高性能なゲーミングPCや最新のゲーム機を買わなくても、手元のスマホやノートPCで最新のゲームを遊べる「クラウドゲーミング」というサービスが広がっています。ただしGeForce NOW、Xbox Cloud Gaming、PS Plusプレミアムのクラウドストリーミングでは、遊べるソフトの範囲や料金の仕組みがまったく異なり、名前だけを聞くと違いが分かりにくいという声があります。結論からいうと、確認すべき基本項目は「自分のライブラリを遊ぶ型かカタログ型か」「対応デバイスと必要な通信速度」「月額料金とプレイ時間の上限」の3系統です。この記事ではサービスごとの仕組みの違いと、2026年に発表された最新の制度変更を含めて整理します。
クラウドゲーミングとは何か、3つのサービスモデル
クラウドゲーミングは、実際のゲーム処理をデータセンター側のサーバーで行い、映像だけを手元の端末にストリーミング配信する仕組みです。ゲーム機本体やハイスペックなグラフィックボードを持っていなくても、通信環境さえ整っていれば重いタイトルを遊べるのが利点です。ただし提供モデルは大きく3つに分かれており、この違いを理解しないまま契約すると「遊びたいソフトが対象外だった」という失敗につながります。
| モデル | 考え方 | 代表例 |
|---|---|---|
| ライブラリ持ち込み型 | Steamなどで既に購入済みのソフトをクラウド上のPCで動かす | GeForce NOW |
| カタログ型(サブスクリプション) | 月額料金の範囲内で、対象タイトルのカタログから自由に遊べる | Xbox Cloud Gaming(Game Pass Ultimate) |
| カタログ+購入済みソフト型(サーバー配信) | PS Plusのゲームカタログなどの対象タイトルと、PS Storeで購入したPS5用デジタル版ソフトを、本体にダウンロードせずサーバーから配信する | PS Plusプレミアムのクラウドストリーミング |
サービスごとの仕組みを分解する
GeForce NOW(ライブラリ持ち込み型)
NVIDIAが提供するGeForce NOWは、Steamなどのプラットフォームで自分が既に購入したソフトを、クラウド上の高性能PCで動かして手元の端末にストリーミングするサービスです。新しいゲームソフト自体はこのサービスに含まれず、あくまで「自分の持っているソフトを動かすためのPCを借りる」という位置づけになります。日本では2020年3月にKDDIがGeForce NOWのゲームストリーミングを提供すると発表し、2024年4月のNVIDIA日本語ブログで、KDDIとともに運営する形でUltimateメンバーシップが初めて日本のゲーマーに提供されると告知されました。現在のNVIDIA公式FAQでは、日本ではNVIDIAから提供していると書かれています。プランは無料プラン(1回のプレイが1時間まで、混雑時は順番待ちが生じる。公式FAQでは、各無料セッションのゲーム開始前に最長2分の動画広告が流れるとされています)のほか、有料プランとしてPerformance(旧Priority、月額1,790円前後)とUltimate(月額3,580円前後、クラウド上でRTX 4080〜5080クラス相当の性能、レイトレーシングやDLSSに対応)が用意されています。Ultimateの画質は、公式FAQでは「最大120FPSで5K」と「対戦ゲームモードの1080pで360FPS」が別のモードとして書かれており、5Kと360FPSを同時に出せるわけではありませんが用意されています。対応デバイスはPC・Mac・Chromebook・Androidのほか、対応するスマートテレビでも直接ストリーミングできます。料金は期間限定の割引キャンペーンが行われることもあるため、契約前に公式サイトの最新価格を確認してください。
Xbox Cloud Gaming(カタログ型)
Xbox Cloud Gamingは、Xbox Game Passのカタログに含まれるタイトルを、Xbox本体を持たずにPCやスマホ、対応ブラウザからストリーミングで遊べるサービスです。2026年4月22日、Game Pass Ultimateの月額料金は2,750円から1,550円に改定されました。さらに2026年9月4日、Microsoftはクラウドゲーミングの提供方法を2026年11月から変更すると発表しており、Game Pass Ultimateには月間15時間、Premiumには10時間、Essentialには5時間というクラウドプレイの時間上限が設けられる予定です。上限を超えた分は追加購入が必要になる見込みで、影響を受けるのは会員全体の4%程度と見積もられています。詳しい価格や追加時間の購入方法は2026年11月に発表される予定のため、ヘビーにクラウドゲーミングを使う予定がある人は、契約前に公式発表を確認しておく必要があります。
