セキュリティ・通信

ガジェットの認証マーク 技適とPSEの意味と表示がない製品のリスク

海外の通販サイトで安いガジェットを見つけたとき、確認すべき表示が2つあります。技適マークとPSEマークです。どちらも「あれば安心」という程度の話ではなく、表示のない製品は使い方や売り方によって法令に触れる可能性があります。この記事では2つのマークが何を示しているのか、対象になる機器は何か、ない製品を使うとどうなるのかを整理します。あわせて、技適のない機器を合法的に使える特例制度と、CEマークなど海外の認証マークの扱いについても取り上げます。

この記事でわかること

技適マークとPSEマークがそれぞれ何を保証しているか/対象になる機器の範囲/表示がない製品を使った場合の罰則/技適のない機器を届出で使える特例制度/CEマークなど海外の認証は日本で通用するのか

技適マーク(電波法)

技適マークは、その無線機が日本の電波法の技術基準に適合していることを示すものです。マークが付く根拠になる手続きは、技術基準適合証明、工事設計認証、技術基準適合自己確認の3つです。自己確認は、混信などの妨害を与えるおそれの少ない特別特定無線設備について、製造業者や輸入業者が自ら技術基準への適合性を確かめる仕組みです。

対象になる機器

対象 例
Wi-Fiを使う機器 ルーター、パソコン、スマートフォン、ネットワークカメラ、スマート家電
Bluetoothを使う機器 イヤホン、スピーカー、マウス、キーボード、スマートウォッチ、GPSタグ
携帯電話網を使う機器 スマートフォン、モバイルルーター、通信機能付きの見守り機器
その他の無線機器 ラジコン、トランシーバー、ワイヤレスマイク

電波を出す機器はほぼすべて対象になると考えてください。近年のガジェットはWi-FiかBluetoothのどちらかを備えているものが大半なので、実質的にほとんどの製品が該当します。

表示がない機器を使うとどうなるか

技適マークのない無線機を日本国内で使用すると電波法違反になる場合があり、違反した場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象とされています。さらに、公共性の高い無線局に妨害を与えた場合は5年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金の対象になるとされています。

罰則の対象として問題になるのは、表示のない無線機を国内で使う行為です。総務省は、技適マークの付いていない無線機について「購入・使用は十分ご注意下さい」と呼びかけています。海外の通販サイトで買えたとしても、「買えたから使ってよい」わけではありません。

技適のない機器を合法的に使う方法

2019年11月に、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度が新設されました。届出を行うことで、技適のない機器でも一定の条件下で使用できます。

項目 内容
使用できる期間 届出から180日間(期間内に廃止し、廃止の届出を行う)
目的 実験、試験、調査の目的に限られる
届出の方法 総務省のWeb届出システムから行う
手数料・審査 届出制で、事前の審査や許可・承認はない。手数料の有無は総務省の制度ページでは確認できなかった
届出できる人 法人・個人のいずれも可能
台数 同じ目的で途中から機器を増やすことはできず、必要な台数を届出の時点でそろえる。同じ目的・規格での届出は一回限り(故障時の交換は変更届出で可能)

ただし目的が限定されている点は理解しておいてください。日常的に使い続けるための制度ではありません。海外製品を試してみたい、開発や検証で使いたいという場面のための仕組みです。

確認方法

確認する場所 内容
本体・パッケージの表示 技適マークと番号が印字されている
画面上の表示(電子表示) スマートフォンなどでは設定画面の中に表示される製品がある
総務省の検索システム 技適番号から証明の内容を検索できる
販売ページの記載 国内向けに販売されている製品には記載があるのが一般的

国内の正規流通品であれば、まず問題ありません。確認が必要になるのは、海外の通販サイトから取り寄せる場合、海外の店舗で購入した場合、個人輸入の代行を使う場合です。

PSEマーク(電気用品安全法)

PSEマークは、その製品が電気用品安全法に基づく手続きを経ていることを示すものです。技適が電波を対象とするのに対し、こちらは電気製品の安全を対象とします。

2種類のマーク

PSEマークの菱形と丸形の区分、技適マークを確かめる4つの場所を示した図解
図 PSEマークの2種類と技適の確かめ方(本文の表をもとにガジェット広場作成。マークの形は模式図)
種類 形 対象
特定電気用品 菱形 危険や障害の発生するおそれが多い電気用品。電源コード、ACアダプタなど
特定電気用品以外の電気用品 丸形 それ以外の電気用品。モバイルバッテリー、リチウムイオン蓄電池など

