スマート家電・生活家電

家電の電気代を見積もる方法 省エネラベルの読み方と機器別の考え方

家電を買い替えるとき、本体価格は比べても、使っている間にかかる電気代まで計算する人は多くありません。しかし冷蔵庫やエアコンのように10年前後使う機器では、購入後にかかる電気代のほうが本体価格を上回ることもあります。判断の材料になるのが、売り場に貼られている統一省エネラベルです。この記事ではラベルの読み方を整理し、年間の電気代を自分で見積もる手順、そして実際に測って確かめる方法までをまとめます。

この記事でわかること

統一省エネラベルの3つのブロックと読み方/新しいラベルへの切り替えで何が変わったか/年間消費電力量から電気代を計算する手順/機器ごとの消費電力の目安/実測して確かめる方法

統一省エネラベルの読み方

統一省エネラベルは、小売事業者が製品に表示するもので、省エネ性能を横並びで比較できるようにするための仕組みです。経済産業省・資源エネルギー庁が2022年10月に発行した新ラベルのガイドブックでは、ラベルを「多段階評価点」「省エネルギーラベル」「年間の目安電気料金」の3つのブロックに分けて説明しています。一般財団法人家電製品協会の解説によると、真ん中の省エネルギーラベルには省エネ性マーク、省エネ基準達成率、エネルギー消費効率、目標年度の4つの情報が入ります。読むときに見る項目ごとに整理すると次のとおりです。

表示項目 意味
多段階評価点 市場にある製品の省エネ性能を高い順に5.0から1.0まで0.1きざみで示したもの。星マークはこの評価点に対応している
省エネ性マーク・省エネ基準達成率 目標年度の省エネ基準をどれだけ達成しているかを示す。達成率100%以上は緑色、100%未満はオレンジ色で表示される
エネルギー消費効率 エアコンであれば通年エネルギー消費効率(APF)など、機器ごとの指標。省エネルギーラベルには、基準の目標年度もあわせて書かれている
年間目安エネルギー料金 その製品を1年間使った場合の目安となる料金(電気製品では「年間の目安電気料金」)

新しいラベルへの切り替えで変わったこと

以前は省エネ基準達成率に応じた5段階の星で評価していましたが、新しいラベルでは0.1きざみの評価点(5.0〜1.0の41段階)に変わりました。切り替えは一斉ではありません。ガイドブックの経過表では新ラベルの開始が2020年11月、2021年10月、2022年10月の3段階に分かれており、エアコンは2022年10月に変わっています。段階が細かくなったことで、同じ星の数でも性能差が読み取れるようになっています。星の数だけでなく、その横に書かれた数値まで見る価値があります。

年間目安エネルギー料金の算出には、電気料金の目安単価が使われます。2022年10月発行の新ラベルのガイドブックでは、電力・ガス取引監視等委員会の「電力取引報」をもとにした直近3年分の平均値から、1kWhあたり27円(税込)として算出すると記載されています。家電製品協会の解説では、この3年分は2017年〜2019年とされています。2023年3月発行の販売店・消費者向け資料「ラベルの窓口」でも27円のままでしたが、それ以降に単価が見直されたかどうかは確認できていません。実際の電気料金は契約している事業者やプラン、燃料費調整などで変わるため、ラベルの金額はあくまで比較のための共通のものさしだと考えてください。自宅の実際の単価は検針票や利用明細で確認できます。

メーカーのカタログや製品サイトに載っている電気代は、別の単価で計算されている場合があります。全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)の目安単価で、現在は2022年7月22日に改定された31円/kWh(税込)です。同じ製品でもラベルとカタログで金額が合わないのは、使っている単価が違うためです。

項目 ラベルの年間目安料金 カタログなどの目安
単価 27円/kWh(税込) 31円/kWh(税込)
出どころ 経済産業省・資源エネルギー庁の新ラベルのガイドブック(2022年10月発行) 家電公取協(2022年7月22日改定)
算出の根拠 「電力取引報」の2017年〜2019年の平均値 「電力取引報」の全小売電気事業者の販売電力量・販売額の集計値など

ラベルの金額には使い方の前提もあります。エアコンの場合、東京の外気温度をモデルに、冷房27℃・暖房20℃、6時から24時までの18時間運転などの条件で求めた期間消費電力量に27円をかけたものです。寒冷地では地域係数をかけて直す必要があり、ガイドブックでは盛岡の係数を2.4としています。温水機器のラベルは東京・大阪の外気温度と4人世帯を前提にしていて、条件が違う場合はラベルのQRコードから開く換算アプリで地域や世帯人数に合わせた値に換算できます。

