スマートフォンのバッテリーを長持ちさせる方法は、ネット上に大量にあります。問題は、そのほとんどが根拠を示していないことです。0%まで使い切るべきか、100%のまま放置してよいか、充電しながら使うと劣化するのか。この記事では、メーカーや公的機関が実際に公表している内容と、そうでない話を分けて整理します。確実に言えることは多くありませんが、その少数が効きます。
この記事でわかること
メーカーと公的機関が公表している内容だけを抜き出した「確実に言えること」/よく言われる7つの説がどこまで裏付けられるか/OSが用意しているバッテリー保護機能の意味/今日からやることの優先順位/交換や買い替えを判断する目安/異常のサインと対応
確実に言えること
公表されている情報のうち、根拠がはっきりしているものは次の3点です。
| やること | 根拠 |
|---|---|
| 高温を避ける | Appleは、35°Cを超える周囲温度にデバイスをさらさないことが特に重要だとしています。iPhoneなどは0°C〜35°C、MacBookは10°C〜35°Cの環境下で最も良く動作するとし、最適な範囲は16°C〜22°Cと示しています |
| 熱がこもる状態で充電しない | Appleは、特定の種類のケースに入れたままデバイスを充電すると、過度の熱が発生しバッテリー容量に影響を及ぼす可能性があるとしています |
| 長期保管は50%前後で | Appleは、長期保管の際にバッテリーをフルに充電したり使い切ったりせず、50%前後充電した状態にするとしています |
あわせて、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、リチウムイオン電池を搭載した製品について、高温になる場所で使用・保管しないこと、強い衝撃や圧力を加えないこと、異常を感じたら使用を中止することを挙げています。
消防庁の調査では、リチウムイオン電池等から出火した火災は令和7年(1〜12月)に1,297件あり、令和6年の982件、令和5年の739件、令和4年の601件から年々増えています。製品別ではモバイルバッテリーが482件で最も多く、携帯電話機が93件でした。出火原因の傾向は製品によって異なり、モバイルバッテリーは外部衝撃・高温下での使用、スマートフォン等の携帯電話機は外部衝撃・分解が多いとされています。スマホ本体については、落下などの衝撃と、自分で分解することに気をつける必要があります。件数はスマホ本体より周辺の電池製品のほうが多く、上の3点で熱を避けることに加えて、強い衝撃を与えない、分解しないことが対策になります。詳しい統計はリチウムイオン電池の火災を防ぐ 統計で見る出火原因と正しい捨て方で扱っています。
3つとも、温度と物理的な扱いの話です。充電の回数や残量の管理より、まず熱です。夏の車内、直射日光の当たる窓際、布団の中、厚いケースを付けたままの急速充電。これらが実際に効いてくる場面になります。
膨らんでいる、熱を持って冷めない、煙が出る、異臭がする、手が触れられないほど熱い。これらの症状があるバッテリーは、その時点で使用を中止してください。JEITAはパソコンやタブレット端末について、煙が出たり異臭がしたり、手で触れられないほど熱いといった症状があれば直ちに電源を切り、充電中なら電源プラグを抜くよう示しています。そのまま使うと火災、やけど、感電などの危険性があるためです。スマホに向けた案内ではありませんが、同じ考え方で対応してください。膨らんだ電池を自分で取り出そうとしないでください。
よく言われる7つの説を検証する
ここからが本題です。よく見かける話が、どこまで裏付けられるかを分けて示します。

| よく言われること | 裏付けの強さ | 実際のところ |
|---|---|---|
| 0%まで使い切ってから充電すべき | 裏付けなし | これはニッケル系の電池で言われていた「メモリー効果」の話です。Google Pixelのヘルプは、残量がゼロになるまで使い切る、ゼロからフル充電するといった、残量を気にしながらの充電は必要ないとしています。Appleも、完全に使い切った状態で保管すると「重放電」という状態になり、充電を保てなくなる可能性があるとしています |
| 100%のまま長時間放置すると劣化する | 間接的な裏付けあり | Appleは長期保管の際に50%前後にするとしています。またOSに満充電での滞留を抑える機能が用意されていること自体が、この考え方の裏付けになります |
| 充電しながら使うと劣化する | 条件つき | 問題は充電と使用の同時進行そのものより、そのときに生じる熱です。負荷の高い作業をしながら充電すれば温度が上がります。ケースを外す、涼しい場所に置くといった対応が実際的です |
| 急速充電は劣化を早める | 条件つき | 同様に熱の問題です。端末側にも温度に応じて充電を抑える仕組みがあり、Appleは推奨温度を超えるとソフトウェアが80%以上の充電を制限する場合があるとしています。急ぐ必要がない場面では通常の充電を選ぶ、という程度の判断で足ります |
