スマート家電・生活家電

家庭用インターホン スマートドアホンの選び方

「インターホンを買い替えたいけれど、モニター付きの有線タイプとスマホ連携タイプ、結局どちらを選べばいいのか分からない」という相談は多い。結論から言うと、在宅時の応対を重視するなら室内モニター付きの有線タイプ、外出先での応対や不在時の記録を重視するならスマホ連携タイプ(スマートドアホン)が向いている。両者は排他的なものではなく、モニター付きでアプリ連携も備えた製品も多く出回っている。この記事では、モニター付き有線タイプとスマホ連携タイプの違いから、通信方式・録画機能・電源方式といった特徴の分解、賃貸住宅での設置可否まで、公開されている一般的な情報の範囲で整理する。

モニター付き有線タイプとスマホ連携タイプの違い

家庭用インターホンは大きく分けて二つの系統がある。ひとつは玄関の子機と室内の親機(モニター)を配線でつなぐ従来型のモニター付き有線タイプで、来客があると室内モニターが鳴動し、映像を見ながら応対する仕組みになっている。もうひとつが、この記事で扱うスマホ連携タイプ(スマートドアホン)で、来訪の検知結果をインターネット経由でスマートフォンに転送し、外出先からでも応対できる点が特徴になる。

近年は両者が融合し、室内モニターを備えつつ専用アプリでの外出先応対にも対応するハイブリッド型が主流になりつつある。モニターを持たずスマートフォンのみで応対する製品もあり、設置スペースを取らない点がメリットになる。どちらのタイプが向くかは、在宅時間の長さや宅配便の受け取り頻度といった生活スタイル次第である。

特徴の分解(1) 通信方式

スマホ連携タイプの多くは、家庭内のWi-Fiルーターを経由してインターネットに接続し、来訪の通知や映像データをクラウドサーバー経由でスマートフォンに送る仕組みを採用している。対応する周波数帯は製品によって異なり、2.4GHz帯のみに対応するものと、2.4GHz帯・5GHz帯の両方に対応するものがある。玄関先は屋内でも電波が届きにくい場所になりやすいため、購入前にルーターとの設置距離や障害物の有無を確認しておくと接続トラブルを避けやすい。

また、無線通信機能を内蔵する機器である以上、電波法にもとづく技術基準適合証明(いわゆる技適マーク)の表示があるかどうかも確認しておきたい項目のひとつになる。技適マークの有無は、Wi-Fi Allianceの認証ロゴとは別の制度で、日本国内で無線機器を合法的に使用するための表示である点は覚えておくとよい。海外通販サイトなどで購入する製品の場合、この表示がない、あるいは確認できないケースもあるため注意が必要となる。

海外製・並行輸入品のスマートドアホンを検討する場合は、パッケージや本体、あるいはメーカーの公式サイトに技適マークの記載があるかを事前に確認しておくことが望ましい。表示が確認できない製品の使用は、電波法上のリスクを伴う可能性がある。

特徴の分解(2) 録画機能

録画機能の有無、そして録画の方式は製品によって差が大きい部分になる。主な検知・記録の仕組みは次の三つに整理できる。

機能 内容
呼び出しボタン起点の記録 来訪者がボタンを押した際の映像・通知を記録する、もっとも基本的な機能
動体検知通知 人の動きをセンサーやカメラで感知し、ボタンが押される前の段階でも自動的に通知・記録する
常時録画 一定時間ごと、あるいは常時玄関先を録画し続ける機能。対応製品は限られる

動体検知通知は、宅配便の置き配や不審者の接近など、呼び出しボタンが押されない場面での状況把握に役立つ。ただし感度が高すぎると、通行人や小動物の動きにも反応して通知が頻発することがあるため、多くの製品では検知範囲や感度を調整する設定が用意されている。導入直後は感度を控えめに設定し、様子を見ながら調整していくと使いやすい。

特徴の分解(3) 電源方式

スマートドアホンは電源の取り方によって大きく二つに分かれる。既存の配線を利用する配線式と、電池で駆動する電池式だ。

方式 特徴
配線式 電池切れの心配がないが、設置に電気工事が必要になる場合がある
電池式 工事不要で設置しやすいが、定期的な電池交換・充電が必要

配線式は電池切れの心配がない一方で、既存インターホン配線の電圧・仕様が対応機種と合わない場合、電気工事士による工事が必要になることがある。電池式は工事不要で設置しやすいものの、電池残量の管理を怠ると肝心なときに通知が届かないという事態も起こりうる。停電時の挙動も方式によって異なり、配線式は停電中に使用できなくなる製品が多い一方、電池式は停電の影響を受けにくいという違いがある。防犯目的で導入する場合は、この点も比較材料に加えておきたい。