PS Plusプレミアム クラウドストリーミング(カタログ+購入済みソフト型)
PS Plusプレミアム会員向けのクラウドストリーミングは、ゲームをPS5本体にダウンロードせず、サーバーから配信して遊べる機能です。対象はPS Storeで購入したPS5用デジタル版の対応タイトルに加え、ゲームカタログ、ゲームトライアル、クラシックスカタログに含まれる対応タイトルです(パッケージ版は対象外)。2023年10月17日に日本国内でサービスが開始され、2025年11月のアップデートでは携帯型デバイスのPS Portalもクラウドストリーミングに正式対応しました(ベータ版は2024年11月開始)。PS PortalをPS5本体に接続しなくても、ゲームカタログやクラシックスカタログ内の対応PS5タイトルを直接ストリーミングできます。なお、自宅のPS5にスマホやPCからアクセスして遊ぶのは「リモートプレイ」という別の機能で、クラウドストリーミングとは仕組みが違います。推奨される通信速度は2023年10月17日のPlayStation.Blogで解像度ごとに公表されており、4K(2160p)で52Mbps以上、1440pで38Mbps以上、フルHD(1080p)で23Mbps以上、HD(720p)で13Mbps以上です。これとは別に、現行のPS Plus公式ページには最低限必要な速度として「少なくとも5mbps(1080pは15mbps)」と書かれています。PS Portalのクラウドストリーミングについては、ベータ版開始時の公式ブログで、セッションの確立に上り・下りとも5Mbps以上、720pで7Mbps以上、1080pで13Mbps以上が必要とされていました。
必要な通信速度の目安
| 解像度 | 推奨通信速度の目安 |
|---|---|
| 4K(2160p) | 52Mbps以上 |
| 1440p | 38Mbps以上 |
| フルHD(1080p) | 23Mbps以上 |
| HD(720p) | 13Mbps以上 |
上記はPS Plusプレミアムについて2023年の公式ブログが示した推奨値で、最低限必要な速度(1080pで15Mbpsなど)より高めに設定されています。他のクラウドゲーミングサービスでも同程度の通信速度が快適さの分かれ目になります。Wi-Fiルーターやスマホの回線速度に不安がある場合は、有線LAN接続に切り替えるだけで映像の乱れが改善することがあります。自宅の回線速度の測り方や選び方は自宅のネット回線の選び方 光回線・ホームルーター・テザリングを比較するで扱っています。
各社の公式ページに書かれた画質と時間の上限(2026年9月28日確認)
| サービス・プラン | 月額(税込、公式表記) | 最大解像度 | 最大フレームレート | 時間の上限 |
|---|---|---|---|---|
| GeForce NOW Free | 無料(広告あり) | 1080p | 60fps | 1セッション1時間 |
| GeForce NOW Performance | 1,790円 | 1440p | 60fps | 1セッション6時間、プレミアムプレイ時間は毎月100時間(追加購入可) |
| GeForce NOW Ultimate | 3,580円 | 5K(120fps時)。360fpsは1080p | 5Kは120fps、1080pの対戦ゲームモードは360fps | 1セッション8時間、プレミアムプレイ時間は毎月100時間(追加購入可) |
| Xbox Cloud Gaming(Game Pass Essential/Premium/Ultimate) | 公式ページで金額を確認できず | Ultimate会員は最大1440p、ほかのプランは非公表 | 非公表 | クラウドプレイ時間 月5時間/10時間/15時間 |
| PS Plusプレミアム | 1,550円(1ヶ月利用権) | 推奨速度を2160p(4K)まで公表 | 60fps | 公式ブログに記載なし |