| 純正以外の充電器は劣化を早める | 製品による | 規格に適合し、電気用品安全法に基づくPSEマークの表示がある製品であれば、それ自体が問題になるものではありません。確認すべきは純正かどうかではなく、規格と表示です |
| 使わなければ劣化しない | 誤り | リチウムイオン電池は使わなくても時間とともに劣化します。だからこそ長期保管の残量に目安が示されています |
| アプリを終了させると電池が持つ | 裏付けなし | OSがバックグラウンドの動作を管理しています。手動で終了させ続けることが電池持ちの改善につながるという公表情報は見当たりません |
共通しているのは、劣化の話の多くが実は熱の話だということです。充電しながら使う、急速充電を使う、これらが問題になるのは温度が上がるからです。同じ行為でも、涼しい場所で行えば影響は変わります。
OSが用意している機能
近年のスマートフォンには、バッテリーの劣化を抑えるための機能が組み込まれています。名称と挙動はOSと機種によって異なりますが、考え方は共通しています。
| 機能の種類 | 何をするか | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 充電の最適化 | 使用のパターンを学習し、満充電に達するタイミングを実際に使い始める時間の直前に合わせる | 設定のバッテリー関連の項目 |
| 充電上限の設定 | 設定した割合で充電を止める。選べる上限はメーカーと機種で異なる | 同上 |
| 低電力モード | バックグラウンドの動作や画面の更新頻度を抑える | 同上 |
| バッテリーの状態表示 | 最大容量や充電回数を表示する | 設定のバッテリー関連の項目。機種によって表示の有無が異なる |
充電上限の機能を、公式の案内で確認できた範囲で3社分並べると次のとおりです。
| メーカー | 選べる上限 | 公式の案内にある条件 |
|---|---|---|
| Apple(iPhone) | 80〜100%を5%刻み | iPhone 15モデル以降。iPhone 14モデル以前は「バッテリー充電の最適化」のオン/オフを切り替える |
| Samsung(Galaxy) | 80/85/90/95% | 「バッテリーを保護」の最大モード。上限を選ぶ機能はOne UI 7.0から |
| Google Pixel | 80% | 「充電の最適化」の「80% に制限」。Google Pixel 6a以降 |
Pixelはこの設定をオンにしていても、バッテリー容量の測定値を正確に保つため10回ごとにフル充電するとしています。
これらの機能が用意されていること自体が、満充電での滞留と高温を避けるという考え方の裏付けになっています。個別の設定を自分で管理するより、機能をオンにしておくほうが確実です。機能名と操作手順はOSのバージョンごとに変わるため、実際の設定は端末の画面で確認してください。
Appleはあわせて、デバイスが最新バージョンのソフトウェアを搭載していることを常に確認するよう示しています。更新には電力管理の改善が含まれることがあります。
今日からやることの順番
| 順番 | やること | 効果の性質 |
|---|---|---|
| 1 | 夏の車内、直射日光の当たる場所、布団の中に置かない | 最も効く。高温は回復しない影響を残す |
| 2 | 充電中に熱がこもらないようにする。厚いケースは外す | 同上。充電中は発熱しやすい |
| 3 | OSの充電最適化や充電上限の機能をオンにする | 設定するだけ。以後は自動 |
| 4 | ソフトウェアを最新にしておく | 電力管理の改善が含まれることがある |
| 5 | 長期間使わない端末は50%前後にして保管する | 予備機や下取り待ちの端末に効く |
| 6 | 規格に適合しPSEマークの表示がある充電器を使う | 安全面が主。劣化対策としては副次的 |
| 7 | 画面の明るさや通信の設定を見直す | 電池持ちの改善。劣化そのものは遅くならない |
1と2で挙げた高温は、日常のなかで意外と起きています。夏場のダッシュボード、屋外での長時間のナビ利用、寝るときに布団の中で充電すること。いずれも温度が上がりやすい場面です。ナビとして車に固定して使う場合は、直射日光が当たらない位置を選んでください。取り付け位置の考え方は車載スマホホルダーの選び方 取り付けタイプ別の特徴で扱っています。発熱そのものへの対処はスマホの発熱対策グッズ、種類と効果の違いを知るにまとめました。
交換か買い替えかの判断
バッテリーは消耗品です。どれだけ丁寧に扱っても、いずれ容量は落ちます。目安として、Appleは、iPhone 14モデル以前のバッテリーはフル充電サイクルを500回、iPhone 15モデルのバッテリーは1,000回繰り返した後も、理想的な条件下で本来の蓄電容量の80%を維持するよう設計されているとしています。実際の容量は使い方と充電方法によって変わります。問題は、容量が落ちたときに交換するか本体を買い替えるかです。
