スマート家電・生活家電

オーブントースターの選び方 JEMAの3分類と品質表示の対象外という事実、NITEの事故事例から整理する

オーブントースターは家庭にあるキッチン家電の中でも、電子レンジやコーヒーメーカーと違って「品質表示の対象品目」に入っていません。つまりカタログの書き方はメーカーごとに違い、比べるための共通の物差しは自分で用意する必要がある家電です。一方で、製品評価技術基盤機構(NITE)には毎年のように使用中の発火事故が通知されており、選び方と同じくらい使い方が問われます。この記事では、日本電機工業会(JEMA)が整理するタイプの分類、法令上の位置づけ、電気代の目安、NITEが公表した事故事例までを公開情報にもとづいて整理します。

この記事でわかること

JEMAが示す3つのタイプ(単機能・温度調節・火力切替)とヒーターの種類/消費者庁の品質表示の対象品目にオーブントースターが入っているか/電気用品安全法上の区分(電気トースター)/消費電力別・使用時間別の電気代の目安/庫内サイズと置き場所の考え方/NITEが公表した事故事例と共通する原因/お手入れの頻度と手順/買う前に確認したい10項目

オーブントースターの仕組みとJEMAの3分類

JEMAの説明によると、オーブントースターは庫内の上下、または上下どちらかに設けたヒーターが通電で発熱し、赤外線を出すと同時に、加熱された庫内の空気の対流でも食品を温める仕組みです。パンの表面に焼き色がつくのは、主にヒーターからの放射熱によるものです。同じ「トースター」でも、電子レンジのように食品の内部を直接加熱するわけではありません。

JEMAは、調節できる項目によって次の3タイプに分けています。

タイプ 調節できるもの 向いている使い方
単機能タイプ 時間のみ 食パンを焼く、残り物を温める程度の使い方。操作が単純で迷わない
温度調節タイプ 時間と温度 パンの種類や焼き加減、冷凍食品の説明書きに合わせて設定を変えたい場合
火力切替タイプ 時間と火力 調理物に合わせて火力を切り替えたい場合

温度を細かく指定できるモデルほど使い方の幅は広がりますが、温度が設定できることと、その温度に庫内が正確に保たれることは別の話です。温度制御の精度は公的な試験区分で一律に評価されているものではなく、メーカーの説明に頼る部分が残ります。

ヒーターの種類

JEMAは、ヒーターの種類としてガラス管ヒーター(主流)、遠赤外線ヒーター、グラファイトヒーターを挙げています。加熱方式としては、100℃を超える温度で調理できる過熱水蒸気を使うモデルもあります。付属品や機能の例として、パンくず受け皿、メッシュ焼き網、マイコンによるオート機能、ディンプル加工(表面に凹凸をつけた加工)が紹介されています。

ヒーターの種類 JEMAでの位置づけ 選ぶときの見方
ガラス管ヒーター 主流 製品数が多く価格帯も広い。本数と配置は製品ごとに異なる
遠赤外線ヒーター タイプの一つ 「遠赤外線」の表記だけでなく、庫内のどこに何本あるかを仕様欄で確認する
グラファイトヒーター タイプの一つ カタログの説明文では立ち上がりの速さが強調されやすい。数値の出所(メーカー測定か)を確認する

各ヒーターの焼き上がりの優劣を比べた公的なデータは見当たらなかったため、この記事では「どちらが美味しく焼けるか」の断定は避けます。

選定基準 この記事で何を基準に整理したか

1 分類は業界団体(JEMA)の公開情報に立ち返る
2 品質表示や電気用品安全法など、法令上の位置づけを一次情報で確認する
3 電気代は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(税込)で統一して計算する
4 安全面はNITE(製品評価技術基盤機構)が公表した事故事例の原因から逆算する
5 特定の製品を推奨せず、確認すべき項目を示す

法令上の位置づけ 品質表示の対象外という意外な事実

電子レンジや電気ポット、電気コーヒー沸器は、家庭用品品質表示法にもとづく電気機械器具品質表示規程の対象で、消費者庁が公開している「製品別品質表示の手引き」の電気機械器具の項目に17品目が並んでいます。この一覧を確認すると、オーブントースターという品目名は含まれていません。近い名称の品目として「電気ロースター」がありますが、これは電気魚焼器などを指し、表示事項は種類(開閉式・引出式)と焼き網の寸法などです。