NVIDIAのプラン比較表、XboxのGame Pass紹介ページとXbox Wire、PlayStation.Blogの記載を突き合わせて作った表です。数字はすべて各社が公表している上限(カタログ値)で、実際の画質は回線や端末の条件によって下がります。GeForce NOWは有料2プランともセッションが長く取れる一方、「毎月100時間のプレミアムプレイ時間」という月単位の枠があり、超えた分は追加で購入する仕組みです。XboxのGame Pass紹介ページには、プランごとに月5・10・15時間のクラウドプレイ時間が書かれています。PS Plusプレミアムは、参照した公式ブログに月間の時間上限にあたる記載はありませんでした。フレームレートの上限を数字で示していないのはXboxだけで、Xbox Wireで公表されているのは「最大1440p」という解像度だけです。
通信速度の推奨値を3社の公式資料で比べる

| 画質 | GeForce NOW(NVIDIA公式) | Xbox Cloud Gaming(Xbox公式) | PS Plusプレミアム(PlayStation.Blog) |
|---|---|---|---|
| 720p | 15Mbps(60fps) | 解像度ごとの数値は非公表。最低条件は下り10Mbps以上で、最高のパフォーマンスの目安はモバイル10Mbps、コンソール・PC・タブレット20Mbps | 13Mbps以上 |
| 1080p | 25Mbps(60fps) | 23Mbps以上 | |
| 1440p | 35Mbps(120fps) | 38Mbps以上 | |
| 4K(2160p) | 45Mbps(120fps) | 52Mbps以上 | |
| 高フレームレート・5K | QHD・FHDの240/360fpsは55Mbps、5Kの120fpsは65Mbps | 対象外(60fpsまで) | |
| そのほかの条件 | データセンターまでの遅延80ms未満、有線または5GHz Wi-Fiを推奨 | 5GHz Wi-Fiを推奨 | 最低5Mbps(現行のPS Plus公式ページでは1080pに15Mbpsが必要) |
先ほどの表はPS Plusプレミアムの数字だけだったので、NVIDIAとMicrosoftの公式要件を横に並べました。1080pではGeForce NOWが25Mbps、PS Plusプレミアムが23Mbpsで、差はほとんどありません。ただし1440pと4KでGeForce NOWが示す数字は120fps配信が前提です。PS Plusの推奨値は60fpsのサービスに対するものなので、条件が揃っているわけではありません。Xboxは解像度ごとの目安を出しておらず、紹介ページでは「下り10Mbps以上、デバイスによっては20Mbps」としています。NVIDIAは速度に加えて、データセンターまでの遅延が80ms未満であることを条件にしています。回線速度が数字の上では足りていても、遅延が大きい環境では快適に遊べない可能性があります。
分類・種類:3サービスの比較
| サービス | モデル | 月額の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| GeForce NOW | ライブラリ持ち込み型 | Performance 1,790円前後/Ultimate 3,580円前後 | Steamなどで既にソフトを多数所有している人 |
| Xbox Cloud Gaming | カタログ型 | Game Pass Ultimate 1,550円(2026年9月時点の記載。公式ページで最新の料金を確認。2026年11月から時間上限あり) | 手軽に多数のタイトルを試したい人 |
| PS Plusプレミアム | カタログ+購入済みソフト型(サーバー配信) | PS Plusプレミアムの会員料金に含まれる | PS5本体にダウンロードせずに、ゲームカタログや購入済みのPS5用デジタル版ソフトを遊びたい人 |
選び方・選定基準
- すでに所有しているソフトの範囲を確認する。Steamなどで多数のソフトを持っているならGeForce NOW、これから新しいタイトルを幅広く試したいならXbox Cloud Gamingが候補になります。
- PlayStationのソフトを遊びたいかを確認する。PS Plusプレミアムならゲームカタログの対象タイトルや購入済みのPS5用デジタル版ソフトをクラウドで遊べ、PS Portalからも直接ストリーミングできます。自宅のPS5に接続して遊ぶ場合は、クラウドストリーミングではなくリモートプレイを使います。
- 自宅・外出先の通信速度を確認する。前述の目安に対して余裕があるかを確認し、不足する場合は有線接続や回線の見直しを検討します。
- 月間のプレイ時間を見積もる。Xbox Cloud Gamingは2026年11月から時間上限が設けられる予定のため、ヘビーユーザーは公式発表を確認してから契約時期を判断します。