形が違うのは、求められる手続きの厳しさが違うためです。菱形のものは、登録検査機関による適合性検査を受ける必要があります。

モバイルバッテリーは2018年から対象

モバイルバッテリーは2018年(平成30年)2月1日から電気用品安全法の規制対象となり、2019年1月31日までの1年間の経過措置期間も終わっています。製造・輸入・販売の事業を行う者は、PSEマーク(丸形)の表示がないモバイルバッテリーを販売できません。流通在庫も含めて対象です。電気用品安全法第27条が禁じているのは、表示のない電気用品を販売することと、販売の目的で陳列することです。製造や輸入の事業者には、これとは別に事業の届出や技術基準への適合確認、検査記録の作成といった義務があります。違反して販売・陳列した者は1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、またはその両方の対象とされ、法人の業務として行われた場合は法人にも100万円以下の罰金が科されるとされています。なお同法は、外国にいる者が海外から日本国内に持ち込ませて一般消費者に引き取らせる行為も「輸入」に含むと定めています(第2条第5項)。

この規制の背景には、モバイルバッテリーからの発火事故があります。消防庁の調査では、令和7年(1〜12月)にリチウムイオン電池等から出火した火災は1,297件で、令和6年の982件から増えました。製品別ではモバイルバッテリーが482件と最も多く、携帯電話機の93件、電動工具の86件が続きます。消防庁はモバイルバッテリーの出火原因として、外部からの衝撃や高温下での使用が上位だと公表しています。詳しくはリチウムイオン電池の火災を防ぐ 統計で見る出火原因と正しい捨て方で扱っています。

技適とPSEの違い

項目 技適マーク PSEマーク
根拠となる法律 電波法 電気用品安全法
守る対象 電波の混信・妨害の防止 感電・火災など電気製品の安全
規制されること 表示のない機器の「使用」 表示のない製品の「販売」と販売目的の「陳列」(製造・輸入の事業者には届出などの義務もある)
罰則を受ける人 使用者 表示のない製品を販売・陳列した事業者
対象の例 Wi-Fi・Bluetooth機器 充電器、モバイルバッテリー、電源コード

この違いは実務上とても重要です。技適は使う人が責任を問われ、PSEは売る人が責任を問われます。だからこそ、海外から個人で取り寄せた無線機器は自分の問題になり、PSEマークのない充電器を売っている店があればその店の問題になります。

海外の認証マークは日本で通用するのか

マーク 意味 日本での効力
CEマーク 欧州経済領域の基準への適合を示す 日本の技適・PSEの代わりにはならない
FCC(米国) 米国連邦通信委員会の基準への適合 日本の技適の代わりにはならない
UL(米国) 米国の安全規格への適合 日本のPSEの代わりにはならない
技適マーク 日本の電波法の技術基準への適合 日本国内で無線機器を使うために必要
PSEマーク 日本の電気用品安全法に基づく手続き 日本国内で販売するために必要

販売ページに「CE認証取得」「FCC認証済み」と書かれていても、日本で使うための要件を満たしていることにはなりません。この点は誤解されやすいので、表示の種類まで確認してください。経済産業省のFAQでも、UL基準などに合格したからといって電気用品安全法の技術基準に適合しているとは言えないとされています。一方、技適未取得機器の特例制度では、FCC IDやCEマークといった外国の法令による確認の表示が、届出者が技術基準への適合を確かめる材料として挙げられています。その場合も、表示に加えて取扱説明書などで規格名を確かめるよう求められています。

海外通販で買うときのチェックリスト

確認事項 内容
無線機能があるか Wi-FiやBluetoothを使う製品なら技適マークが必要
技適マークの記載 販売ページか製品写真で確認する。番号まで記載されていればより確実
電源まわりの表示 充電器やバッテリーが付属する場合、PSEマークがあるか
電源プラグの形状と電圧 日本のコンセントで使えるか。変換プラグでは電圧の問題は解決しない
保証と修理 国内で修理を受けられるか。並行輸入品は対象外の場合がある
販売事業者の情報 連絡先と、不具合時の対応窓口が明記されているか

周辺機器を選ぶときの表示の確認はスマホ周辺機器12分野の優先順位 守る・使いやすくする・拡張するで整理する、充電器とケーブルの規格はUSB充電器とケーブルの選び方 規格の見方と失敗しない組み合わせにまとめています。モバイルバッテリーの容量と航空機への持ち込みはモバイルバッテリーの選び方とおすすめの容量の目安と旅行・出張のガジェット14分野を比較 2026年4月からの機内持ち込みルールに対応で扱いました。

よくある失敗と注意点

「買えたから使ってよい」と考える

海外の通販サイトで買えたとしても、技適のない無線機を国内で使うと電波法違反になる場合があります。総務省は購入の段階から注意を呼びかけています。買えることと使えることは別です。