タイプ別・比較表

ここまでの内容を踏まえ、モニター付き有線タイプとスマホ連携タイプの主な違いを整理する。

項目 モニター付き有線タイプ スマホ連携タイプ
応対できる場所 基本的に室内のみ 外出先からも応対可能
不在時の記録 製品によっては非対応 録画・通知機能を持つ製品が多い
インターネット環境 不要な製品が多い Wi-Fi環境が必要
初期費用・月額費用 本体価格のみのことが多い クラウド保存を選ぶと月額費用が発生する場合がある

スマホ連携タイプは利便性が高い一方、Wi-Fi環境の整備やクラウド保存の月額費用など、モニター付き有線タイプにはなかった検討事項が増える点は押さえておきたい。

録画データの保存方式による分類

録画機能を持つ製品は、保存先によっても選択肢が分かれる。

保存方式 特徴
本体内蔵メモリーカード 月額費用がかからないが、上書きによる保存期間の制限がある
クラウド保存 本体が壊れても映像を確認できるが、月額費用が発生する場合が多い

本体内のメモリーカードに保存する方式は、容量に応じて古いデータから自動的に上書きされていく仕組みが一般的で、月額費用がかからない反面、長期間の映像を保存し続けることはできない。クラウド保存はインターネット経由でサーバーに映像を送るため、玄関先の機器が破損・盗難にあった場合でも過去の映像を確認できる利点があるが、多くのサービスで月額のサブスクリプション費用が発生する。契約プランによって保存日数や閲覧できる映像の範囲が異なるため、必要な保存期間を踏まえて選びたい。

既存インターホンとの互換性

状況 対応のしやすさ
配線式インターホンからの交換 既存配線を流用できる製品であれば比較的スムーズ
集合住宅の共用インターホンシステム 建物全体のシステムとの互換性確認が必要

集合住宅では、エントランスの共用インターホンと連動したシステムが導入されていることが多く、個別の部屋のドアホンだけを独自に交換できない場合がある。導入前に建物全体のシステムとの互換性、管理会社への確認要否を調べておきたい。

選び方・実践的なコツ

賃貸住宅での設置可否

賃貸住宅にスマートドアホンを設置する場合、まず確認すべきは原状回復の観点である。国土交通省がまとめている原状回復をめぐるトラブルとガイドラインでは、借主が付け加えた設備や、それに伴う損耗の扱いについての一般的な考え方が示されている。壁への穴あけや配線の変更を伴う工事は、退去時の原状回復費用に関わる可能性があるため、設置前に大家や管理会社への確認を行っておくことが望ましい。

賃貸住宅では、両面テープや既存の配線を利用して取り付けるタイプの電池式スマートドアホンを選ぶと、原状回復のハードルを下げやすい。取り付け前に必ず管理会社・大家の許可を確認し、退去時の取り外し方法もあわせて確認しておくと安心である。

工事の要否

電気工事が必要になるかどうかは、既存インターホンの配線方式と、導入したい製品の対応方式によって決まる。多くのメーカーは、購入前に確認できるチェックリストや対応機種の一覧を公式サイトで公開しているため、購入前に自宅の既存インターホンの型番を控えておき、対応機種を確認する手順を踏むと失敗が少ない。電気工事士の資格が必要な作業を伴う場合は、無資格での配線工事は避け、専門業者に依頼する必要がある。

スマートロック・防犯カメラとの違いと連携

一部の上位機種は、スマートドアホンとスマートロックを連携させ、来訪者を確認したうえでそのままアプリから解錠できる機能を備えている。家族の帰宅時に鍵を探す手間を省いたり、外出中の家族に一時的に来客対応と解錠を任せたりといった使い方ができる。スマートロックそのものの種類や選び方については別の記事で扱っているので、玄関ドアの鍵まで含めて検討したい場合はあわせて参照してほしい。ただし遠隔解錠機能は防犯上のリスクにもなり得るため、誤操作や不正アクセスを防ぐための認証設定をしっかり確認しておくことが重要である。

また、室内外に設置する防犯カメラとも比較されやすい。スマートドアホンは玄関先の来訪者応対に特化する一方、防犯カメラは駐車場や庭など敷地全体の見守りに向いており、目的と設置場所が異なる。両方を組み合わせて導入する家庭も増えており、防犯カメラの選び方は別記事で紹介している。