| 判断の材料 | 見るところ |
|---|---|
| バッテリーの状態 | 設定画面の最大容量の表示。表示がない機種は、1日の持ち方の変化で判断する |
| 交換の費用 | 正規の窓口とそれ以外で金額と条件が変わる。保証の扱いも確認する |
| OSのサポート期間 | 残り期間が短ければ、交換しても使える期間が限られる |
| 他の不具合の有無 | 画面や端子にも問題があるなら、まとめて買い替えるほうが合理的な場合がある |
| 下取りや買取の相場 | バッテリーの状態は査定に影響する。交換前と交換後で比べる |
非正規の窓口で修理すると、メーカー保証が無効になるのが一般的です。また電波を発する機器の内部部品の交換については、電波法に基づく技術基準への適合という観点があります。電波法には登録修理業者の制度があり、登録修理業者は登録に係る特別特定無線設備を修理する場合、修理方法書に従って修理と修理の確認を行うことになっています。ただし登録は事業者が任意で受けるもので、対象も特別特定無線設備に限られます。登録の有無は確認材料のひとつと考えてください。修理と買い替えの判断はスマホの画面が割れたら修理か買い替えか、判断基準、査定への影響はスマホの下取り・買取相場はどう決まるのかで扱っています。
よくある失敗
0%まで使い切ってから充電する
これはニッケル系の電池で言われていた話です。Google Pixelのヘルプは、残量がゼロになるまで使い切る必要はないとしています。Appleも、使い切った状態で保管すると「重放電」になり、充電を保てなくなる可能性があるとしています。
厚いケースを付けたまま急速充電する
Appleは、特定の種類のケースに入れたまま充電すると過度の熱が発生し、バッテリー容量に影響を及ぼす可能性があるとしています。充電中は外してください。
夏の車内に置いたままにする
Appleは35°Cを超える周囲温度にさらさないことが特に重要だとしています。夏の車内はこれを大きく超えます。回復しない影響が残る可能性があります。
布団の中で充電しながら寝る
熱がこもります。充電中は発熱しやすいため、放熱できる場所に置いてください。
アプリを毎回終了させる
OSがバックグラウンドの動作を管理しています。手動で終了させ続けることが電池持ちの改善につながるという公表情報は見当たりません。
膨らんだ電池を自分で取り出す
発火や破裂の危険があります。使用を中止して、メーカーや販売店、正規の窓口に相談してください。
使わない予備機を満充電のまま何年も置く
使わなくても劣化します。長期保管は50%前後の残量にするとされています。
よくある質問
0%まで使い切ってから充電したほうがよいですか
その必要はありません。これはニッケル系の電池で言われていた話です。Google Pixelのヘルプは、残量がゼロになるまで使い切ったり、ゼロからフル充電したりと、残量を気にしながら充電する必要はないとしています。Appleは、使い切った状態で保管すると「重放電」という状態になり、充電を保てなくなる可能性があるとしています。日常的には、使いたいときに充電して差し支えありません。
100%まで充電すると劣化しますか
満充電の状態で長時間放置することを避ける、という考え方は裏付けがあります。Appleは長期保管の際に50%前後の残量にするとしています。またOSに充電を最適化する機能や充電上限を設定する機能が用意されていること自体が、この考え方に沿ったものです。日常の使用では、これらの機能をオンにしておけば自動的に管理されます。
充電しながらゲームをすると劣化しますか
問題は充電と使用の同時進行そのものより、そのときに生じる熱です。負荷の高い作業をしながら充電すれば温度が上がります。ケースを外す、涼しい場所に置く、直射日光を避けるといった対応で影響を抑えられます。端末が熱くなったら、いったん充電を止めて冷ましてください。
急速充電は避けるべきですか
これも熱の問題です。端末側にも温度に応じて充電を抑える仕組みがあり、Appleは推奨温度を超えるとソフトウェアが80%以上の充電を制限する場合があるとしています。急ぐ必要がない場面では通常の充電を選ぶ、という程度の判断で足ります。急速充電そのものを避けなければならないという公表情報は見当たりません。
純正以外の充電器を使っても大丈夫ですか
規格に適合し、電気用品安全法に基づくPSEマークの表示がある製品であれば、それ自体が問題になるものではありません。確認すべきは純正かどうかではなく、規格の適合と表示の有無です。規格の見方は当サイトのUSB充電器の記事で扱っています。
バッテリーの最大容量はどこで確認できますか
設定のバッテリー関連の項目に表示される機種があります。表示のない機種では、1日の持ち方の変化や、残量が急に落ちるようになったかで判断することになります。中古端末を買うときの確認項目でもあります。
