器の定義を満たさないため薬機法の規制対象とはならない、として4つの類型を挙げています。ウェアラブル機器に関わるのは3つ目と4つ目です。

類型 内容
患者説明を目的とするもの 医療関係者が患者や家族に治療方法等を理解してもらうためのプログラム
院内業務支援、メンテナンスを目的とするもの 健康記録の閲覧、診療予約や会計等の事務作業、機器の保守点検の伝達
使用者が自らの医療・健康情報を閲覧等することを目的とするもの 個人の健康記録を保存、管理、表示するプログラム。スポーツのトレーニング管理等の医療・健康以外を目的とするプログラム
生命及び健康に影響を与えるリスクが低いと考えられるもの 有体物の一般医療機器(クラスI医療機器)と同等の処理を行うプログラム

3つ目の類型の説明が、ウェアラブル機器の位置づけをよく表しています。ガイドラインでは、個人の健康記録を保存、管理、表示するプログラムとして、医療機器等から取得したデータ(血糖値、血圧、心拍数、体重等)を使用者が記録し、そのデータを医療関係者、介助者、家族等と共有したり、オンラインのデータベースに登録、記録したりすることを可能にするもの(経時的表示や統計処理をした数値の表示を含む)が挙げられています。

あわせて、スポーツのトレーニング管理等の医療・健康以外を目的とするプログラムについても、使用目的が競技力の向上、体力の向上等を目的として個人の適切な運動強度の設定や運動量の管理等のために用いられ、疾病の診断や病態の把握、疾病の兆候の検出を目的としていないもの(診断等に用いることが可能な情報を用いる場合を含む)が該当しないとされています。

かっこ書きの「診断等に用いることが可能な情報を用いる場合を含む」が要点です。取得しているデータが医療で使われるものと同じであっても、使用目的が診断や兆候の検出でなければ医療機器にはならない、という整理になっています。つまり分かれ目は、センサーの精度ではなく使用目的です。

「医療機器ではない」と書けば済むわけではない

同じガイドラインには、事業者側の表示についての留意事項も書かれています。医療機器ではないものについて医療機器と誤認させるような製品が流通することは保健衛生上の観点から好ましくないとしたうえで、事業者は医療機器ではないプログラムについて、利用者による誤解を防ぐために「当該プログラムは、疾病の診断、治療又は予防に使用されることを目的としていない」または「当該プログラムは医療機器ではない」旨の記載、表示を行うことが望ましいとされています。

同じ箇所の脚注には、こう書かれています。そうした記載があることをもって当該プログラムが医療機器ではないことの根拠とはならず、そのような記載があっても、疾病の疑いを判断できるなどと医療機器との認識を与える広告・標ぼうをする製品は医療機器に該当する。つまり「医療機器ではありません」という但し書きと、病気が分かるかのような宣伝文句が同居している製品は、但し書きのほうで守られるわけではありません。読み手としては、但し書きの有無より、何ができると書いてあるかを見るほうが実態に近づきます。

リスクの程度をどう見るか

ガイドラインは、リスクの程度の判断が難しい場合に考慮する2点も示しています。ひとつは、医療機器プログラムにより得られた結果の重要性に鑑みて疾病の治療、診断等にどの程度寄与するのか。もうひとつは、機能の障害等が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれを含めた総合的なリスクの蓋然性がどの程度あるか。結果がどれだけ判断に使われるか、間違ったときにどれだけ影響が出るか、という2軸です。この視点は、使う側が数値をどう扱うかを考えるときにもそのまま使えます。

厚生労働省の判断事例で見る「同じ血中酸素でも分かれる」例

厚生労働省の事務連絡「プログラムの医療機器該当性判断事例について」(令和5年3月31日)には、似た機能が目的によって分かれる例が並んでいます。

区分 判断事例の記載(要約)
医療機器に該当するもの 腕時計型の携帯端末(測定用の汎用センサを有する)にインストールし、日常生活での健康状態の管理・体調管理または医療機関への受診の目安の提示のために、血中酸素飽和度、血圧、体温等のバイタルデータを測定、保存、表示するプログラム
医療機器に該当しないもの 健康な人の運動におけるトレーニングの効果・効率の向上や運動強度の管理を目的に血中酸素飽和度を測定し、記録するプログラム(心不全等の患者の運動療法・リハビリテーションを目的とするものは医療機器に該当する)
医療機器に該当しないもの 体重計や歩数計等のデータや、医療機器から得られた計測値を表示、保管、転送するだけの個人の健康記録プログラム