制度 オーブントースターの扱い 買う側への影響
家庭用品品質表示法(消費者庁) 品質表示の対象17品目の一覧に品目名なし 庫内寸法や消費電力の書き方が製品ごとに違う。同じ項目で並べ直して比べる必要がある
電気用品安全法(経済産業省) 電気用品安全法施行令の別表第二(特定電気用品以外の電気用品)に「電気トースター」が掲載 丸形のPSEマークの表示が必要。マークの有無は購入前に確認できる

PSEマークは、電気用品安全法が定める技術基準への適合を示す表示です。同法の施行令は、特定電気用品を別表第一に、それ以外の電気用品を別表第二に掲げており、「電気トースター」は別表第二の電熱器具の項目に入っています。特定電気用品は菱形、それ以外の電気用品は丸形で、オーブントースターは後者にあたります。丸形PSEは、届出事業者が技術基準への適合を確かめたうえで表示するものです。法律の目的は電気用品による危険と障害の発生を防ぐことにあり、味や焼きムラといった調理の性能を保証する仕組みではありません。並行輸入品や海外製品を買うときは、日本の電圧・電源に対応しているか、PSEの表示があるかを確認します。JEMAも、海外で使用する場合は事前に電圧の確認が必要と注意喚起しています。

電気代の目安 1回あたりは数円、月でも100円前後

オーブントースターの消費電力は、メーカーの公表仕様でおおむね1000〜1300W前後です。たとえばパナソニックの比較表ではNT-D700が1300W、NT-D500とNT-T501が1200W、バルミューダの仕様表では定格消費電力1300Wとなっています。JEMAの注意事項も「定格15A以上のコンセントに単独で接続する」よう求めています。電気代は、目安単価31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会・令和4年7月22日改定)で計算すると次のとおりです。実際の使用中はサーモスタットでヒーターが入り切りするため、ここに示すのは連続通電した場合の上限に近い概算です。

消費電力 3分 5分 10分 5分を毎日30日
1000W 約1.6円 約2.6円 約5.2円 約77円
1200W 約1.9円 約3.1円 約6.2円 約93円
1300W 約2.0円 約3.4円 約6.7円 約101円

毎日焼いても月額は100円前後に収まるため、電気代を理由に機種を選ぶ意味は小さいと言えます。むしろ差が出るのは、予熱の有無や、大きい庫内で少量を温める無駄です。家電全体の電気代の考え方は、家電の電気代を見積もる方法で整理しています。

電力単価は契約や時期で変わります。上記は目安単価による概算で、実測値ではありません。消費電力はカタログ値(定格)です。

庫内サイズと置き場所 食パンの枚数より奥行きを確認する

サイズ選びでは「食パン何枚焼き」という表示が目立ちますが、この枚数の数え方にも統一された基準はありません。表示を鵜呑みにせず、外形寸法と庫内寸法を分けて確認します。

確認項目 見るところ 失敗パターン
外形寸法(幅・奥行・高さ) 設置場所の寸法に、取扱説明書が指定する壁や棚との距離を足した数字 本体は収まるが放熱に必要な間隔が取れない
庫内寸法 いつも使う皿・耐熱容器・冷凍食品の箱が入るか 庫内の高さが足りず、グラタン皿やピザが入らない
焼き網の位置 ヒーターとの距離。食品が近づきすぎないか 厚みのある食品がヒーターに触れる
電源コードの長さ 単独で使えるコンセントまで届くか 届かず延長コードや電源タップで済ませる

設置に必要な距離は製品ごとに違うため、この記事で具体的なセンチ数は示しません。取扱説明書と、メーカーのサポートページで確認するのが確実です。コンセントについては、消費電力が大きい家電を電源タップにつなぐ危険を電源タップの選び方と安全な使い方で解説しています。

JEMAの注意事項では、オーブントースターは定格15A以上のコンセントに単独で接続し、他の器具との併用はしないよう求めています。電源プラグは奥までしっかり差し込み、燃えやすいものの近くや不安定な場所には置かない、と書かれています。

NITEの事故事例から見える共通点

NITEは「製品安全情報マガジン」で、オーブントースターの使用中の事故を繰り返し取り上げています。2021年6月8日号(Vol.382)、2023年10月24日号(Vol.439)、2026年5月12日号(Vol.500)の内容を並べると、原因の型は限られています。