CE認証やFCC認証を日本の基準だと思う

いずれも海外の基準への適合を示すもので、日本の技適の代わりにはなりません。日本で無線機器を使うときは技適マークの有無を確認してください。

PSEマークのない充電器を使う

販売した事業者が罰則の対象ですが、使う側にとっては安全に関する確認が行われていない製品を使うことになります。

特例制度を日常利用の抜け道と考える

実験・試験・調査の目的に限られ、期間も180日です。日常的に使い続けるための制度ではありません。

中古品やフリマの出品で表示を確認しない

個人間の取引でも、技適のない機器を使えば使用者の問題になります。モバイルバッテリーはPSEマークの有無を確認してください。

よくある質問

技適マークはどこを見れば分かりますか

本体やパッケージへの印字のほか、スマートフォンなどでは設定画面の中に表示される製品もあります。技適番号が分かれば、総務省の検索システムで証明の内容を確認できます。国内の正規流通品であれば通常は表示されています。

海外で買ったスマートフォンを日本で使えますか

技適マークがない機種を国内で使うと電波法違反となる可能性があります。日本向けに販売されているモデルであれば表示があるのが一般的です。購入前に確認してください。

訪日した外国人が持ち込んだ機器はどうなりますか

訪日観光客などが自ら持ち込むWi-Fi端末とBluetooth端末は、技適マークがなくても、一定の条件を満たせば入国から90日以内に限って使えます。Wi-Fi機能はWi-Fi Allianceの認定ロゴなどでIEEE 802.11a/b/n/ac/ax/be規格への適合が、Bluetooth機能はBluetooth SIGの認証ロゴなどでCore Specification Version2.1以降への適合が確認できるものが対象です。持ち込んだ無線LANルーターは、技適マークが付いている場合のみ使えるとされています。細かな条件は総務省の案内で確認してください。

特例制度を使えば海外製品を使えますか

届出により180日間、実験・試験・調査の目的で使用できます。法人でも個人でも届出が可能です。手数料については、総務省の制度ページでは記載を確認できませんでした。目的が限定されているため、日常的に使い続けることは想定されていません。

PSEマークの菱形と丸形は何が違いますか

菱形は特定電気用品に付けられるもので、危険や障害の発生するおそれが多いとされる品目が対象です。登録検査機関による適合性検査が必要になります。丸形はそれ以外の電気用品に付けられます。モバイルバッテリーは丸形です。

PSEマークのない製品を持っている場合はどうすればよいですか

販売が規制されているのであって、既に持っている製品の使用が直ちに禁じられるわけではありません。ただし安全に関する確認が行われていない可能性があるため、充電中に目を離さない、高温の場所で使わないといった注意が必要です。異常があれば使用をやめてください。

技適マークがない機器を売ってもよいですか

電波法が規制するのは使用ですが、使用できない機器を販売することは購入者に法令違反をさせる結果になりかねません。フリマなどで手放す場合は、技適の有無を明記するのが誠実な対応です。

自作の電子工作はどうなりますか

無線機能を持たせる場合は電波法の対象になります。技適を取得した無線モジュールを使う方法や、特例制度の届出を行う方法があります。詳細は総務省の案内を確認してください。

認証マークの確認は、海外から機器を取り寄せるときにとくに効いてきます。通信機器を選ぶ場面での注意点はWi-Fiルーターの選び方、自宅用と外出用の違い、接続がうまくいかないときの切り分けはBluetooth接続トラブルの原因と基本の対処法で扱っています。

技適とPSE以外にも、ガジェットには買う・使う・手放すの各段階で関わる制度があります。全体像はガジェットに関わる法律の地図 買う・使う・手放すの3段階で整理するで一覧にしました。

まとめ

技適マークとPSEマークは、どちらも日本国内で機器を使うための前提になる表示です。技適は使う人が、PSEは売る人が責任を問われるという違いを押さえておくと、判断を誤りません。技適マークのない無線機を国内で使うと電波法違反になる場合があり、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象とされています。買えたかどうかではなく、使う段階で問題になります。CE認証やFCC認証は日本の技適の代わりにはならないため、これらの記載を根拠に判断しないでください。技適のない機器をどうしても試したい場合は、届出により180日間、実験等の目的で使用できる特例制度があります。モバイルバッテリーは2018年2月1日からPSEの規制対象で(経過措置は2019年1月31日まで)、表示のない製品は販売できません。安価な製品を選ぶときほど、この2つの表示を確認してください。

出典

電波法に基づく技術基準適合証明等の制度および技適マークの表示(表示のない無線機の使用は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、公共性の高い無線局への妨害は5年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金の対象とされる)/技適未取得機器を用いた実験等の特例制度(2019年11月新設。届出により180日間、実験・試験・調査の目的で使用可能)/電気用品安全法に基づくPSEマーク(特定電気用品は菱形、特定電気用品以外は丸形。モバイルバッテリーは2018年2月1日から規制対象、経過措置は2019年1月31日まで)/消防庁「リチウムイオン電池等から出火した火災の調査結果の公表(令和7年)」(令和8年3月26日)

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