達成率の「基準」はどう決まるのか トップランナー制度の仕組み

ラベルの省エネ基準達成率は、省エネ法にもとづくトップランナー制度で国が定めた目標値に対する割合です。資源エネルギー庁の解説(2026年9月28日閲覧)によると、この制度は対象機器の製造事業者と輸入事業者に、エネルギー消費効率の目標を示して達成を促し、効率の表示も求めるものです。目標値は、その時点で商品化されている製品のうち最も効率の優れたものの性能を土台に、技術開発の将来の見通しなどを加味して定められます。

読むときに気をつけたいのは、この目標が1台ごとの合格ラインではない点です。一般社団法人日本電機工業会(JEMA)の説明では、メーカーは定められた年度までに、区分ごとの目標値を出荷製品の加重平均で上回る必要があり、区分ごとの達成率の表示が義務づけられています。仕組みの上では、平均で目標に届いていれば、達成率100%未満の機種が含まれていても構いません。オレンジ色のマークの製品が売られていても、それだけで制度違反とはいえないということです。

対象はJEMAによると、2025年8月末時点で29品目と、建材トップランナー制度の3品目です。資源エネルギー庁の品目一覧を見ると、家庭で使う機器ではエアコン、照明器具、テレビ、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気便座、ジャー炊飯器、電子レンジ、電球、ストーブ、ヒートポンプ給湯器などが並んでいます。一方で洗濯機、電気ポット、電気毛布、ドライヤーは一覧にありません。こうした機器は達成率で比べられないため、仕様表の消費電力と使用時間をもとに、次の章の計算式で見積もることになります。

電気代を自分で見積もる

冷蔵庫やテレビ、電気便座などのラベルには年間消費電力量(kWh/年)が書かれているので、自宅の単価で計算し直せます。エアコンのラベルに並ぶのは省エネ基準達成率、APF、年間の目安電気料金で、kWhの数値は出ていません。エアコンはカタログに載っている期間消費電力量(kWh/年)を使うか、ラベルの目安電気料金を27で割っておおよその電力量を出してから計算してください。

計算式

求めるもの 計算式
年間の電気代 年間消費電力量(kWh) × 自宅の電力量単価(円/kWh)
1時間あたりの電気代 消費電力(W) ÷ 1,000 × 単価(円/kWh)
1か月の電気代 消費電力(W) ÷ 1,000 × 1日の使用時間 × 30 × 単価

例えば消費電力40Wの機器を1日8時間使う場合、40÷1,000×8=0.32kWhが1日の消費量です。1kWhあたり31円なら1日約10円、1か月で約300円という計算になります。

買い替えの損益を計算する

古い機器を使い続けるか買い替えるかは、この計算で判断できます。

手順 やること
1 いま使っている機器の年間消費電力量を調べる(本体の表示、取扱説明書、メーカーのサイト)
2 買い替え候補の年間消費電力量をラベルで確認する
3 差を計算し、自宅の単価をかけて年間の削減額を出す
4 本体価格を削減額で割り、何年で元が取れるかを見る

年間で3,000円の削減にしかならない機器に8万円をかけるなら、回収に27年かかる計算です。省エネ性能が高いという理由だけで買い替えを判断すると、金額としては損になる場合があります。故障のリスクや使い勝手の改善も含めて総合的に考えてください。

機器ごとの消費電力の目安

製品による幅が大きいため、手元の機器の仕様表で置き換えてください。以下は一般的な公表仕様から見た範囲で、公的な資料で一括して確かめた数値ではありません。目安として読んでください。

機器 消費電力の目安 備考
冷蔵庫(300L級) 年間250〜330kWh 24時間稼働。1日あたり約700〜900Wh
エアコン 畳数と機種で大きく変わる 期間消費電力量はカタログで確認する(ラベルは金額で表示)
照明(LED電球) 3〜10W 点灯時間が長いほど差が出る
テレビ 50〜200W 画面サイズとパネルの方式で変わる
ノートPC 30〜65W 充電しながら使う場合
電気ポット 保温時30〜50W 保温時間が長いほど積み上がる
電気毛布 40〜80W 設定の強弱で変わる
電子レンジ・ドライヤー 600〜1,300W 使用時間は短い

ここで注意したいのが、消費電力の大きさと、電気代への影響は別だという点です。ドライヤーは1,200W前後と大きいものの、使うのは1日数分です。一方、冷蔵庫は消費電力こそ小さくても24時間動き続けます。電気代に効くのは「消費電力×使用時間」であって、瞬間の大きさではありません。