号 事例の概要 原因として書かれたこと
Vol.382(2021年6月) くず受けトレイからの発火、ぎょうざの皮の過加熱 手入れ不足で食品かすがたまった状態でヒーターの熱を受けた。長時間加熱による焦げ
Vol.439(2023年10月) 庫内の食品かすから出火、揚げ物の加熱中の出火、ぎょうざの皮の過加熱 庫内底面とヒーターに炭化物が付着。トレイを使わず油が滴下。離席して長時間加熱。再現試験では、乾燥させたぎょうざの皮を温度調節つまみ250℃・タイマー10分に設定して加熱し、約3分後に出火を確認
Vol.500(2026年5月) 2022年〜2024年の3事例(奈良県・兵庫県・埼玉県) トレイ未使用で油が滴下、その場を離れて加熱過剰、庫内を掃除せず油脂が堆積

事例に共通するのは、「汚れの放置」「油の落下」「加熱のしすぎ・その場を離れる」の3つです。製品の構造上の欠陥より、使い方とお手入れに原因がある例が目立ちます。買う前の比較でも、庫内が拭きやすい形か、くず受けトレイが外して洗えるかは、性能のカタログ値と同じくらい重要な項目になります。

NITEとJEMAが示す注意点

使い方の注意点(NITE・JEMAの公表内容)

調理中は目を離さない/加熱しすぎない/バターなどの油脂を塗ったパンは焼かない/こまめに掃除する/受け皿やトレイに油を入れない/生の魚や肉、揚げ物を網に直接のせない/アルミホイルは受け皿やトレイにのせ、はみ出したりヒーターに触れたりしないようにする/樹脂製・シリコーン製の容器や紙の器は使わない/ヒーターが汚れていても擦らない/発火したときは電源プラグを抜き、ドアを開けずに火が消えるまで待つ

NITEは、チーズやもちのように加熱で変形する食材がヒーターに触れて発火するおそれがある点も注意喚起しています。冷凍食品を加熱するときは、容器がトースター使用可の素材かを先にパッケージで確かめます。

お手入れの頻度と手順

事故事例の原因の多くが汚れの蓄積だったため、お手入れを「気が向いたとき」ではなく「使ったあと」の習慣にしておくと安心です。

頻度 作業 注意点
使うたび(冷めてから) くず受けトレイのくずを捨てる。焼き網に付いたかすを取る やけどを避けるため、本体が完全に冷めてから行う
週1回程度 受け皿・トレイ・焼き網を外して洗う。庫内の底面や壁面の汚れを拭く ヒーターは擦らない。洗える部品かは取扱説明書で確認する
汚れが焦げついたとき 取扱説明書が認める方法で落とす 洗剤やたわしの使用可否は製品ごとに違う。ガラス管や庫内コーティングを傷める方法は避ける

この頻度は一般的な目安で、公的な基準ではありません。揚げ物の温め直しや油分の多い食材を頻繁に使う場合は、回数を増やす必要があります。

買う前に確認したい10項目

ここまでの内容を、購入前のチェックリストにまとめます。特定の機種を推奨するものではなく、店頭やメーカーの仕様ページで数分あれば確認できる項目です。

# 確認項目 理由
1 タイプ(単機能・温度調節・火力切替) 自分の使い方に必要な調節項目だけを持つか
2 消費電力と定格15A以上の単独コンセントが使えるか タップ経由の使用は避ける
3 PSEマークの表示 丸形PSEの表示があるか
4 外形寸法と、取扱説明書が求める壁との距離 放熱スペースを確保できるか
5 庫内寸法 よく使う皿・容器が入るか
6 くず受けトレイの外しやすさ・洗えるか 事故原因の多くが汚れの蓄積のため
7 庫内の形状(凹凸が少ないか) 拭き取りやすさに直結する
8 タイマーの種類(切れたら止まるか) 離席時の過加熱を減らす
9 焼き網とヒーターの距離 厚みのある食品が触れないか
10 保証期間と修理の窓口 詳しい考え方は家電・ガジェットの保証と修理を参照

よくある質問

Q1 オーブントースターとオーブンレンジはどう違いますか

オーブントースターはヒーターの放射熱と庫内の対流で加熱する家電で、電子レンジ機能は持ちません。電子レンジは品質表示の対象品目ですが、オーブントースターは対象外です。両方の機能が要るかどうかで選びます。

Q2 アルミホイルは使ってよいですか

JEMAは、使うときは必ず受け皿・トレイにのせ、はみ出したりヒーターに触れたりしないよう注意を促しています。NITEも、網の上にアルミ箔を敷いても食品の油分は端から漏れて下のヒーター管に触れるおそれがあるとして、網ではなくトレイと併用するよう呼びかけています。使用可否や使い方は製品ごとに違うため、取扱説明書の指示に従います。