出典 厚生労働省 医薬・生活衛生局 医療機器審査管理課・監視指導・麻薬対策課 事務連絡「プログラムの医療機器該当性判断事例について」(令和5年3月31日)。2026年10月4日確認。

「受診の目安」を示すために測るのか、トレーニングの管理に使うのかで扱いが変わる、というのがこの表の読みどころです。製品の説明に「医療目的ではない」と書かれているかどうかは、こうした線引きを踏まえて読む必要があります。

Apple Watchで医療機器として提供されている機能(2026年10月確認)

Apple Watchの医療機器機能 心電図 不規則な心拍の通知 心房細動履歴 睡眠時無呼吸の通知と対象年齢
図 Apple Watchの医療機器機能と対象年齢(Appleの公式ページをもとにガジェット広場作成)
機能 販売名(Appleの表示) 使用対象(Appleの表示)
心電図 Appleの心電図アプリケーション 22歳以上。Apple Watch Series 4以降(SEモデルを除く)とUltraの全モデル
不規則な心拍の通知 Appleの不規則な心拍の通知プログラム 22歳未満の使用を目的としない
心房細動履歴 Appleの心房細動履歴プログラム 心房細動と診断された22歳以上
睡眠時無呼吸の通知 Appleの睡眠時無呼吸の兆候の通知プログラム 睡眠時無呼吸と診断されたことがない18歳以上。中等度から重度の睡眠時無呼吸を示唆する兆候を検出
(参考)血中酸素ウェルネス 医療機器ではない Appleは測定が医療目的ではなく一般的なフィットネスとウェルネスを目的としたものと明記。18歳以上が対象

出典 Apple(日本)「watchOS 27 - 利用できる機能」https://www.apple.com/jp/watchos/feature-availability/ 、「Apple Watch Series 12 - 仕様」https://www.apple.com/jp/apple-watch-series-12/specs/ 、Apple サポート「Apple Watchで血中酸素ウェルネスアプリを使う方法」。いずれも管理医療機器販売業者等はApple Japan合同会社と表示。2026年10月4日確認。

実際に承認された例

ウェアラブル機器の機能が国内で医療機器として承認された例があります。Apple Watchの心電図に関する機能は、2020年9月4日に国内承認を取得し、日本では2021年1月22日から利用できるようになりました。一般的名称は「家庭用心電計プログラム」および「家庭用心拍数モニタプログラム」で、管理医療機器(クラスII)に分類されています。2020年7月には、これらの家庭用の区分が新たに設けられました。

項目 内容
承認 2020年9月4日
日本での利用開始 2021年1月22日
一般的名称 家庭用心電計プログラム/家庭用心拍数モニタプログラム
区分 管理医療機器(クラスII)

この例が示しているのは、同じ1台の機器の中で、承認を受けた機能と受けていない機能が並んでいるということです。心電図の記録は承認された機能ですが、同じ製品の睡眠記録や活動量は一般的な健康管理の範囲です。製品名で判断せず、機能ごとに見る必要があります。スマートウォッチ全体の選び方はスマートウォッチの機能比較と選び方で扱っています。

機器の種類別に見る

機器 主に取れる情報 一般的な位置づけ 読むときの注意
スマートウォッチ 心拍数、歩数、運動量、睡眠、血中酸素の推定など 多くは健康管理の範囲。一部の機能が承認を受けている場合がある 機能ごとに位置づけが違う。仕様表と本体の表示を見る
スマートリング 心拍数、睡眠、体温の変化、活動量 健康管理の範囲 装着位置が指のため、腕時計型と数値の傾向が異なることがある
活動量計 歩数、消費カロリーの推定、睡眠 健康管理の範囲 消費カロリーは推定値。機種間で差が出やすい
体組成計 体重、体脂肪率の推定、筋肉量の推定 健康管理の範囲 体内の水分量に左右される。測定条件を揃える
血圧計・体温計 血圧、体温 医療機器として承認・認証された製品がある 製品ごとに位置づけが異なる。表示を確認する