待機電力はどこまで気にするべきか

コンセントを抜く節約がよく紹介されますが、効果の大きさは数字で確認しておいたほうがよいでしょう。資源エネルギー庁が2012年度(平成24年度)に行った待機時消費電力調査の報告書概要によれば、家庭1世帯あたりの待機時消費電力量は年間228kWhと推計され、同じ調査で集計した1世帯あたりの全消費電力量4,432kWh/年の5.1%にあたります。調査時点が2012年度と古い点は念頭に置いてください。

待機時消費電力の機器別内訳(ガス温水器19%、テレビ10%など)を示す棒グラフ
図 待機時消費電力の機器別内訳(資源エネルギー庁の2012年度調査をもとに作成)
待機時消費電力の内訳(全体を100%とした場合、2012年度調査) 割合
ガス温水器 19%
テレビ 10%
冷暖房兼用エアコン 8%
電話機 8%
BD・HDD・DVDレコーダー 6%
パソコン 4%

全体の5.1%という比率と、上位を占めるのが電源を切りにくい機器であることを踏まえると、待機電力を切ることで得られる節約は限定的です。それより、使用時間そのものを減らすほうが効果があります。スマート機器を使った運用の改善についてはスマートホームの始め方 12分野を導入効果で採点しMatter対応の考え方まで解説で扱っています。

実測して確かめる

カタログの数値は標準的な条件での測定値です。実際の使い方でどれだけ消費しているかは、測ってみないと分かりません。

方法 分かること 費用
電力計測に対応したスマートプラグ コンセントごとの消費電力と使用時間の記録 2千〜4千円
ワットチェッカー(電力量計) 単体の機器の消費電力と積算電力量 3千〜8千円
電力会社の使用量の見える化サービス 家全体の時間帯ごとの使用量 契約により無料
分電盤に取り付ける計測機器 回路ごとの内訳 2万円以上、設置が必要

まず試すなら、電力計測に対応したスマートプラグが手軽です。思い込みで節約しているつもりの機器が、実は大した量ではなかったと分かることがあります。逆に、意識していなかった機器が積み上がっている場合もあります。測ってから対策を決めるほうが、無駄な手間をかけずに済みます。

照明の消費を減らす方法はスマート照明の選び方 部屋別のおすすめの選択基準、空調まわりは加湿器の選び方、テレビの選び方は家庭用テレビの選び方 有機ELと液晶の違いを比較にまとめています。停電時に何をどれだけ動かせるかという観点は停電に備えるガジェット12分野を比較 必要な電力量を時間別に試算するで扱いました。

よくある失敗と注意点

星の数だけを見て選ぶ

新しいラベルの評価点は0.1きざみです(2020年11月から機器ごとに順次切り替わり、エアコンは2022年10月から)。同じ星の数でも性能に差があります。数値まで確認してください。

ラベルの金額をそのまま自宅の電気代だと考える

年間目安エネルギー料金は共通の単価で算出された比較用の数値です。自宅の実際の単価で計算し直してください。

省エネ性能だけを理由に買い替える

削減額で本体価格を回収できるかを計算してください。回収に何十年もかかるなら、金額としては見合いません。

消費電力の大きい機器ばかり気にする

電気代は消費電力と使用時間の掛け算です。短時間しか使わない機器より、動き続けている機器のほうが効きます。

待機電力の削減に手間をかけすぎる

家庭の全消費電力量に占める割合は5.1%です。労力に対する効果を考えて取り組んでください。

湯沸かしの電気代は使う水の量で決まります。理論値の計算例は電気ケトルの選び方にまとめています。

よくある質問

統一省エネラベルはどの製品に付いていますか

エアコン、冷蔵庫、テレビ、照明器具、電気便座など、制度の対象となっている機器に表示されています。対象機器は制度の見直しにあわせて追加されてきました。

多段階評価点はどう見ればよいですか

5.0に近いほど省エネ性能が高いことを示します。0.1きざみの41段階で表示されるため、星の数が同じでも数値で差を比較できます。市場にある製品の中での相対的な位置づけを示すものです。

省エネ基準達成率とは何ですか

目標年度の省エネ基準に対する達成度合いを示す数値です。達成率が100%以上なら緑色、100%未満ならオレンジ色のマークで表示されます。

電気代の単価はどこで確認できますか

検針票や電力会社のウェブサイトの利用明細で確認できます。基本料金と電力量料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金などの合計が請求額になるため、単価だけで全体が決まるわけではありません。