Q3 バターを塗ったパンを焼いてもよいですか

JEMAは「バターやジャムを塗ったパン」、NITEは「バターやマーガリンなどを塗ったパン」を焼かないよう求めています。NITEは、バターなど油脂を多く含むものを塗って焼くと発火するおそれがあるとして、焼いたあとに塗るよう案内しています。

Q4 冷凍食品はそのまま入れてよいですか

パッケージにトースター調理の可否が書かれているか確認します。JEMAは、紙製の器やラップを付けたままの冷凍食品の加熱、樹脂製・シリコーン製の容器の使用をしないよう注意しています。

Q5 タイマーを長めにかければ安心ですか

安心とは言えません。NITEの事例では、加熱しすぎや離席が原因の一つでした。設定時間は食品の説明書きに合わせ、加熱中は本体から離れない使い方が推奨されています。

Q6 コンセントは延長コードでも使えますか

JEMAは、定格15A以上のコンセントに単独で接続するよう求めています。消費電力が大きいため、他の器具との併用や、定格の低い延長コードでの使用は発熱の原因になります。詳細は電源タップの記事を参照してください。

Q7 電気代が気になります。節約できますか

1回あたり数円のため、大きな節約効果は見込めません。少量を温めるために大きな庫内を長く予熱しない、といった使い方の工夫が中心になります。

Q8 発火したらどうすればいいですか

NITEは、庫内で食品が発火したときは電源プラグを抜き、火が消えるまでドアを開けないよう求めています。火が消える前に開けると、空気が入って炎が大きくなるおそれがあるためです。このときドアのガラスは高温になっているので、水はかけません。急に冷やされたガラスが割れて、けがをするおそれがあります。火が鎮まらない場合は、迷わず119番に通報します。

まとめ

オーブントースターは、消費者庁の品質表示の対象品目に入っておらず、消費電力・庫内寸法・温度表示の書き方がメーカーごとに違います。比較するときは、JEMAの3分類とヒーターの種類、外形と庫内の寸法、定格15A以上のコンセントで単独使用できるかを、自分で同じ項目にそろえて確認するのが基本です。電気代は1回数円と小さく、選ぶ決め手にはなりません。NITEの事例が示すように、事故の原因は汚れの蓄積、油の落下、加熱しすぎと離席に集約されるため、お手入れのしやすさを購入前の確認項目に加えると、長く安全に使えます。

同じ発熱する調理家電の選び方として、ホームベーカリーの選び方も参考になります。

出典

一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)「オーブントースターの仕組みとタイプ」。単機能・温度調節・火力切替の3タイプ、ガラス管・遠赤外線・グラファイトのヒーター、過熱水蒸気、付属品の例
一般社団法人 日本電機工業会(JEMA)「安全にお使いいただくためのご注意事項(オーブントースター)」。定格15A以上のコンセントへの単独接続、油・バター・アルミホイル・容器に関する注意、使用中に離れないこと、お手入れ、海外使用時の電圧確認
消費者庁「製品別品質表示の手引き(電気機械器具)」。品質表示の対象17品目の一覧、および「電気ロースター」の表示事項(種類・焼き網の寸法)
経済産業省「電気用品安全法 特定電気用品以外の電気用品(341品目)一覧」。「電気トースター」の掲載、丸形PSEの区分(品目数は本記事の更新時に同省ページで再確認できていません)
e-Gov法令検索「電気用品安全法」(第1条の目的、第10条の表示)、「電気用品安全法施行令」(第1条・第2条、別表第二 七(一一)電気トースター)、「電気用品安全法施行規則」(別表第六・第七の表示記号)
製品評価技術基盤機構(NITE)「製品安全情報マガジン」Vol.382(2021年6月8日号)、Vol.439(2023年10月24日号)、Vol.500(2026年5月12日号)「オーブントースターの事故」。事故事例、原因、再現試験(乾燥させたぎょうざの皮を250℃・タイマー10分設定で加熱し約3分後に出火)、使用上の注意、発火時の対応
公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会の電力料金目安単価31円/kWh(令和4年7月22日改定)
消費電力の数値は公表されている代表的な仕様(カタログ値)の範囲で、実測値ではありません。電気代は上記の目安単価による概算です。本記事は公開情報の整理であり、特定の製品の使用感を述べるものではありません

-スマート家電・生活家電