スマートリングとスマートウォッチの使い分けはスマートリングとは何か、スマートウォッチとの違いを解説、体組成計の測定項目は体組成計・スマート体重計の選び方、測定項目とアプリ連携を比較するで扱いました。体温計など家庭で使う計測機器の全体像はスマート体温計・健康管理ガジェットの選び方を参照してください。

制度上の位置づけと商品の見え方が食い違う構図は、ウェアラブルに限りません。補聴器と集音器は何が違うのか 制度上の位置づけと購入前に確認することでは、同じように見える2つの製品が制度上は別物である例を扱っています。

血中酸素の表示と「パルスオキシメータ」は制度上の位置づけが違う

PMDAの医療機器基準データベースでは、一般的名称「パルスオキシメータ」(コード17148010)がクラスIIの管理医療機器として登録され、特定保守管理医療機器にも「該当」とされています。定義は、特殊なプローブによる光検出を利用して血液の酸素飽和度(SpO2)を経皮的に測定する装置です。これに対してAppleのサポートページ(2026年9月20日公開の版)は、Apple Watchの血中酸素ウェルネスアプリについて、測定は医療目的(自己診断や医師への相談を含む)ではなく、一般的なフィットネスとウェルネスを目的としたものだと明記しています。

業界側の目安としては、電子情報技術産業協会(JEITA)の「パルスオキシメータの適正広告・表示ガイドライン」(第1版、令和4年2月3日)があります。このガイドラインは、「パルスオキシメータ」という一般的名称を使えるのは認証等を受けた機器に限られるとし、広告には認証等番号の記載を求めています。精度の高さを訴える場合は、精度評価のArms値と試験概要を示すことも求めています。さらに、実際の値から数%程度ずれることがある旨と、ネイル、体動、手の冷え、周囲の光などで誤差が生じうる旨の記載も求めています。製品ページに番号があれば、PMDAの「医療機器 添付文書等情報検索」で承認・認証番号から照合できます。

数値をどう読むか

位置づけが分かったうえで、実際の使い方を整理します。

読み方 内容 理由
絶対値より変化を見る 今日の数値そのものより、平常時からのずれを見る 推定値は機器ごとに癖がある。同じ機器の中での比較なら意味が出る
条件を揃える 測る時間帯、姿勢、装着位置を固定する 条件が変わると数値も変わる。比較できなくなる
短期の上下で判断しない 数日から数週間の傾向で見る 1日の値には測定誤差と生活の変動が混ざる
数値と体調が食い違ったら体調を優先する 機器が正常と出していても、具合が悪ければ受診する 健康管理の範囲の機能は、疾病の兆候の検出を目的としていない
記録は共有できる形にしておく 受診時に見せられるようにする ガイドラインでも、記録を医療関係者や家族と共有することは想定されている

4つ目がもっとも重要です。健康管理を目的とした機能は、そもそも疾病の兆候を検出するために作られていません。機器が何も警告しないことは、問題がないことの証明にはなりません。逆に、機器が異常な値を出したときも、それだけで病気だと判断するものではありません。どちらの方向にも、数値だけで結論を出さないという姿勢が要ります。

買うときに確認すること

確認項目 見る場所
その機能が医療機器として承認・認証されているか 製品ページの仕様、本体や箱の表示、一般的名称や承認番号の記載
「医療機器ではありません」の記載があるか 製品ページの注記。ただし記載があること自体は判断の根拠にならない
できると書かれていることの範囲 広告表現。病気が分かるかのような表現がないか
日本で使える機能かどうか 国や地域によって提供されない機能がある
データの持ち出し方 アプリからの書き出し、共有の可否
サービス終了時の扱い アプリが終了した場合に記録がどうなるか
サブスクリプションの有無 本体購入後に月額が必要な機能がないか

健康系のガジェット全般をどう選ぶかはスマート体重計以外の健康ガジェット、種類別の選び方にまとめました。効果の主張を研究データに照らして読む例は電動歯ブラシの選び方 手磨きとの差を示した研究データから考えるで扱っています。