古い冷蔵庫は買い替えたほうが得ですか

年間消費電力量を比べて計算してください。10年以上前の機種であれば差が大きいこともありますが、本体価格を何年で回収できるかを見たうえで判断します。故障のリスクや容量の不足といった要素も含めて考えるとよいでしょう。

エアコンは付けっぱなしと小まめな入り切りのどちらが安いですか

外気温、断熱性能、不在時間の長さで変わるため、一律の答えはありません。設定温度に到達するまでの消費が大きいという性質はありますが、数時間の不在で切らないほうが得になるとは限りません。実測できる環境があれば、自宅の条件で比べるのが確実です。

スマートプラグはどの機器に付けるべきですか

使用時間が長い機器から測ってください。テレビ、電気ポット、間接照明、扇風機などが候補になります。エアコンや電子レンジのように消費電力が大きい機器は、スマートプラグの定格を超える場合があるため、対応する容量を確認してから使ってください。

電力会社を変えれば安くなりますか

契約プランと使用量の組み合わせによります。単価が下がっても基本料金の構成が変われば総額は変わります。まず自宅の使用量を把握してから比較してください。

方式による電気代の差がとくに大きいのが除湿機です。公的機関の比較試験の数値は除湿機とサーキュレーターの選び方 方式別の電気代を実測データで比較するにまとめました。

購入価格と運転コストを合わせて比べる考え方は家電量販店のポイントとセールの仕組み 還元率を値引き率に換算して比べるでも扱っています。

消費電力の数値は、電気代だけでなく安全にも関わります。1つのコンセントにつなげる上限の考え方は電源タップの選び方と安全な使い方 5年で126件の火災事故から考えるにまとめました。

まとめ

家電の電気代は、統一省エネラベルの読み方を覚えれば購入前に見積もれます。新しいラベルでは多段階評価点が0.1きざみの41段階になり、同じ星の数でも性能差が読み取れるようになりました。年間目安エネルギー料金は共通の単価で算出された比較用の数値なので、ラベルの年間消費電力量(エアコンはカタログの期間消費電力量)に自宅の単価をかけて計算し直すのが実際的です。買い替えを検討するときは、年間の削減額で本体価格を何年で回収できるかまで見てください。そして電気代に効くのは消費電力の大きさではなく、消費電力と使用時間の掛け算です。待機電力は2012年度の国の調査で家庭の全消費電力量の5.1%にとどまるため、そこに手間をかけるより、長く動いている機器の使い方を見直すほうが結果につながります。

関連記事 オーブントースターの選び方 では、オーブントースターの電気代の目安と安全面を整理しています。

同じ発熱する調理家電の選び方として、ホームベーカリーの選び方も参考になります。

出典

経済産業省・資源エネルギー庁の統一省エネラベルおよび新ラベルのガイドブック(2022年10月発行。新ラベルは2020年11月・2021年10月・2022年10月の3段階で開始し、エアコンは2022年10月。多段階評価点は5.0〜1.0の0.1きざみ41段階、年間の目安電気料金は1kWhあたり27円(税込)として算出、エアコンの算出条件と寒冷地の地域係数)/一般財団法人家電製品協会による統一省エネラベルの解説(省エネルギーラベルの4つの情報、27円の根拠となる2017年〜2019年の平均値)/全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問」(目安単価31円/kWh、2022年7月22日改定)/資源エネルギー庁「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」(1世帯あたりの待機時消費電力量228kWh/年、全消費電力量4,432kWh/年に対して5.1%、機器別の内訳)/エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)に基づくトップランナー制度/資源エネルギー庁「機器・建材トップランナー制度について」(2026年9月28日閲覧)/一般社団法人日本電機工業会(JEMA)「トップランナー機器とは」(2025年8月末時点、2026年9月28日閲覧)

冬の暖房は消費電力が大きく、方式によって1か月の電気代が1桁変わります。方式ごとの試算は電気暖房器具の選び方 暖め方3方式の違いと方式別の電気代、事故データで見る安全な使い方にまとめました。

プリンターの印刷コストの計算方法は家庭用プリンターの選び方 印刷コストを計算して総額で比べるで扱っています。

コーヒーメーカーの保温機能は、電気代を見落としやすい代表例です。方式別の電気代とお手入れの目安はコーヒーメーカーの選び方 ドリップ式・エスプレッソ式の違いと、湯温・比率の基準まで整理するにまとめました。

-スマート家電・生活家電