- 対応デバイスを確認する。スマホ・PC・スマートテレビなど、実際に使う予定の機器に対応しているかを事前に確認します。
よくある失敗・注意点
通信速度を確認せずに契約する
「持っているソフトを遊ぶ型」と「カタログ型」を混同する
制度変更の発表を確認せずに長期契約する
よくある質問
クラウドゲーミングはゲーミングPCの代わりになりますか。
通信環境が整っていれば高性能な処理を手元の端末で必要とせずに遊べますが、通信状況によって画質や反応速度が左右される点はゲーミングPCと異なります。オンライン対戦でシビアな反応速度を求める場合は、通信の遅延も含めて検討する必要があります。
無料プランだけでも十分に楽しめますか。
GeForce NOWの無料プランは1回のプレイ時間が1時間に制限され、混雑時は順番待ちが発生することがあります。じっくり長時間プレイしたい場合は有料プランのほうが快適です。
スマホだけでもクラウドゲーミングは遊べますか。
GeForce NOW、Xbox Cloud GamingともにAndroid端末に対応しています。快適に遊ぶには、外付けコントローラーの用意や、安定したWi-Fi・モバイル回線の確保が推奨されます。
Xbox Cloud Gamingの時間上限は今契約しているユーザーにも適用されますか。
2026年9月4日の発表時点では、2026年11月からの変更が予定されており、既存ユーザーにも適用される見込みです。詳しい条件は2026年11月の公式発表で確認する必要があります。
PS Plusプレミアムに入れば新作ソフトも遊び放題になりますか。
PS Plusプレミアムのクラウドストリーミングでは、ゲームカタログ、ゲームトライアル、クラシックスカタログに含まれる対応タイトルと、PS Storeで購入したPS5用デジタル版の対応タイトルを遊べます。カタログに入っていない新作は、ストリーミングで遊ぶ場合もPS Storeでの購入が必要です。対応しているかはタイトルごとに異なり、パッケージ版は対象外です。
複数のクラウドゲーミングサービスを併用するメリットはありますか。
所有ソフトの幅広さを活かしたいならGeForce NOW、新しいタイトルを試したいならXbox Cloud Gaming、というように目的で使い分けると、それぞれの弱点を補い合えます。ただし料金が重複してかかる点は考慮が必要です。
まとめ
クラウドゲーミングサービスは、GeForce NOWの「ライブラリ持ち込み型」、Xbox Cloud Gamingの「カタログ型」、PS Plusプレミアムの「カタログ+購入済みソフト型」という3つの異なるモデルに分かれています。自分がすでに持っているソフトの範囲と、これから遊びたい対象がどちらに近いかを先に整理しておくと、サービス選びで迷いにくくなります。料金体系やプレイ時間の上限は今後も変更される可能性があるため、契約前後を問わず公式サイトの最新情報を確認する習慣を持っておくと安心です。
出典・参考情報
GeForce NOWの日本での提供の経緯(2020年3月のKDDIの発表、2024年4月のUltimate提供開始)、料金プラン、対応デバイスはNVIDIAの公式プレスリリースに基づいています。Xbox Game Pass Ultimateの料金改定(2026年4月22日、2,750円から1,550円へ)、および2026年11月から予定されるクラウドゲーミングの提供方法の変更(Game Pass Ultimate月間15時間、Premium10時間、Essential5時間)は、XBOX Wire Japanの公式発表(2026年9月4日付)に基づいています。PS Plusプレミアムのクラウドストリーミングのサービス開始(2023年10月17日)、PS Portalの対応(2025年11月)、推奨通信速度の数値は、PlayStation公式ブログの発表内容に基づいています。価格・提供条件は各社の判断で変更される場合があるため、契約前に必ず公式サイトで最新情報を確認してください。NVIDIA公式「GeForce NOW プレミアム メンバーシップ」「システム要件」、Microsoft XBOX公式「XBOX Cloud Gaming」「Xbox Game Pass」、PlayStation.Blog「PS5のクラウドストリーミング」(2023年10月17日)、「PlayStation Plus完全活用ガイド」(2026年4月23日更新)を追加で参照しています(いずれも2026年9月28日閲覧)。