よくある失敗

ウェアラブル機器が正常な値を示していることを、体調に問題がないことの根拠にしないでください。健康管理を目的とした機能は、疾病の兆候の検出を目的として作られていません。胸の痛み、息苦しさ、めまいといった症状があるときは、機器の表示にかかわらず医療機関を受診してください。

製品全体を「医療機器」か「そうでないか」で分ける

1台の中で機能ごとに位置づけが分かれます。心電図の記録は承認を受けていても、同じ機器の睡眠記録は健康管理の範囲、ということが起こります。

「医療機器ではありません」の注記があるから安全な表現だと考える

ガイドラインの脚注では、そうした記載があることをもって医療機器ではないことの根拠とはならず、疾病の疑いを判断できるなどと医療機器との認識を与える広告をする製品は医療機器に該当するとされています。注記より、何ができると書いてあるかを見てください。

機種を変えて数値を比べる

推定値は機器ごとに癖があります。買い替えた直後に数値が変わっても、体が変わったとは限りません。比較は同じ機器の中で行ってください。

測定条件を揃えずに記録する

時間帯、姿勢、装着位置が変われば数値も変わります。条件が揃っていない記録は、傾向を見る用途にも使えません。

スコアの上下に一喜一憂する

睡眠スコアなどの総合指標は、各社が独自に計算したものです。他社の数値とも、医療機関の検査とも直接は比べられません。

よくある質問

スマートウォッチの心拍数は医療の検査と同じものですか

同じではありません。多くの機種で、心拍数や睡眠の記録は一般的な健康管理を目的とした機能で、薬機法の規制対象外です。厚生労働省のガイドラインでは、個人の健康記録を保存、管理、表示するプログラムは医療機器の定義を満たさない典型的な事例として挙げられています。一方で、機能によっては医療機器として承認を受けているものもあります。機能ごとに確認してください。

センサーの精度が高ければ医療機器になりますか

なりません。ガイドラインでは、スポーツのトレーニング管理等について、疾病の診断や病態の把握、疾病の兆候の検出を目的としていないものは該当しないとされ、そこには「診断等に用いることが可能な情報を用いる場合を含む」と書かれています。分かれ目は精度ではなく使用目的です。

「医療機器ではありません」と書いてあれば信用してよいですか

その記載自体は判断の根拠になりません。ガイドラインの脚注では、そのような記載があっても、疾病の疑いを判断できるなどと医療機器との認識を与える広告や標ぼうをする製品は医療機器に該当するとされています。注記の有無ではなく、製品が何をできると書いているかを見てください。

ウェアラブルで医療機器として承認された例はありますか

あります。Apple Watchの心電図に関する機能は2020年9月4日に国内承認を取得し、日本では2021年1月22日から利用できるようになりました。一般的名称は「家庭用心電計プログラム」と「家庭用心拍数モニタプログラム」で、管理医療機器に分類されています。これらの家庭用の区分は2020年7月に新設されたものです。

睡眠スコアはどこまで信用できますか

各社が独自の計算で出した総合指標であり、他社の数値や医療機関の検査結果と直接比べられるものではありません。同じ機器の中で、平常時からどうずれているかを見る使い方が実際的です。睡眠に持続的な問題を感じる場合は、スコアではなく医療機関で相談してください。

血中酸素の測定機能は医療用に使えますか

製品と機能によって位置づけが異なります。健康管理を目的とした機能として搭載されている場合、疾病の診断や兆候の検出を目的としたものではありません。仕様表や本体の表示で、その機能が医療機器として承認・認証されているかを確認してください。判断に迷う場合は、医療機関で測定してもらうのが確実です。

記録したデータは病院で使えますか

参考情報として見せることはできます。ガイドラインでも、使用者が記録したデータを医療関係者、介助者、家族等と共有することは想定されています。ただし診断そのものは医療機関での検査に基づいて行われます。受診時に見せられるよう、書き出しや共有ができる形にしておくと役立ちます。

スマートリングとスマートウォッチで数値が違うのはなぜですか

装着位置とセンサーの構成が異なるためです。指と手首では血流の状態も異なります。どちらかが正しいというより、それぞれの機器の中での傾向を見るものだと考えてください。両方を併用する場合も、比較は同じ機器の履歴どうしで行うのが妥当です。