プライバシーへの配慮

玄関先を映すカメラは、来訪者だけでなく通行人や隣家の一部が映り込むこともある。近隣とのトラブルを避けるためにも、撮影範囲を必要な範囲に絞る、マスキング機能で映したくない範囲を除外するといった設定を行うことが望ましいとされている。録画データには近隣住民が映り込む可能性があることを念頭に置き、無関係な第三者への映像の共有は避けるべきである。設置前に近隣への配慮についても一度考慮しておくと、後々のトラブルを防ぎやすくなる。

よくある質問

賃貸住宅でも設置できますか。

配線工事を伴わない電池式のドアホンであれば比較的導入しやすいが、原状回復の観点から取り付け方法について大家や管理会社に確認しておくと安心である。

Wi-Fi環境がないと使えませんか。

スマホ連携機能を使うにはWi-Fi環境が必要になる。Wi-Fi環境がない場合は、従来型のシンプルなドアホン機能のみ使える製品を選ぶことになる。

録画データはどれくらいの期間保存されますか。

保存方式や契約プランによって異なる。メモリーカード式は容量に応じて古いデータから上書きされ、クラウド保存は契約プランごとに保存期間が設定されていることが一般的である。具体的な日数は製品ごとに非公表・可変のことも多く、購入前に公式情報で確認したい。

集合住宅の共用インターホンと連携できますか。

建物全体のシステムに依存するため、個別に交換できない場合がある。事前に管理会社への確認が必要になる。

停電時や電池切れの際はどうなりますか。

配線式は停電時に使用できなくなる場合があり、電池式は電池切れで通知機能が停止する。定期的な電池残量の確認が重要である。

スマホを機種変更した場合、設定はどうなりますか。

多くの製品はアプリにログインし直すことで新しいスマホに設定を引き継げるが、機種やアプリによって手順が異なるため、事前に取扱説明書で確認しておくと安心である。

無線機器としての安全性はどう確認すればよいですか。

国内で無線通信機能を持つ機器を使用する場合、電波法にもとづく技適マークの表示があるかどうかが一つの目安になる。購入前にパッケージや本体の表示を確認するとよい。

モニター付き有線タイプからスマホ連携タイプへの買い替えは難しいですか。

既存配線を流用できる後継機種であれば、電気工事を伴わずに交換できる場合がある。メーカーが異なると配線規格が合わないこともあるため、購入前に対応機種の確認が必要である。

スマートロックとの連携は必須ですか。

必須ではない。スマートドアホン単体でも来訪通知や録画は利用できるため、解錠機能が必要かどうかは家族構成や使い方に応じて検討すれば十分である。

まとめ

スマートドアホンは、外出先での応対や不在時の記録機能によって、モニター付き有線タイプの従来型インターホンにはなかった利便性をもたらす。一方で、電源方式や集合住宅での設置制約、録画データの保存方式、Wi-Fi環境の要否など、導入前に確認しておくべき項目も少なくない。賃貸住宅では原状回復の観点から取り付け方法を事前に確認し、電気工事が必要かどうかは既存配線と対応機種を照らし合わせて判断することが基本になる。プライバシーへの配慮も踏まえたうえで、住まいの条件に合った電源方式と保存方式を選ぶことが、後悔のない導入につながる。

住宅の防犯全体での位置づけと、統計から見た優先順位は住宅の防犯 統計が示す侵入手口と機器で対策できる範囲にまとめています。

出典・参考情報

電波法および総務省が定める技術基準適合証明・工事設計認証(技適マーク)。日本国内で無線機器を合法的に使用するための表示であり、Wi-Fi Allianceの認証ロゴとは別の制度です/国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」。借主が付け加えた設備や、それに伴う損耗の扱いについての一般的な考え方が示されています。賃貸物件への設置は、原状回復の可否と管理者の許可の有無を事前に確認してください/個人情報の保護に関する法律。来訪者の映像を記録する機器であるため、撮影範囲と保存方法、共有範囲の設計が必要になります/各サービスの月額料金、録画の保存期間、クラウド保存の可否は事業者ごとに異なり随時変更されます/既存のインターホン配線を利用できるかは住宅の設備によって異なり、電気工事が必要になる場合があります。

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アイキャッチ画像: 玄関に取り付けたスマートドアホン(「Ring video doorbell.jpg」 作者 Ring、CC BY-SA 4.0、Wikimedia Commonsより。16:9にトリミング)

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