どのくらいで交換すべきですか
一律の基準はありません。判断の材料は、バッテリーの状態表示、交換費用、OSのサポート期間の残り、他の不具合の有無、下取りや買取の相場です。サポート期間が短ければ、交換しても使える期間が限られます。
非正規の窓口で交換しても問題ありませんか
費用は抑えられることが多い一方、メーカー保証が無効になるのが一般的です。また電波を発する機器の内部部品の交換については、電波法に基づく技術基準への適合という観点があります。電波法の登録修理業者は、登録に係る特別特定無線設備を修理方法書に従って修理し、修理の確認を行います。登録は任意で対象も限られますが、登録の有無は確認材料のひとつになります。
バッテリーが膨らんできました
その時点で使用を中止してください。自分で取り出そうとしないでください。発火や破裂の危険があります。メーカーや販売店、正規の窓口に相談してください。JEITAはパソコンやタブレット端末について、煙が出たり異臭がしたり、手で触れられないほど熱いといった症状があれば直ちに電源を切り、充電中なら電源プラグを抜くよう示しています。スマホでも同じ考え方で対応してください。
使っていない予備の端末はどう保管すればよいですか
Appleは、長期保管の際にバッテリーをフルに充電したり使い切ったりせず、50%前後充電した状態にするとしています。高温になる場所を避け、時々残量を確認してください。リチウムイオン電池は使わなくても劣化します。
電池持ちが悪いのは劣化のせいですか
必ずしもそうとは限りません。画面の明るさ、通信の設定、位置情報を使うアプリ、OSの更新直後の再構築処理など、劣化以外の要因でも持ちは変わります。設定を見直しても改善しない、残量が急に落ちる、といった状態であれば劣化を疑う段階です。
まとめ
スマートフォンのバッテリーについて、公表情報から確実に言えることは多くありません。高温を避けること、熱がこもる状態で充電しないこと、長期保管は50%前後にすること。この3つです。Appleは35°Cを超える周囲温度にさらさないことが特に重要だとし、特定の種類のケースに入れたまま充電すると過度の熱が発生してバッテリー容量に影響を及ぼす可能性があるとしています。よく言われる「0%まで使い切る」はニッケル系の電池の話で、Google Pixelのヘルプは残量を気にしながら充電する必要はないとしています。「充電しながら使うと劣化する」「急速充電は劣化を早める」も、実際には熱の問題です。同じ行為でも涼しい場所で行えば影響は変わります。日常でやることは、夏の車内や布団の中に置かない、充電中は厚いケースを外す、OSの充電最適化や充電上限の機能をオンにする、この3つで足ります。そして膨らみや異常な発熱があれば、その時点で使用を中止してください。
出典・参考情報
Apple「バッテリーの性能を最大限に引き出す方法」。iPhone・iPad・iPod・Apple Watchは0°C〜35°C、MacBookは10°C〜35°Cの環境下で最も良く動作し、最適な範囲は16°C〜22°Cであるとし、35°Cを超える周囲温度にデバイスをさらさないことが特に重要であるとしています。特定の種類のケースに入れたままデバイスを充電すると過度の熱が発生し、バッテリー容量に影響を及ぼす可能性があること。長期保管の際はバッテリーをフルに充電したり使い切ったりせず50%前後充電した状態にすること。デバイスが最新バージョンのソフトウェアを搭載していることを常に確認すること/消防庁「リチウムイオン電池等から出火した火災の調査結果の公表(令和7年)」(令和8年3月26日。令和7年の火災件数1,297件、モバイルバッテリー482件、携帯電話機93件)/独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)が公表するリチウムイオン電池を搭載した製品の事故情報および注意喚起。高温になる場所で使用・保管しないこと、強い衝撃や圧力を加えないこと、異常を感じたら使用を中止すること/一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)がパソコンやタブレット端末について示す異常時の対応。煙が出たり異臭がする、手が触れられないほど熱い、画面が映らない、本体にさわるとビリビリと電気を感じる、異常な音がするといった場合は、直ちに電源スイッチを切りコンセントから電源プラグを抜くこと。火災、やけど、感電の危険性があること/電気用品安全法に基づくPSEマークの表示制度/電波法および総務省の登録修理業者制度/各OSのバッテリー保護機能(充電の最適化、充電上限の設定、低電力モード、バッテリーの状態表示)の名称と挙動は、OSおよび機種、バージョンごとに異なり随時更新されます。実際の設定は端末の画面と提供元の公式な案内を確認してください/本記事で「裏付けなし」「条件つき」と記した項目は、公表情報を確認できた範囲での判断であり、将来的に新たな知見が示される可能性があります。