買い替えたら数値が変わりました。体が変わったのでしょうか

機器の推定方法が変われば数値も変わります。買い替え直後の変化は、機器の違いによるものと考えるのが自然です。新しい機器で数週間の記録を取り、その中での基準を作り直してください。

子どもや高齢の家族に使わせても大丈夫ですか

製品ごとに対象年齢や使用上の注意が定められています。またペースメーカーなど植込み型医療機器を使用している場合は、機器の説明書に従い、必要に応じて医療機関に確認してください。見守りを目的とする場合の考え方は見守り関連の記事で扱っています。

薬機法を含め、ガジェットに関わる制度を段階別に一覧にしたものがガジェットに関わる法律の地図 買う・使う・手放すの3段階で整理するです。

まとめ

ウェアラブル機器の数値には、一般的な健康管理を目的としたものと、医療機器として承認を受けたものがあります。分かれ目はセンサーの精度ではなく使用目的です。厚生労働省のガイドラインでは、個人の健康記録を保存、管理、表示するプログラムや、疾病の診断や兆候の検出を目的としないトレーニング管理のプログラムは、医療機器の定義を満たさない典型的な事例とされています。そこには「診断等に用いることが可能な情報を用いる場合を含む」と明記されています。一方で、Apple Watchの心電図に関する機能のように、家庭用心電計プログラムとして承認を受けた例もあります。1台の中で機能ごとに位置づけが分かれるため、製品名ではなく機能単位で確認してください。使う側の姿勢としては、絶対値より変化を見ること、測定条件を揃えること、そして数値と体調が食い違ったら体調を優先することの3つです。機器が何も警告しないことは、問題がないことの証明にはなりません。同じように「美容機器であって医療機器ではない」という位置づけが判断の軸になる例として、家庭用脱毛器の「永久脱毛ではなく抑毛・減毛が目的」という制度上の違いも参考になります。家庭用脱毛器の選び方で扱っています。

出典・参考情報

厚生労働省医薬・生活衛生局「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」(令和3年3月31日、令和5年3月31日一部改正)。医療機器に該当しない典型的な事例として、患者説明を目的とするプログラム、院内業務支援・メンテナンスを目的とするプログラム、使用者(患者や健康な人)が自らの医療・健康情報を閲覧等することを目的とするプログラム、生命及び健康に影響を与えるリスクが低いと考えられるプログラムの4類型を提示。個人の健康記録を保存、管理、表示するプログラムについて、医療機器等から取得したデータ(血糖値、血圧、心拍数、体重等)を使用者が記録し医療関係者・介助者・家族等と共有することを可能にするもの(経時的表示や統計処理をした数値の表示を含む)を例示。スポーツのトレーニング管理等について、競技力の向上、体力の向上等を目的として運動強度の設定や運動量の管理等に用いられ、疾病の診断や病態の把握、疾病の兆候の検出を目的としていないもの(診断等に用いることが可能な情報を用いる場合を含む)を例示。医療機器に該当しないプログラムの標ぼうの留意事項として「当該プログラムは、疾病の診断、治療又は予防に使用されることを目的としていない」または「当該プログラムは医療機器ではない」旨の記載、表示を行うことが望ましいとしたうえで、脚注においてそのような記載があることをもって医療機器ではないことの根拠とはならず、疾病の疑いを判断できるなどと医療機器との認識を与える広告・標ぼうをする製品は医療機器に該当すると記載。リスクの程度の判断が難しい場合に考慮する2点(結果の重要性に鑑みて疾病の治療・診断等にどの程度寄与するか/機能の障害等が生じた場合の生命及び健康への影響を含めた総合的なリスクの蓋然性)を提示/Apple Watchの心電図に関する機能の国内承認(2020年9月4日承認、2021年1月22日に日本で利用開始、一般的名称「家庭用心電計プログラム」および「家庭用心拍数モニタプログラム」、管理医療機器に分類。家庭用の区分は2020年7月に新設)/薬機法第2条第4項〜第7項、第68条(e-Gov法令検索)/PMDA医療機器基準等情報「パルスオキシメータ」/Apple「Apple Watchで血中酸素ウェルネスアプリを使う方法」/JEITA「パルスオキシメータの適正広告・表示ガイドライン」(令和4年2月3日)

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